第46話 ジェイ、シューに他校との喧嘩に誘われるヤコ。セーンとヤモ、ヤーモはオーカーさんの所からの船での帰路で、ヤーモが初めての一人旅、セーン達は瞬間移動
今はハイスクールのお昼時、今朝のヤコから聞いた情報は既に活用され、ジェイとシューの携帯に、何度電話がかかろうととる事はない。相手は隣町のハイスクール在籍の敵方、正体を隠しているがジェイたちは最初から察していている魔族たちだ。正確に言えば魔族の生まれたての子達だ。十数年生きたくらいでは、寿命が永遠に近い魔族にとって、まだまだ幼児と言ってよい年齢の子等。魔の国から留学して来ていた。ジェイとシュー達や、やんちゃな子の喧嘩相手だ。まだ魔力が少ないので、良い勝負になる。しかし最近負けが続いていたが、その原因は知れた。もう電話から魔力を当てられ、弱る事はない。
ジェイ、食堂で高笑いするが、周りの子は事情を知らないので、段々遠巻きに見るようになった。
「かかかかか、無駄無駄無駄。どうせいつもの場所じゃないか。毎回毎回電話してきたな。考えてみたら」
シューも、ご機嫌だ。
「そうさな。今日こそは、今までの借りはきっちり返してもらおう」
そんな話を聞いて、チーセンとラーセンは、
「何、喧嘩?僕らも入らせてよ。最終学年生が卒業したら。きっと、次の歳のは大人しいから。俺らの学校ちょっと不味くなるよ。だから俺らが、頑張らないと」
「そうだよ。ちょっとばかり練習が必要なんじゃないか。ジェイたちが居なくなる前にね」
「ジェイ、どうするこいつ等、練習すべきか」
シューまでジェイに聞きだした。
ヤコは彼らの会話の中に入るのははばかられた。ヤコの役目は双子の使い魔であり、ピンチを助ける役と思っており、他校との喧嘩は、人の子がする事なので、見ているだけだ。
「練習ねぇ。しかし、他校の奴らは忖度なしだからな。怪我でもさせたら、俺ら大目玉だぞ」
その時、チーセンはくるっとヤコの方を向き、
「居るじゃないか、俺らには、ピンチの時のお助けマンだ。ヤコ、君は確か強かったな」
「んー、」
ヤコははっきり言って、不味い展開になったのが分かった。
ラーセンも、
「ヤコちゃん、俺らの監視役と違うよな。俺らの使い魔候補だろ。つまりお助けマン候補だよね。ヤコちゃん、ヨロシク」
ジェイは、
「ヤコちゃんが付いて来るなら、勝ったも同然だな。OK、チーとラー俺らの構成員合格。放課後、町はずれの広場がいつものバトル会場だからな慣れた奴は直接来るが、おれらは学校から一緒に出よう。新しい構成員見せつけながら会場入りだ」
「へー、隣の奴らこっちに来ているのか」
「そうだ、今日は誰が来るのか、情報を集めにくるんだ、ちっさい奴らだよ。やる事がちっさいんだ」
シューの相手の悪口の言い方に皆で笑いながら、昼休みを終えた。
ジェイに、
「じゃ、放課後、西門集合だ。薄暗くなったら開始だからな。そう慌てなくても良いけど」
と言われた。チーとラー及びヤコ。
ヤコは内心、『使い魔って子供の喧嘩に参加する?』『するって聞いた事ないし』、自問自答していた。
実のところ、種類の違う国での、国家間の禁止項目、はっきりと文言にはなって居ないが、いわば常識がある。使い魔は子供の喧嘩には加わらない。言うまでもない話だからそう言う事、条約にも入らない。どうなるヤコどうする大人の人、居ないの・・・今日は居ないね、残念。
さてさて、こちらオーカーさんち。セーン達、帰路に就く頃合いと思い帰り支度に取り掛かる。と言っても、ヤモちゃんは今朝から力が無く、ヤコちゃんとの電話後、セーンのポケットに入って出て来ない。ヤーモちゃんはヤモちゃんからの喧嘩のお誘いが無く、困惑していた。
セーンは一人、世話になったオーカーさんちのお世話係スンさん他、色々なお仕事の人に挨拶して回った。オーカーさんは何かのお仕事で朝から留守。側仕えさんによろしく伝えてもらう事にしておく。今はまだ午前中なので、急げば午後からのレン達の結婚式やパーティーに間に合うかもしれない。
瞬間移動で帰るつもりだが、ココモちゃんは庭でドラゴン姿になって見送ってくれる。
横には側仕えさんが居た。セーンは気になって、
「オーカーさん何時も忙しそうですね」
と言ってみると、小声て少し事情を言ってくれる側仕えさんだ。
「セピアのテレビ放送に、ドラゴンの撤収が映ったでしょ。あれの事情説明ですよ」
すると、ヤモちゃんひょっこり顔をのぞかせ、
「俺のアップは説明とかしないよね。個人の事だし」
セーン初めて耳にし、
「ゲッ」
と思わず叫びそうになるが、小声で思いとどまる。ポケットのヤーモちゃんは一人うなる。
側仕えさん、
「その件は、私、今伺いましたが、セピアの放送局が何か話を振ってこない限りは、言わないと思いますよ」
「ですよね」
セーンも相槌を打ち、帰る事にした。するとココモちゃんの側仕えさんが調べてくれたのだが。港には、獣人国の船が国に帰るところで、セーン達を乗せてくれるそうだ。そうなるとココモちゃん、次は人型になり見送りに港へ行く。
ココモちゃんは、少し別れを惜しんでいるようであった。
紙テープでムードを出す習慣はないので、ココモちゃん他一般の見送りの人たちは、岸壁にたたずむだけだが、別れを惜しんでいた。ポケットのヤモちゃんは人型になって出てくることは無かった。セーンは詳しい事は知らなかったが、何時に無く元気のないヤモちゃんが段々心配になって来た。
『ヤモちゃん、さっきちらっと話していたけど、どういう事』
『俺がセピアのテレビカメラに気付いて、そっちを見たら、俺の顔が一瞬アップで写ったんだと。魔力使って見た所為だろ。ヤコが今朝電話して来て、気を付けろってさ』
ヤモちゃんの報告を聞いたヤーモちゃん、傷口に塩塗るような指摘。
「ヤモ、何が原因でしおれているか分かった。ヤコちゃんに注意されたからだな。もう、負うた子に教えられちまったな。こんなに早くこんな日が来るとはな。およよ」
セーン、『声がでかい』と注意しておいた。ヤーモはポケットでしゃべりだす癖がある。周りはセーンひとりと思われているから困る癖だ。
しかし、いつの間にかヤモちゃんはヤーモの入っているポケットに無理やり入っていて、セーンのポケットの中で、バトルが始まっている。セーン、ポケットが膨れてぼこぼこだ。
『辞めろよ、きっとポケットが破れる』
『敗れたら、ヤーモ出ていけ』
『ヤモが破った。破った奴が出ろ』
ため息交じりにセーン、提案する。
『船の切符は一人分しかないんだ。他の2人は瞬間移動で帰ろう。じゃんけんだ』
『じゃんけんだとセーンが何時も後出しになる』
『悪かったな、じゃあ、お前ら二人で俺と瞬間移動する奴決めろ』
ヤモちゃん指摘する。
『ヤーモは一人には出来んだろ。何しでかすやら』
『多分、今朝のヤモのしでかし以上のことは出来そうもない』
『ほう、そうかい。じゃ、証明してみろ』
『ヤーモの初めての一人旅』で話は決まった。




