心の闇
小学五年生になった時周りの友達との距離感を感じるようになりました。友達みんなが自分とは住んでる世界が違うような感じがしていました。学校では仲良しグループがあちらこちらに出来ていましたが、私はどのグループにも属さない一匹狼のような存在でした。学校では誰とも仲良くしていましたが記憶から消えてしまうような存在でした。
私は家でも外でも孤独感を感じるようになりました。家に帰ると毎日走り、毎日父に怯え、飢え、孤独、痛み、疎外感と戦っていました。明日が見えない、明日が怖い、そう思う毎日でした。学校の宿題は一度もしたことはありませんでした。その時の私は未来を見ることが出来ず、宿題をする意味さえわからなかったのです。勉強もせず、宿題もしなければもちろん成績も悪く、居残りで勉強させられましたが、そのたび帰りが遅くなって走るのが遅れ、父に殴られました。でも学校には給食があるので毎日行きました。授業は苦痛でしたが、休憩時間と給食は息の休まる時間だったのです。
私には取り柄はありません。それは昔も今も変わりません。子供の頃は何か得意分野があると人気者でした。この頃は自分が大嫌いで、人に愛されず、家族にも愛されず、自分自身でさえ愛せませんでした。少し前までは、学校で遊ぶことに幸せを感じていたのに、その幸せさえも感じられなくなっていました。成長と共に、考え方、感じ方が変わっていきました。毎日走らされることも、殴られることも、蹴られることも、外に放り出されることも、全て苦痛でしたがもうどうでもよかったのでした。いくら考えても答えが出ることはなく、いつも笑顔でごまかしている自分自身にも嫌気がありました。
成長とは残酷なもので、私の心の中の闇を一層暗く重たいものにしました。近所の人もすれ違う人も自分とは別の世界の人に思えていました。子供の頃に誰もが持っている将来の夢すらありませんでした。この時の私は自分の心が壊れないように必死だったのでした。