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拾ったポケット 〜ねずみのチュウ太郎のちいさな大問題〜

掲載日:2026/07/01

ねずみのチュウ太郎は、街のすみっこをチョチョチョっと走っていました。

街には、おいしいものがたくさん落ちているのです。

たまに人間に見つかって追いかけられますが、すばしっこいチュウ太郎は、つかまるなんてヘマはしません。

チュチュウっと物陰に隠れて、やりすごします。


「今日は何があるかな?」


チュウ太郎が自慢の長いしっぽを振りながら走っていると、フッとおいしいにおいがしました。


「ん?」


チュウ太郎は立ち止まって、フンフンと鼻を動かしました。

あっちの方だ。


チュウ太郎が、おいしいにおいがした方に走っていくと、あった!ビスケットが落ちています。

でも、ちょっと残念。

ビスケットは粉々に割れています。


チュウ太郎は上手に前足でビスケットのかけらを持ち上げて、フンフンフンとにおいをかいでから、サクッとかじりました。

甘い味が口の中に広がりました。


全部食べたいけど、ここでのんびりしていると、人間につかまるかもしれません。

けれども、持って帰るには、ビスケットは粉々なのです。

両手で持ったら、うまく走れません。


「立派な上着があったらいいのに」


チュウ太郎はチュッと鳴いて、ビスケットの周りをクルクル回りました。

立派な上着には、立派なポケットがついていて、粉々のビスケットもつめられるはずです。


でも、そんな立派な上着など落ちているわけもなく、チュウ太郎はあきらめて元来た道を戻ろうとしました。

その時です。


道の端に、青い小さなものが落ちているのを見つけました。

駆け寄ってみると、布でできた袋のようなものでした。


「ポケットだ」


上着は落ちていなかったけれど、ポケットが落ちていました。

しめた!


いえね、それは本当はアクセサリー袋だったのですが、チュウ太郎はポケットのことばかり考えていたので、ポケットだと思ったのです。


チュウ太郎は、鼻先で粉々のビスケットを集めて、器用にポケットの中にビスケットをつめました。

これでよし。

あとは、これを・・・


そこまできて、チュウ太郎ははたと困ってしまいました。


上着を着れば、ちゃんと走れるけれど、ポケットだけあっても、どうやって運んだらいいのかしら?


チュウ太郎は、ポケットを背中に乗せたり、頭に乗せたりしてみましたが、どうやっても素早く走ることはできないようです。


「チュッ、ポケットだけあっても役立たずか」


チュウ太郎は、うらめしそうにポケットからビスケットのかけらを少し出して、口に入れられるだけ入れました。


また、別のおいしいものを探しに行こうっと。




あら?「不思議」要素は、どこへ?

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― 新着の感想 ―
リスみたいにほっぺをパンパンにしたチュウ太郎の姿が思い浮かびました。そして、ビスケットが食べたくなっちゃいました。美味しそう! 舌打ちがチェッじゃなくてチュッなのも、可愛いですね。楽しい童話を、ありが…
このねずみさんの不思議論理、なぜか酸っぱいブドウのキツネさんを思い出してしまいました。たくさんビスケットを口の中に入れたチュウ太郎、今度はチョッキじゃなくて、うわぎを拾えると良いですね。 ほっこりしま…
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