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竹の浮橋  作者: 加藤無理
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軽い快楽

 突然、熟睡していた男に捕まり更に舌を絡めた口付けをされた。最初は見ず知らずの女に悪戯いたずらされて怒って仕返しをしたのだろうと思ったが、男は目を開けてから終始楽しそうに微笑んでいる。


 鎖は何度も逃げようとしたが男の腕力は強かった。鎖が抵抗を諦めると男も程良く力を緩める。左肘と左手で鎖の両手を押さえている。


 男は鎖の顔を見つめながら右手で鎖の首から腹まで擦っている。時折、乳房を服の上から軽く揉んでいる。五本の指と掌を絶妙に動かしながら擦り方を変えている。どの様に触れれば鎖が快楽を覚えるのかを探っているようだ。最初は強めだったが、少し弱めにしている。


 鎖は半袖のTシャツにボタンの締めてない長袖のブラウスを着ている。下着は安物のブラジャーだ。下半身は薄手のズボンとその下に厚手だが安物のショーツを履いている。足はかかとを固定したサンダル。


 男はまだ微笑んでいる。鎖自身は自分に華が無い自覚が有る。何故、男が楽しそうに鎖の身体を擦っているのか鎖には分からない。まだ日没前の夏。身体中から汗が出てくる。恥と快楽で全身が火照る。そんな鎖を男は全く気にしていないようだ。


 蝉の合唱がいつの間にか止んでいる。鎖は、

「もう、止めて下さい」

 ハッキリ拒もうとしたが、声が弱々しかった。男はクスッと笑い、

「貴方から俺に触れてきたのに?」

 やけに穏やかな声だった。男は鎖のズボンのベルトを掴んで外していく。鎖は、

「本当に止めて下さい。貴方が生きているかどうか確かめただけです」

 先程よりも強い口調で拒んだ。男はそれを無視して外していく。左肘と左手は相変わらず鎖の手を離さない。男は鎖のズボンのボタンも外してファスナーも開ける。鎖は、

「私達、初対面ですよ!互いに何も知りません」

 鋭い口調で言えた。男は鎖のズボンを掴んだが動きを止めた。微笑みから無表情になる。何故かそれが鎖には冷淡に見えた。男はまた微笑み、

「まさか処女じゃないでしょ」

 鎖は咄嗟に目をそらした。男はズボンを下ろし始めた。明らかに安物のショーツがのぞく。鎖は目をつむりながら、

「大声を出しますよ!」

「皆、家の中に閉じこもっているから聞こえないよ」

 男が冷静な声で反論した。鎖が動揺すると鎖のズボンを更に下げていく。手際が良く、膝下までズボンが下がった。男は鎖のショーツを見つめながらクスクス笑い、

「あれ、けっこう濡れてるけど、汗じゃないよね」

 鎖は目を固く閉じたまま、

「これ以上は本当に止めて下さい!」

 男は大きく溜息を吐いた。鎖の右脚の地肌を軽く掴みながら、

「貴方の方が気持ち良くなってるのに?」

 鎖の全身が震える。火照った身体が冷えていくような気がした。男は右手を鎖の脚に触れたまま、

「本当に処女?答えて」

 やけに穏やかな声で尋ねた。鎖は目を開けずにうめくような声で、

「処女です」

 男は息を飲んだ。鎖の脚を軽く撫でると右手を離す。

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