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入学式ですわ!

拙い文章、遅筆を理解した上で読んで頂けると幸いです。

編集をして徐々に文を増やしていく可能性がありますがご了承ください。

爽やかな風に吹かれ、スカートがなびく。

桜の花びらが舞い散り、絨毯のように敷き詰められたこの道を歩める時がきたのだ。

4月7日、今日は水無月学園の入学式だ。


「この学校の制服がこんなにも可愛いセーラー服でしたとはね…危うく違う高校を受験するところでしたわ」

なびくスカートを抑え、満面のにやにやを浮かべながら一人つぶやく姿があった。

大きな瞳にぷっくりとした唇、細く伸びる手足に華奢な体型、容姿という容姿何もかもが整っている。

唯一、並外れた身長の低さを除いては。


「ぐふふふふ」

通る者全ての視線を集めていた。

独り言に引いた視線ではなく、見惚れた視線でもない。

ただただあまりの小ささに目を疑う視線であった。

ほとんどの者はすぐに保護者と来た生徒の妹だと納得し、それ以外は会場を間違えたことを疑うはずだ。

それほどちっちゃい、ちっちゃいのだ。


「ふっ…私の可愛さに注目が集まるのは当然ですわね!」

背中を流れる綺麗に巻かれた髪を右手で大きく払う。


「何が当然ですわね!よ!」

つかさは思いっきり頭を殴られた。


「ありえないですわ…こんなに可愛い私を殴るなんて!」

「何言ってんのよ!確かに注目されてるけど、半分くらいはあんたがちっちゃすぎることの驚きの視線よ!」

半分は私の魅力と認めたようですわね、なぎささん。


「そんなことより、なぎささん。あなた何でこんな所にいるんですの…。神無月高校の推薦貰っていたじゃない」

「べ、別にどうでもいいじゃないそんなの…!つかさには関係ないでしょ!」

なぎさはすぐさま後ろを向いて視線を外した。


「まあ、それもそうですわね。あの学校の制服全然可愛くないですしね。いい判断だったと褒めて差し上げますわ」

つかさは思いっきり頭を殴られた。

二度目は流石に響きますわ…。

そうこうしていると校内に綺麗な旋律が鳴り響いた。


「なぎささん大変!入学式が始まってしまいますわ。行きますわよ!」

つかさはなぎさの左手を掴んで走った。


「べべべ別に今手繋いじゃってるなんて思ってないんだからね!ぜ、全然全くこれっぽっちも微塵も欠片も思ってなんかないんだから…。そりゃ嬉しくないって言ったら嘘だけど…ってそっち会場じゃなーい!」


----------


「今日から君たちはこの水無月学園の生徒になったわけだ。義務教育も終わり、自由だったはずな君たちはまた学校という柵に自ら飛び込んできたわけだ。そんなドMな君たちがせいぜい青春を謳歌出来るよう私は祈っています。アーメン。はい、私からは以上だ。あとは勝手に仲良くなっといてくれ。いじめとか本当勘弁な」

それだけ言い、担任水上はうなじをかきながら心底だるそうに出て行った。

教室内は一瞬凍ったが、徐々にチンされ新学期独特の雰囲気に包まれた。

ねえどこ中ー?だとか、部活何入るー?だとかそんなのだ。

つかさは新しい環境に目をきらきらさせていた。


「あ!あの子可愛いわ…どうやったらあんな子生まれてくるのかしら…。あのショートカットの子の着崩し素晴らしいわ!明日から真似させてもらうわ。あーもう!あっちの子の髪型可愛すぎますわ!最高ですわ。これこそ私が望んでいた理想郷!ユートピアよ!ねえそう思うわよね、なぎささん!」

つかさは満面の笑み大さじ1杯、にやけ小さじ2杯を混ぜたような顔をなぎさがいるであろう方に向けた。


「え…」

そこには見覚えのない顔が動揺の色を浮かべていた。

まずい、どうみてもなぎささんじゃない。


とても整った色白な顔立ちに対照的な黒髪に包まれたその子は見るからに清楚で、なぎさのような似非お嬢様とは相反する存在、所謂本物のお嬢様のようだった。

どこからか吹く隙間風にそよぐ黒髪は触らずにも分かる質感で、今すぐ国は国宝に指定して保護するべきである。

しかしその顔はただ今、不安の色に染まっていた。


「なぎささん…ではないどなたか」

「どっち向いてるの!」

どういうわけか背後からなぎささんの声が聴こえますわ。

後ろを振り向くとなんとそこにはなぎさがいた。


「あらま」

「あらまじゃないよ!今日からあたしの席はこっち。わかった?」

なぎさはつかさを引張り自分の太ももにのせた。


「んもーなんかごめんねー。つかさが迷惑かけちゃって。ちゃんとあたしが躾けときます」

「ふふふ、全然大丈夫ですよ。私は月長さおりといいます。これからよろしくお願いします」

これぞ微笑みと言わんばかりの笑みを浮かべ、さおりは両手を膝の上に揃えて丁寧にお辞儀した。


「うん、よろしくね!あたしは天河なぎさね。ここにのってるのが橄欖院つかさ」

つかさもぺこりと頭を下げ、頭を上げるやいなや隙を見つけたかのように質問を投げまくる。

「あなたとてつもなく可愛いわね!素晴らしいわ。ところで、その綺麗なお肌は何かしているのかしら?普段はお化粧するの?普段着はどんなものを着ているの?でも一番気になるのはそのさらっさらの黒髪!一体どんなシャンプー使ったらそのようになるのかしら?ああもう、美少女はやっぱり最高ですわ。ね、さおりさん!」

ようやく終わった一方的な銃撃にターゲットはまたも怯えてしまっている。


「いえ、さおりんね。これからはさおりんと呼ばせてもらうわ!いいわね?」

「は、はい!」

つかさの勢いに圧され、つい肯定してしまうさおりん。


「早速さおりんのスリーサイズを調べさせてもらうわ!では、ごめんあそばせ…」

さおりんのシャツのボタンを外そうと、流れ作業のようなしなやかな動きで手を伸ばした所で視界が揺れた。

つかさは思いっきり頭を殴られた。

同じ所ばかり狙ってコツコツ痛みを増幅させるなんて、とんでもないドS心を収めてますわね、なぎささん。


「何やってんのよあんたは!やるならあたしのにしなさいよ…」

さおりは、何故だか照れているなぎさの方を思わず見る。


「え?今なんと…」

「さーてそろそろ帰りましょうか。どうやら今日はこれでお終いのようですし」

今のスルーしちゃうんだ…と思いながらさおりも同調した。

そして、こんな変わった人たちと仲良くやっていけるのかちょっぴり不安になったさおりだった。

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