市場の教会
真面目で大人しい高校生が 市場のシャッターに描いた絵 それは果たして迷惑画か それとも・・・
市場の裏口の 鍵を開け 店舗に入ってきた この自分の店を開けるのは 5日ぶり?6日ぶりかもしれなかった
ここは 市場内の 駄菓子雑貨を扱う 雑貨小山である
小山というのは私の旧姓で 私は山本里美 と苗字が変わっている
この店は 以前は母が店に住んで 営んでいたが 母が5年前に入院した時に たたもうと言う話も出たが 母の強い願いもあって 私が続けることになった ただ 私からも看板を守ることに条件は付けさせてもらった
私は 家庭もあり 息子は中学生だったのと 母の入院の世話もしなければならないので
1つ目は店に住まない 2つ目は毎日営業しない1週間に3日でも良い 3つ目は夕方には店を閉めると言うことで 看板は下ろさないと 約束した
ただ その母も3年前に他界している
この 店は市場の入り口から 3軒目のところに有るが 今はほとんどお客も来ない状態である
この日も店も久々に店のシャッターを開けた
前の店を見ると シャッターに 絵が・・・
アーケードの通路の 真ん中は 半透明のトタンが張っており その部分を通りぬけた午前の日差しが気持ちよく 聖母と天使の絵を照らしており 思わず「綺麗!」と感嘆の声をつぶやいた
そして「こんなイベント 回覧板で回ってきたかしら」とつぶやきつつも 店の中へ入った
店の支度 といっても かけてあるシートを外すだけだけなのだが その間も 向かいの店の 天使の絵が気になる 悪い意味ではなく あの美しさを見てると 自分の店の 古さ 汚れ などが気になってくる
里美は 今客はいない 掃除しよう 駄菓子の賞味期限などをを確かめよう と決意した
その作業は 意外と時間がかかった 私は気管支炎という持病を持っているため タバコの販売は止めたのだけど 昔から置いてたそ関係のもの 古くなった雑貨なども含めるとかなりの量になった
でも すっきりした 壊れた肉まん機 などは 役所に連絡しようと思った
表の通路に 女の子の声がした
「健太この辺に 何か描いたんやて~」って声が聞こえてきた すると続いて
「これ ちゃうん?」と少し控えめな声がした 続いて
「それや!!やっぱ上手いわ 凄いわ」という歓声が聞こえてきた
「やっぱ 美術部のエースだけあるわ!!」という声がし しばらく何か騒いでいたが 次の瞬間
「あ~っ」と声を上げ 店のドアを開け
「これ ’ぼんたん飴’やん懐かしい!」と言いながら 女の子たち3人は 私の店に入ってきた 私は
「いらっしゃいませ」と挨拶をすると 女の子たちは「あっ これ’まるかわ’のオレンジガムや」とか言いながら 店の中を歩いていろいろ物色し始めた 久々に来た若くにぎやかな客に私は戸惑いつつも うれしく思っていると
その中の一人の ゆっくり喋る子が 「おばちゃん この店 めっちゃいっぱい チラシ置いてるね」と言ってきた
そうこの店は 極たまに来る近所のお客が 雑貨やペットボトルのお茶 などを買って行くときに 自分の孫の幼稚園の バザーのチラシや 自分たちがやるフラダンスサークルのイベントや 近所のお寺のお祭りなどの チラシを皆が置いていくのである
おかげで 来店するお客の数よりも チラシやポスターの数は相当な数になってしまっている すると一緒に居た女の子が
「このチラシ 凄い量やな! いろんなイベントの有るわ! それと これもう終わったやつやで」と言い 南高校の文化祭のチラシを手に取っていたのである 私は
「あなたたちも 南高校に通ってるのよね」と言った すると 彼女たちは
「私たちは南高校の AKBで~す」と答え 「私は 篤子のA」「私は恵のK」そしてゆっくり喋る彼女が「なんか解らへんけど 私若葉でローマ字でBが入ってるから・・・Bです」と答えた とにかく笑える 私は さっきこの子たちが 前の店のシャッターに描かれた 絵のことを喋っていたので その事を聞いてみると 篤子と言う子が 説明してくれた
「うちの高校で同級生の 健太っちゅう 美術部の子が描いたんですよ それも無断で」 そして 苦情が 呉服店の おかみさんから出ていて 自分の店のシャッターに絵を描かれたのを 消してほしいと 言っている事も それを市役所で受け付けたのが 篤子の父である事も 説明してくれた 私は 呉服店のシャッターにも 絵が描かれていると 聞いたので すぐに 呉服店のシャッターを見に行った
前のお店のシャッターの大きさから比べれば 遠慮がちに左の下に 天使の絵が可愛く描かれていた 私は思わず
「可愛い」と言ってしまった
店に帰ると 私は 呉服店の お上さんが 自分の店に描かれた絵を消してほしいと だけ言ってる事が気になった
お上さんは めったに この市場の奥まで来ない事も考えると 私は(この絵の存在知っているのかしら?知らないんじゃ無いだろうか)と思った そして(自分の店のシャッターに書かれた絵 だけを訴えていて この絵は 訴えに入ってないのでは) と思った そして私は篤子に確認するような口調で
「呉服店の お上さん 自分の店に描かれた絵のことだけしか苦情は 言ってないのよね」と尋ねると 篤子が
「家のお父ちゃんの話やったら 自分の店のシャッターに書かれた絵の事に苦情を言いに来たって 言ってたわ 私もそれを聞いて あそこの おかみさん 自分の店限定で言ってるんじゃないかな?って思ったわ」と説明した 私は
「ひょっとして おかみさん 奥の店舗のシャッターに書かれたすばらしい絵 見てないんじゃないかな?」と言った「でも この絵も事も 消される対象になるんだったら 私この絵消されるのは嫌やな」と言った 続けてAKB3人も
「消さんとってほしい!!」と言った そして篤子が
「お父ちゃんが言ってたんやけど 絵を消すのは 緊急性 人命にかかわらない事だから 順番待になるし 調査の期間などもあるから 日数はまだかかると思うって 言ってたわ」と説明した 私は
「この絵 消されるかも知れないから 井川のおかみさん にお話してみるわ」と言うと 篤子と恵が
「あそこの おかみさん かなり強烈にやけど おばちゃん頑張ってな!」とエールを送ってくれた
そんな話をしといると ゆっくり喋る 若葉が お店の中をいろいろ物色しながら
「ここ 私が小さい時におばあちゃんと行った 長崎の教会みたいや」といった 私たちが
「何で??」と聞くと 若葉は
「そやかて 前に天使とマリア様がいて 何か告知の 広告とかいっぱい有って・・・ 何か 来やすいし・・・」と言った
私は ここが 皆が来やすい場所 そうなったら良いなと思った