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訳あり一家の長ニキとユーリーンの孫は隠れ超能力者。セーンにまつわるとんでもな数々の話題について ~気付かない内に運命急上昇中その3  作者: 龍冶


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第32話 チーセン、リーセンはセピア、べネル家へ。べネルの店でセーンが見つけたもの 

 

 ニキ爺さんの新築の館は、最近住人の出入りが激しい。残念な結果もあり出て行く方が多いのだが、ユーリーン婆さんは、寂しがる暇はなく、チーセンとラーセンのセピア公国留学の世話で忙しくしていた。セーンが思いついて、言ったその場でべネルにユーリーン婆さんが連絡して頼むと即、快諾された。双子の用意はさほどない。文房具にしろ通学服にしろ準備はセピアに行っての事だ。チーラは知らないことが多いだろうと言って、婆さん自らセピアに出向いて、世話をする気だ。べネルさんの奥さんは良い人だが、出来る事は婆さんが世話をしたいと言う。

 セーンとしては、行きたい人は瞬間移動で連れて行くつもりだ。ほとんどの物は、セピアで購入するので荷物はなく、手軽なので行きたい人を募ると、館の住人ほとんどが行くと言い出した。

 以前のヤコちゃんの台詞を彷彿とさせる輩である。執事さんは行きたそうに見えるが、留守番だ。後、ヘキジョウさんっ子の面倒を見ているヤーモちゃんが留守番組。ヤモちゃんは黙ってポケっとに居る。

 セピア行き組は当の本人二人に、爺さん婆さん、チーラとミーラ(ミーラはあれから居候を決め込んでおり、今回ももちろん行く)ニーセン、ユーセンはセーンにしょわれている。セーンは片手にべネル家への手土産、片手はチーラその先にミーラ。爺さん婆さんはシューとジェイが帰るときに行った事があるので、チーセンとラーセンと手をつないだ。

 執事さんは羨ましさを隠しもせず、

「行ってらっしゃいませ、皆様方。よろしゅうございますね、お揃いで。では、ごゆっくりどうぞ」

 と言ってのけた。ヤーモちゃんは無言。何処からかヘキジョウさんっ子の泣き声がする。『ヤーモ機嫌悪いのか』ヤモちゃんに聞くと、『べつに』と言う事だが。


 瞬間移動でべネル家へ行くと、セーンは初対面だったが、べネルさん夫婦には歓迎された。

「セーン君。会ってみたかったんだよ。やっと会えたな。儂が伯父さんのべネルだよ」

「セーンです。チーセンとラーセンがお世話になります」

「なんの、なんの、シュー達が色々ピンチの折には助けてもらっていたんだ。儂らも何かせずにおられるものか。大した世話は出来ないが、ちゃんと食わせて学校に行かせるから心配はいらん」

「べネル様、奥様。私、母親のチーラですの。ちゃんと躾が出来てはおりませんが、お世話になります。恐らく悪さをしてご迷惑をおかけするでしょう。そのような折には、御存分に制裁をお願いいたします」

「ははは、チーラさんは面白い人だね。そんな台詞は初めて聞いたな、ルーナ」

「ええ、2人とも可愛いお子さんですわ。私どもの上の子はみんな独り立ちしてしまって、少し寂しかったんですけど、これからは楽しく暮らせますわ。セーンさんのこれまでの御恩をきっちり返させてもらう機会が持てて、嬉しくてたまりませんわ」

 セーン、『ルーナ伯母さんの台詞も珍しいな。初めて聞いた』と思ったが、愛想笑いで済ませた。

 ユーリーン婆さんも、先ほどから孫たちへのお土産を渡したりして、お愛想を済ませ、会話に加わった。

「皆、言いたいこと言う性格で、楽しい日々が送れそうね。あたし達、独り立ちして居なくなった子の空き部屋に泊まって良いでしょ」

「そりゃ良いさ、と言いたいところだが、二部屋はこの前と違って空いていないんだ。魔道具を持って来た魔法使いが居てね。常連さんだから断れなかったんだ。危険は無いと思うけど、父さんと母さんはホテルにしてくれないか。俺が部屋代出すから」

「べネル、誰に向かって言って居る。儂は今では北ニール一の金持ちだ」

「言うねえ、爺さん。今じゃニールには、他に金持ちとか、誰も居ないしね」

 セーンはそう言いながら、その魔道具とやらを点検しに倉庫代わりとなった部屋に行ってみた。

 ざっと部屋を眺めたセーン、見つけてしまった。

「おい、ヤモちゃん。もしかして、あの棚の上に、何げなく置いてある巾着袋、例の奴と違うか」

 ヤモちゃん、欠伸をしながら顔をのぞかせたが、ポケットから飛び出て、

「そうだ、それも新しいぞ。誰かこいつを作る能力を持った奴が、ここにわざと持って来たな」

「げっ、どんな奴か分かるか」

「気配を消しているけど、戻って行く時は油断したな。後はつけられる。どうする。今から行けるのか」

「さっさと片を付けておくべきだろうな。皆が居るんだから」

「セーン、これ、無力に出来るだろ」

「無力って?どうするんだ」

「んー、使えなくするんだけど、何時かそう言う事していたと思ったけどな」

「何時?」

「ほら、前に城で歌、歌っていたじゃないか」

「あれ・・・、今から歌うの?チーラが勘違いしそう」

「いーだろ、そのくらいのこと」

 『そう言うの?』セーンは、ヤモちゃんの指示により気が進まないながら、歌いだす。歌い出すと、興に乗って来るのが、この歌の特徴と言える。終わりごろはノリノリとなる。

「あいー、あいーがすべてー・・・」以下省略

「ま、セーン様ったら、どうなさったのかしら」

 チーラがほほを染めると、

 爺さん、婆さん、

「ああ、魔物が居たんだろうな」

「あの声、結構効くのよねぇ。魔物には」

 と、冷静に言うので、チーラはそれ以上の事にはならず、冷静に出されたお茶をすすった。ミーラは、『あたしって魔物かしら』と思うが、チーラに『違うってば』と釘を刺される。


 セーンは興に乗ったまま、魔法使いを追っていくヤモちゃんと出かけた。

「何処へ行く気かしら」

 チーラが呟くと、難しい顔をし出したべネルさんは、

「魔道具を売りさばいた魔法使いを、追っているな。いつもの奴に化けていたようだ。魔物だろうか」

 ニキ爺さん、

「魔物は昼間っからは、さすがに出て来ないだろうな。老魔法使いだ。魔物化しているな」

「へー」


 自室に居たシューとジェイが、興味が湧いて来たらしく、客間に顔をのぞかせた。チーセンとラーセンも一緒に居たようで、皆、少し不安でもあり客間に集合したのだった。

「セーンのあの歌、何?すごくうまかったけど何だか変な感じ」

 そこでユーリーン婆さん、説明する。

「昔っから魔物は不浄な奴と言われているんだけど、セーンの癒し能力12の力を使って、愛の歌を歌うとね。『愛』って単語がまた、魔物が聞きたくない言葉な訳よ。魔物は癒しパワーも嫌いだし、『愛』みたいな美しい単語も嫌い。それでその癒しパワーに当てられた魔物はくらくらしてきて、へなへなになるしで、力が無くなり倒れてしまうみたいよ。小物の魔物は死んでしまうのも居るのよね」

「へー」

 皆はユーリーンの説明で、セーンの能力に改めて感心した。


 一方、セーンとヤモちゃんは気配を追っていたのだが、いったい何者を追っているのか自覚していなかった。しかし、テレパシーで家に居る皆の様子が分かり、話している事から、どんな奴を自分らが追っているかを知った。セーン呑気すぎではないのか?と言うのも、この歌、歌いの技、自分も少し癒されていた。それでぼうっとしていたのだ。

 知らない場所の路地前まで来て、

「此処は一人ずつ縦になってじゃないと進めないけど。危険じゃないかな」

 セーンが言うと、

「じゃあ、俺が先に行こう」

 とヤモちゃんが言う。セーンはそれも少し違う気がした。

「そう言ってほしいんじゃなくてね、中に入ったら不味そうな予感がするんだ」

「此処まで追って来たのに」

「魔の空洞、まだ別の持っていたらどうする」

「歌いながら入ったらどうなんだ」

「来たのがばれちまうだろう」

「さっきから、入って行ったらどっちみち、ばれて、やられるって言いたいんじゃなかったのか」

「うーん」

 セーンは首を傾げて、欠伸が出た。

「セーンは段々眠くなるっといった所なのか」

「眠らされそうになっているのかな」

 セーンは、現在どっち道、魔法使いの術にかかっていると感じた。もしも聞いている奴が居たらちょっと恥ずかしいと思いながら、例の歌を歌うしかないと分かっていた。

「あいー、あいー、あいー、あいがすべてーあいーあいー。あいーこそー、あいこそー。すーべーてーあいー」

 ヤモちゃん、

「俺が先に行くからな、ついて来い」

 と言って路地に入った。

 セーン、「あいーあいー」歌いながら、『ヤモちゃん、今日はかっこよくないか・・・』と思う。

 セーンはヤモちゃんの後に続き、路地の先で、何かが落ちて来たのが分かった。

 ドスッ

「あーいーがすべてー、なんだろあれー、あいー」

 歌と、ヤモちゃんに話しかけミックス。

 ヤモちゃん、その何かを攻撃する。やっつけたのか、

「あーいーあーいー、こーたーいーすー、あーいー」

 つぎも、歌と話しかけ、ヤモちゃん飛び上がって、セーンと交代すー。

 セーン、さっさとパワーを出すー。何かがばくはつー。

「あーいー、あーいー、すべてはーあーいぃぃー!」

 セーン歌い終わり、結果を見る。行き止まりの壁に血とか、肉片らしきどろどろの何かがへばりつき、上の方には・・・毛髪みたいなのと、

「ギェッ、人が爆発したのか・・・魔法使いか」

「おそらく」

「ヤモちゃん、さっさとずらかるぞ。理由はどうあれ、セピアは人殺しは捕まるからな」

「うん」

 二人でさっさと瞬間移動した。

 べネルさんちの店の中に着地した二人、誰かに見られなかったかと、焦ったが、今日は臨時休業と表に張り紙がしてあり、無人の店の中だった。ほっとしたセーン。硝子のドアだったが、加工されたガラスで、外から見えない仕様で安心だ。

 気配がしたのか、べネルさんが中から出て来た。

「魔法使いをやったんだな、誰にも見られ無かったろうな」

 心配の種を作ってしまったと分かったセーン。

「見られなかっただろうな、多分。路地に監視カメラはないだろうと思うけど。でも、あの歌を歌って、弱らせたから、聞いた奴はいるかもしれない」

「セピアでは出来るだけ、歌わない方が良いな。だが必要なら仕方ないが」

「そうですね」

 そこへ伯母さんが愛想よく表れて、

「さあさ、夕飯は歓迎会なのよ。食堂で皆で宴会よ。もう準備できているの」

「有難うございます」

 セーンはさっきの事は吹っ切って、愛想よく笑った。


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