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訳あり一家の長ニキとユーリーンの孫は隠れ超能力者。セーンにまつわるとんでもな数々の話題について ~気付かない内に運命急上昇中その3  作者: 龍冶


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第35話 オーカー、ココモ。ヤコの留学でセピアのべネル宅へ来る。ヤモの挨拶

 

 ここはニキ爺さん一同が帰って行った後のべネル家の食堂だ。思い通りの成り行きで(思い通りにはならない日々もあると承知している)満足しているセーン、ルーナ伯母さんお手製の、相変わらず美味な夕食をいただく。至極快適な時間を過ごしていたが、内心、それほど寛ぐわけにはいかないと思ってはいる。何せ、相手は新品の『魔の空洞』を置いて行った奴である。路地で始末した、あいつがそうとは限らない。あっさりくたばりすぎだ。

 べネルさんはニキ爺さん一同が居なくなったため、セーンに質問する。子供らが居ても男の子と思ってか、気にしない様だ。

「ところでセーン、先日の魔法使いは正体が分かっての事だったのか」

「いや、俺らが付けているのが分かって、路地に誘い込もうとするから、怪しい動きだと思ってやっちまったし。何処の誰かは分からないけど、でも、多分、見当はついているよ」

「見当がついているって?」

「そ、俺らに盾つくもの好きは、コモドラのあほうしかいないね。懲りない件はある意味感服するね。こりゃ、きっと全滅じゃないかと思うな。戦える奴がまだいるのかなってとこ。あ、居ないから魔法使い雇ったかな。うん、多分そうだ。残っているのは自称王と、その取り巻きの親類かな。だけど思い出せば、親類って言うやつはジジババっぽかったけど。自称王がくたばれば、後は一般人っぽいドラゴンだな。そうなったら、俺らに仕掛けて来るかな、知らんけど・・・おいヤモちゃんどう思う」

『魔法使いやっつけてから聞け』

「あれ、あいつじゃなかったって」

「使いっ走りだったろ」

「そうかぁ。そうじゃないかなとは思っていたんだけどね」

 セーンとヤモちゃんの会話を聞きつけたべネルさん、

「この前の奴は、下っ端だったのか」

 セーンに問い質す。

「ヤモちゃんによると、そのようです。つまり、まだ、魔の空洞制作者は健在です。はい、尋問後に始末すべきでしたです」

 べネルさん、

「まぁ現場は厳しい世界だからな。理屈じゃ通るまい」

 苦労人の見解を述べた。

 会話の間中、シューやジェイ、双子たちは黙って食べていた。

 セーンはふと思う。

「なぁ、お前ら。将来の仕事、まだ決まっていないだろうけど、警察関係者にはなるなよ。まえに見た映画、思い出しちまった」

 チーセンが聞く、

「どんな映画?」

「あのな、警察関係者になりたての主人公の職場が、未解決事件の再捜査課でな。初仕事で捕まえたのがそいつの親父だったって話。それ、避けろよ。他の仕事探してね」

「ぷっ」

 ラーセンが吹き出すが、

 シューが、

「笑えない話だ。昨日学校に察の関係者がパンフレット持って来た。『就職先決まらなかったら、ここに来てね』だと、おれらは行く訳にはいかないからな。こうなったら」

 すると、ジェイが、

「心配しなくても、俺らがセーンを追い詰めるのは無理だろ。やっぱり就職先無い時は、警官だろ?」

 べネルさん、きっちり、

「それやめろと言っているんだ、セーンは。お前らが追い詰めなくても、上司が居るだろが。だが、まぁ、あり得んだろうな、セーンだからな、逃げ切るだろう」

 ルーナ伯母さんため息交じりに、

「もう、お食事中に不吉な話題はやめてちょうだい」

「すみません、変な事話題にしちゃって」

「パパが言い出しっぺでしょ」

 ルーナ伯母さん検察の仕事でもしていたのか。

「ごめんねママ」

 冗談か本気か分からないような会話と夕食が終わったとき、セーン達にとっては、意外な訪問者のお出ましだった。


「えーこんばんわ、こちら、べネル様のお宅でしょうね。突然の訪問お許しください・・・」

 セーン、声を聴いて驚いた。

「あ、オーカーさんの付き人だ。じゃー、オーカーさんですか、」

 ルーナ伯母さん、うろたえる。名前を憶えていたのだろう。

「えー。オーカーさんて、あのオーカーさん?」

 他の、記憶のない人は、ぽかんとしていると、ココモちゃんの声が、

「そーです、そのオーカーと、ココモとぉー、ヤコでぇーす」

 そこで息子たちは大騒ぎで店先へ走り、(この家は玄関が店の出入り口)オーカーさんは勝手が違って、店で立ち尽くしていた。

 セーンも迎えに行き、

「オーカーさん、ようこそ、この店の入り口が玄関ですから」

 説明しておいた。内心、『この家に執事さんはいませんから』と追加の説明もした。

 オーカーさん、それで自分が話し出して大丈夫だと解釈した。

「突然の訪問、失礼します。私はオーカーです。初めまして。そちら、べネルさんでしょうか。グルード家ニキさんの長男の・・」

「はっ、そうです。私はべネルです」

 べネル伯父さん、相手が何者か思い出し、恐縮し出す。

「いやはや、お気楽に、あ、訪問者の言う事ではありませんでした」

「いえ、とんでもない、どうぞ中へ。どうも失礼しました」

 べネルさん、段々平常心を取り戻して来た。

 ぞろぞろリビングルームへ行き、皆思い思いのソファに座る。

 オーカーさんは執事さんなしのお宅は初めてと見えた。らしくない、おっかなびっくり風の物腰だが、きっとべネルさんに気を使っていると思ったセーンだ。

 セーンがきっかけを作るべきかと思い、

「オーカーさんは、今日はべネル伯父さんに、何がお話があるのですか」

 何となく察していたが、一応話を振ってみる、

「そうなんですよ、初対面の方にこのようなお願い厚かましいかと思いましたが、他に頼る人も居ませんし、ヤコがどうしてもと、いって聞かないので」

「ははぁ、と言いますと、ヤコちゃんは、やはり・・・」

 べネルさんも段々察して来る、

「ヤコも留学を薦められておりまして、そうしますと、ぜひともセーンさんの息子さんたちの通う学校が良いと言い張りますし、見知った人の居る所の方が、安心でもありますので厚かましくも、お願いに上がりました」

 べネルさん、いささか顔がほころび、

「オーカーさん、ご丁寧なあいさつ恐縮です。事情はお察しいたします。私も親から皆さんの事情は少しばかりですが聞いておりました。こっちは願ったりかなったりですよ。セーン、そうですよね」

 セーンも思わずニヤリとなった。

「そうですね。ヤコの方が先に学校だと騒いでいましたが。僕が何とはなしにチーセンとラーセンの先々の事を考えているのを、知っていたのでしょうかね。考えてみるとセピアに、双子について行く方法としては、これ以上の名案は有りませんよね。確かに利口なのは間違いなさそうです」

 オーカーさんも、

「私も、学校に呼び出されてセピア留学を薦められて驚いたのですが、ヤコに行きたい学校を聞いて納得しました。そう言う訳で、ヤコをチーセンとラーセンの側に置いてやってください」

「はい、喜んでそうさせてもらいますよ。オーカーさん自らお出ましになりセーン共々、ありがたい配慮に感謝しております」

 セーンも、

「どうもありがとうございます」

 と言っていると、ヤモちゃんがひょっこり出て来て、

「ヤコが勝手気ままをしていても、お世話してもらいありがとうございます」

 と宣った。セーンもこの文言には、聞いて恐れ入ったが、この件は知らん顔しておいた。

 ココモちゃんは相変わらず、ヤモちゃんにヘラリと笑っている。


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