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訳あり一家の長ニキとユーリーンの孫は隠れ超能力者。セーンにまつわるとんでもな数々の話題について ~気付かない内に運命急上昇中その3  作者: 龍冶


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第51話 ユーリーンが二人を合わせるように言う。ヤーモ卵産む。リアンにそっくり。レンが壁の上一家の正体を言う。ヤコはヤモの子で、ヤモ、ヤーモは卵を証拠に持ってオーカーさんの所へ

 

 ここはニキ爺さんの館。セーン達家族だけで、招かれざる客と対峙しているのだが。段々親子及び孫の結束に、綻びが出て来たことが分かった。

 セーンは感じていた、ユーリーン婆の気持ちが揺れ出したのだ。『そろそろ話しだすな』と思うセーン。

「それじゃあ、せっかくだから、ヤーモちゃんに会うだけ会って見るとか?セーン、ヤーモちゃんを連れて来てくれる。ヤモちゃんは止めといてね」

「婆さん、止めといてねで、俺に止められるか、あいつを。誰か血を見る奴が出てきたら、危険地帯になるぞ。ここいら」

 無視されているのが一言、

「ちょっと、何言ってるか意味分からないんですけどー。あたしら、チー見ても、まての出来ない犬コロじゃないんですけどー」

 ニキ爺さん、

「婆さんがいらん事言いだしたな。ヤーモちゃんに何か不味い事が起こったら、どうするんだ婆さん。どうやって責任取る気だ。お前、ヤモが暴れ出した所見た事ないだろ。今更だが、この家、鉄筋の入れ方が少なかったな」

「だいたい想像つくよ。『魔の空洞』が発動して吸い込んでる最中に、空洞の中に手突っ込んだままだったって。皆、言っていたもの。おかげでセーンは生きていたし、この恩は返せないくらい大きいのは分かっているの。でも、あたし、恋人の仲を裂く奴にはなりたくないのよ」

 セーンは声を大にして、

「婆さん誤解している。恋人じゃないからっ。一方的なこいつの片思いだから」

 ユーリーン婆のお尋ね、

「ところで、皆この子の事を、こいつとか坊ちゃんとか言っているけど、名前は無いの」

「おばあ様、僕、リアンと言います。どうぞよろしくお願いいたします」

 リアン坊ちゃん、可愛く目をぱちぱちさせて自己紹介した。グルード家唯一の自分の味方と思える婆さんに、精一杯のお追従だ。

 セーンはドアから出て、ヤーモちゃんを探しに行った。『もうどうなっても知らんからね』


 ドアを開ければ中に誰が居るかは一目瞭然だ。ヤーモちゃんが来る前にヤモ登場となった。どういう状況なのか理解に苦しむジジババだ。ヤモ凄みの有る睨みでヴァンパイア一行を見ると。

「この家の敷居またぐなと言ったはずだが。おい、あばずれ」

「あら、久しぶりだけど、相変わらずね。あんたの子にうちの子が惚れるなんて、現実は小説よりも奇よねぇ。面白くなりそうだから、見物に来たのよ。分かるでしょ。この面白さが」

 レン親父、あばずれヴァンパイアを睨み、

「そう言う事か」

 と納得したご様子、セーンは今出てきたばかりの客間の様子が、さっぱり訳が分からない事になっているのだが。ふと頭をよぎる可能性。レンとあばずれヴァンパイアそしてヤモちゃんの三角関係!それを必死で打ち消すと、子供部屋に行ってみる。ヤーモちゃん、子守の真っ最中だが、セーンは言っておく、

「ヴァンパイアの勘違い野郎が来たけど。どうする」

 と聞いてみると、ヤーモちゃん、こっそりクローゼットを開ける。『前にもあったな、こういう事』と思うセーン。

「卵産んだ」

「そのようだね」

「これ、よく見てみろ。ヴァンパイアそっくり」

 言われてセーンは卵をじっと見る。ヤコちゃんの時と似たように殻の薄い卵で、中が少し透けて見える。じっと中身を目を凝らしてみると。まん丸い目のはっきりとした顔立ち、髪の毛は黒い(あばずれバンパイアの髪の色)リアン坊ちゃんはプラチナゴールドの髪で、顔立ちははっきりした感じだ。ちなみにヘキジョウさんの顔や髪の毛はグレーで誰でも統一している。

「なるほど、で、どうする気だ。これから」

「どうしよか」

「ヤーモちゃんのしたいようにしていいと思うよ」

「この子にヴァンパイアの気質があったら、ここには住めない」

「そだね」

「ここで育てられないなら、あっちに行くしかなさそうだな」

「そうか、あ、しまった。あいつらに俺ら、散々な扱いだったけど」

「ふふん、多分、気にしていないはず」

「へっ、そんな気質なの、あいつ等」

「何処に行っても、ああいう扱いだからね。気にして無さそうだな」

「ずいぶん、心の広い人たちだな。じゃ、行くのか、向こうで暮らすのか」

「そうするしかなさそうだな。卵、持って行って見せてみる」

「ヤモちゃんには見せたの」

「ヤモちゃんが引っ張って出した」

「へぇ、そうだったの。それでもヤモちゃん、あばずれヴァンパイアをぼろカスに言っていたけど良いのかな」

「ああいうやつらだからねぇ。仕方ないさ」

 ヤーモちゃんは決心したようで、卵を大事そうに抱えて、客間にやって来た。


 はじけるようにヤーモちゃんに駆け寄るリアン坊ちゃん、涙の再開だ。リアン君だけだが。

「ヤーモ様、こ、この卵は僕とヤーモ様の・・・」

「うん」

 良い場面なのにレンが割って入る感じ。

「待て、お前ら。大概にしろ」

 ニキ爺さん眉を顰める。『まったくの根性悪だな』

 爺さんの見解にめげず、レンは指摘する。

「ようやく俺は、壁の上一家の正体が分かった。セーンも良く聞け。すでに兄貴のガキや、ジュールのガキが暴いていたんだが、俺はまともに聞いてはいなかったな。だがこれで身に染みた。壁の上一家は、自分の卵の遺伝子をカスタマイズするんだ。自分の都合の良い子にな。魔力が強くなければできないからな。本人達にも自覚のない技だ。おれもつくづく自分が利口じゃなかったと思う。三度も遭遇して、やっと分かった」

 セーンは、

「レン親父は今までの事は、全部カスタマイズだったって言うのか」

「言うも何も、事実でしかないだろう。最初のあいつがそうだったんだ。だから俺が気付いてやらなかったのが悪いんだがな。問いただすのを、周りのみんなが遠慮しちまったのもあるが、仕方ないだろうな。俺が指摘すべきことだった。こいつら魔物はそうゆう者達だったんだ。自分の子を気に入った容姿に、もしくは自分が必要とする能力の子に産むことができる。魔力でな。そうやって生きながらえてきたはずだ。予感とかも有って、必要な能力の子を産んで手に入れると言うのが目的だったろう。あのヤコのようにな。適切な指示をすれば、ヤコはもっと使える奴だろうさ。生憎いつも肝心な時に一人にさせていた。あの暴走は大人の所為だ。あの子に罪はない。ヤモ、オーカーさんに言って取り戻して来い」

「そうだな、わかった」


 そんな話の流れに、空気の読めない、とういうか自分らの事しか頭にないリアン坊ちゃん。レンに聞く。セーンはその勇気に感心する。

「レン様、そういうお話ですと。じゃあ、じゃあ、ヤーモ様は僕の事を、愛して…いえ、えー、ずうっとお心にとめてくださっていたとか?」

「聞いていたんだろうが、そう言うことだ」

「う、うっ。ヤーモ様、お願いです。お側に居させてください。ヤーモ様の暮らしたいところに、お側に僕を置いてほしいですっ」

 ヤーモ、冷静に言う。

「でも、ヴァンパイアはここに置けないと思うな」

 ユーリーン婆は横からアドバイスする。

「でも、お顔を似せて生んだだけじゃないの。きっとヴァンパイアじゃないわね、その子」

 ヤモちゃんも、

「ユーリーンさんもそう思いますか。ヤーモにはここでヘキジョウさんっ子の子守してもらわないと・・・」

 ヤーモちゃん、

「ヤモは自分の都合ばっか」

「その坊ちゃんには、そこいらの豚かヤギの血でも飲ませて、置いてやったらいいだろ。嫌なら自分で帰るさ。俺は今からオーカーさんに言って、ヤコを取り戻してくる」

「ヤコ、言う事聞くか?今さら」

「オーカーさんだって他人を住まわせやしないだろう。ヤーモも卵持って来るか。そいつを見せて、説明しよう」

「この卵で俺らの能力、証明出来るね。ひょっとしたら、そこのヴァンパイアの婆さんも、こんなふうに生んだんじゃないか」

 婆さんと言われて目をむく奥方様。

「はあっ、この私の美貌で、婆さんだってぇ・・・あ、そうかしら、リアンはあたしがカスタマイズしたって事。そう言えばレンに似て無いのが気になったのよね。帰るわよ、リアン。豚かヤギの血なんてお口に合わないでしょ」

「僕は口にあわせるつもりだよ。でも一旦家に戻って練習しよう」

 奥方様、息子やお使いに来ていた老ヴァンパイアと帰って行った。


 セーンは何とか収まってほっとした。客間のソファに寛いで、残るジジババ及び親父の誰ともなしに思った事を言う。

「ホント、俺もあの話聞いていたのにな。思いつかなかった。レン似のヘキジョウさんも、コモドラ襲撃の時に死んじまったし、不遇のあのヘキジョウさん、どんな気持ちでレンの所を去ったのかな」

「セーン。近頃、根性悪になったな。相手の弱点らしいところ、容赦なく突きまくる」

「えー、親父に弱点なんかあるものか。かかか」

 セーンは適当な返し文句を言っていたが、急に、いやな気分になって来た。

「不味いな」

 セーンが思わず口にした時、ヤコちゃんが卵を抱え、血相を変えて戻って来た。

「ヤモちゃんとヤーモちゃん。魔の国の俺がのした奴にさらわれたよっ」

 皆驚いて立ち上がった。

「何だってヤコ」


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