第40話 コモドラにヤコを取り戻しに行くセーンとヤモ。土ドラゴン側軍隊に後を任せセピアに行く。セピアでは焼き肉している。セーン達が帰った後「魔の空洞」発動
「ヤコちゃん、攫われたのか」
不思議そうに言う、ニキ爺さんの質問は、うやむやにセーンは返事はせず、オーカーさんの側仕えに連絡してみる。
その間、ユーリーン婆さんも爺さんに不思議そうに話す。
「この前は何匹も一人でやっつけていたのにね」
爺さんの意見、
「無謀にも、王をやっつけに行ったのかな、しかし向こうには「魔の空洞」を作った魔法使いが居るんじゃないのか。心配だ」
「その魔法使い、コモドラの仲間なの」
「違ったか?」
「違わない」
いらん事ヤモちゃん言う。いつもはこういう事は言わないはずだが、きっと心配になって、爺さんと話している。
「ヤモちゃん、仲間はもうおらんが、どうやって戦う。セーンは戦力になるかな」
「なる」
一方、セーンはオーカーさんの側仕えと連絡を取ると、彼は既にその『密偵其の二』に追いつこうとしているらしい。彼の気配を追って、セーンも瞬間移動で行くことにする。かなり遠方で能力を使ってしまうが、根性で戦わねばならない。
爺さん達に、
「居場所分かったから言って来る」
と言って、チーラには『心配要らないから』とにっこりして瞬間移動した。
これもいつもはしない事で、チーラは、
「きっと、危険な戦いなんだ・・・」
と思わず口に出した。
「そ、そんな」
ユーリーンがそう言った後言葉もなくすが、爺さんは、
「こっちに帰って来た時すぐ結婚証書にサインさせといたからな、チーラさんもサインしたんだから、何とかなるんじゃないかな」
ユーリーン、『どういう事』と爺さんを見ると、
「気に入ったカップルには、女神さまは祝福をくださる。長生きするんだ俺らみたいにね」
「ほ、ほんとですかっ。それ」
「ほんとほんと、俺らで実証済みと思わんかな」
チーラ少し安心した。実は彼女、現実的で迷信は信じない質なのだが、変更するつもりだ。『これは事実だっ、うん』チーラも本性が段々出てくる時期になって来た。
一方、セーンとヤモちゃん、オーカーさんの側仕えとほぼ同時に、その2(コモドラの密偵其の二、面倒だから略す)とヤコちゃんに追いついた。セーンはヤコちゃんの手を掴み、さっさとその2から引き離した。
ぎょっと辺りの皆を見回すその2、頭に血が上っているらしいヤモちゃんも表に出ている。そして、決定的な事を言う。
「うちの子をどこに連れて行きやがる、阿呆のコモドラ」
「ええっ」
「俺がお前が探していた親だ。卵で産んだ。あほう、この面よく覚えておけ」
側仕えさん、ため息混じりに、
「そんな、わざわざ自己紹介しなくっても。危険ですよ。魔法使いに感付かれてしまう可能性が有りますよ」
「魔法使いなんか怖くない。あんなへぼ『魔の空洞』紛いもんだ」
「そうなんだー」
セーンが感心して言うと、
『はったりだ。本物プラスのバージョンアップ』、セーン呆れて『知らねーよー、はったり言って』
「ねぇねぇ、ママ、酷いことしないでね。このコモドラさん、親や小さな妹とか養うために、仕方なく王に雇われているんだって、王が悪い奴だとは思っていても仕方ないって」
「馬鹿、皆そう言う理由で生きているんだ。こいつだけじゃない。ヤコは黙っていろ。騙されるんじゃないぞ」
「そだね、わかった」
側仕えさんは、
「ではそう言う事で、ここから先は私達土ドラゴンにお任せください。ほら軍隊も到着しましたから、セーン様たちはお引き取り下さい。ささ、危険ですからね、そうしていただけなくては、私どもがオーカー様にしかられます。ヤモ様も、ご不満がおありでしょうが、わが軍にも立場がございまして、オーカー様が王に軍隊の派遣を命じましたからね。仕事させてください。さあさあ、どうぞお帰りを」
セーン一応言っておく、
「でも、コモドラには魔法使いが雇われていて、そいつは『魔の空洞』を操る気ですよ。あれで、北ニールはああなったんですよ。南にまで影響は出ました。じゃ、俺だけついて行きましょうか。無効化しないと危険ですよ」
すると、側仕えさんは、
「その、セーン様の無効化の件、うちの参謀が参考にしまして、装置を作成しました。今日はその装置の披露をすることになったそうです。ですから、ささ、お帰りを」
ヤモちゃんには、『帰ろうや、セーン。こうまで言われちゃ。お手並み拝見だな』といわれて、セーンも『その装置、ちゃんと動くのかな』とはいっても、これ以上粘る理由が無いので、帰る事にしたのだった。
べネルさんちにヤコを連れて戻ってみると、こっちの危機的状況とは裏腹に、例のヤコと絡んだ女の子二人を交えて酒なしの宴会か行われていた。セーン、思わず、
「わあー、ルーナ伯母さん張り切っちゃってー」
そう言いながら宴会場に瞬間移動してきた、セーンとヤコちゃん(ヤモちゃんはポケットに瞬間移動前から入っている、怒って疲れたのか休憩中だ)を迎えた女子二人、黄色い声をあげる。
「きゃー、聞きしに勝るハンサム。あなたが噂のセーンねっ。し、しびれるー」
「こ、この涎は伯母さんの料理の所為。決してセーン様拝見の涎ではなくってよっ。ハンカチ、ハンカチは・・・」
セーンはあきれて、
「オーバーだねぇ。お歳頃って言うのかな。伯母さん、これは何のお祝いなの」
「あ、これね。お祝いってわけじゃないけど、隣のクク爺さんの娘さんがきて、お父さんがお世話になったからって、高級お肉をもらったから、焼き肉パーティーなの、セーンもどう」
「俺はニールで今日明日は抜けられない例の事情があるから、帰るよ。ヤコは負けずに食えよ。お前の働きだろ。あ、これは内緒だったか。ま、いいかな。そのうち学校でも公然の秘密になるんじゃないか」
と言って立ち去ったセーン。平和な日々はこの辺りは失われはしなかったが、一方のコモドラの国一帯は・・・
セーンが帰った後、後れを取ったと感じたヤコちゃん、焼けた肉を伯母さんからてんこ盛りにもらい、その遅れを取り戻していると、地面が激しく揺れ出した。
「きゃー」
女子はすかさず横のヤコちゃん、及びねらい目のお兄さんジェイに抱きつく。
「うむ、地震なのかな」
べネルさんがテレビを付けると、臨時ニュースが始まっていた。
「臨時ニュースです。地震ではありませんが、ココモドラゴンの王国で異変があった模様です。用心のため海を航行中の船舶はご注意ください。海岸近くに居る方は至急海から離れてください。振動で津波に近い現象が起こるかもしれません、先日ニール国で起こった悲劇がココモドラゴンの王国でも起こった兆しがあります。詳しくは調査チームが出発して調査するとのことです。その報告を待つしかありませんが、この現象は似た状況を経験した船の船長から緊急連絡がありました。北ニールから始まったこの現象、すべてを根こそぎ消滅させる現象の正体は何でしょうか。今度はココモドラゴンの国に起こったようです。調査隊が先刻出発いたしました。メディア関係者も同行しました。連絡を待つしかありません。以上で臨時ニュースは終了です」
ルーナ伯母さん、
「何だか怖いわねぇ。コモドラで何が起こったのかしら」
ヤコちゃんがしゃべろうと、口を開けた途端、べネルさんが野菜を口に放り込み、
「野菜も食べよう」
と言いながら、『関わりの無い女の子が居るんだし、お喋りはやめろ』と、止められたのだった。




