第28話 その後セーンリューンの所で人型ドラゴンの正体、土ドラゴンのオーカー。コモドラの事情。等‥聞く。セーン子守をする
セーンはココモちゃんが知らないドラゴン二人と一緒に瞬間移動して立ち去ったのを見送った後、直ぐに『どうして俺はあいつ等の所へ行ってドラゴンの正体を、はっきりさせなかったのだろう』と自己嫌悪状態になった。
「最近俺、調子狂ってるな」
と呟いて、空き腹を抱えて、リューンさんちへ行ってみる。朝ご飯も当てにしていた。
やはり、リュ-ンさんは朝ごはん作成中だった。そこへ瞬間移動でやって来て、セーンは開口一番、
「あ、やっぱり二人分あるね。リューンさんは昔気質だけど、やっぱりいい人だ」
「その昔気質ってのは、ユーリーンの言い草の受け売りだな。チーラさんが居るからお上品な言い草だったが、いつもは、石頭とか、融通の利かない奴と言われている。ほら食え」
「うん、ありがとう。リューンさんはあのドラゴンの正体を知っている?」
「ああ、面と向かっては会った事無いが、あのオーカーと呼ばれていた奴は、土ドラゴンの先王だ。まだ統治する能力はあるが、若い者に位を譲って隠居の身分だな」
「へぇ、そうなの。それと一緒に居た側仕え風の奴は何かと意味深な言い草だったな。オーカーってやつに黙っていろとか言われていたけど。何が言いたかったんだろうな」
「ふふん、それはな、ココモちゃんを生んだ例のココモドラゴンの王は、未婚だったが」
「え、じゃあ、現在の王ってぇのは、先王が未婚でも子作りして生んだとか」
「いやいや、一般のドラゴンは知らないが、あの王は先王の子じゃない」
「じゃあ、例の先王の能力を受け継いだ子じゃないって事」
「そうさ、お前が会った事のある先王の弟の子だ。一般向けには先王の子と発表しているが」
「カハッ、どっちも偽の王か。さすがコモドラさん」
「セーンのところではコモドラに略したのか」
「そうそう、正式名言うほどの奴らじゃないってとこな」
「なるほど、そして話を戻すとだが、噂では先王とあの時分は土ドラゴンの王だったオーカーは恋人だったらしい。これはごく一部の側仕えしか知らない事だ」
「へぇ、と言う事は、ココモちゃんはひょっとしたら」
「そうだ。そのオーカーが父親だろうな。しかし、あの頃は獣人国の隣の魔国が幅を利かせていて、土ドラゴンとの争いの和平の話し合いで土産としてもらい受ける事にして、土ドラゴンの人質状態のあのココモドラゴンの王を取り上げた。結婚していたわけではなかったからな。王であったオーカーだが身内の反対を押し切るほどの力は無く、ぐずぐずしている内に、仲を引き裂かれたと言う話だ」
「何で皆、人質とか土産とか言ってあのドラゴンを国に連れて帰るんだろ」
「おい、お前と同じじゃないか。あの獣人国の王の様に、皆パワーが欲しいのさ。魔法使いの魔術で、パワーを吸い取れるようになったからな。実のところ、自分の持っているパワーでもないのに、吸い取ったところで大した力になんぞにはなりはしない。魔法使いの方便に乗せられて、地位のある奴らが、もっと力が欲しいと、強欲に吸い取ろうとする結果だ。魔術で吸い取るって言うのは、大した量は行き来できない。吸い取る能力を持っている奴しかちゃんと吸い取れない。お前も聞いた事があるだろう。俺らが若い頃幅を利かせていた、木の根、あの魔物の力を見た魔法使いが真似て魔力を吸い取る術を考えだしたが、所詮は術の一種でしかない。生まれ持ったパワーの奴のような力を持てはしないんだ。強欲な王らには分からない真実だ。それはそうと、飯食ったら家に早く帰って、子守を手伝った方が良いな」
「えーっ、子守?」
「そうだよ、親無しッ子が大勢いるだろ、ヤモちゃん達では手が足りない。ユーリーンや双子の大きいのまで子守をさせられているな。お前も早く戻って手伝うときっと株が上がるぞ。ヤコちゃんにはあの時、帰りが遅かったと思われているし。俺が止めたとコンタクトしているけど、ヤコちゃんと俺とでは話がかみ合わんな。あ、誰でもかな」
セーンは急いで出された朝ごはんをかきこみながら、
「帰ったところで、子守とか無理と思うけど。あ、顔見せてれば気が済むのかもしれないな」
リューンさん、
『こいつ、チーラさんから甘やかされていたな』
と思ったが黙っておいた。
セーンはリューンさんの忠告で早々戻ったと思われないように、何気なくヘキジョウさん用の託児所らしき、ココモちゃんとヤコちゃんの居た部屋を開けてみた。
「皆、此処に居るみたいだな。あ、前のヤーモちゃんみたいなのがこんなに沢山・・・」
じろっとセーンを見たヤーモちゃん、
「懐かしいだろ、2,3人しょわせてやろう」
「え、しょわせるって」
「寒くて泣くんだ。このころはみんな親にくっついて温まって居たいんだよ。3人じゃ抱いていると何もできないだろ。背中にしょったら良いよ。背中の広いチーセンとラーセンは4人ずつもしょってくれたんだ、偉いね」
「ほんとかよー、パパ感動した。泣けてくる」
そう言いながら、しくしく泣いている子を見ていたセーンに、ヤモちゃんが前に泣いている子を後ろに機嫌の良い子を紐で括った。括られた泣き虫っ子はすぐ機嫌がよくなって、セーンの服をもぞもぞ扱っている。
「ヤモちゃん、こいつまさかおっぱいとか探していないよね」
「人間じゃないからな、おっぱいとかやらない。手ごろなポケットを探しているんだろ」
「ポケットかぁ」
セーンは、『そういえばヘキジョウさん達、ヤモとヤーモ以外は俺のポケットに入らなかったな』とぼんやり思いながら、チーラに今日見たココモの事を言っておきたくて、チーラの部屋へ行こうとしていると、ヤモちゃんが、
『セーンのポケットには、他の誰も入らせなかった』
とコンタクトして来た。
『なるほど』
そう言っておくしかなかった。
チーラのところへ行くと、ニーセンとユーセン相手に、
「…な人、手をあげて」
手をあげてごっこをしている。
「手をあげて、ごっこの第一人者は、現在、実の父親に見つけられて、その住処に連れて行かれた。俺としてはもう、止められなかった」
「そうだったの」
と言いながらセーンを見たチーラ、ヘキジョウさんの親無しっ子をしょっているセーンを見て、何とも奇妙な口元で、おそらく吹き出して良いものかどうかって考え中。
「わらいたけりゃ笑えよ。おかしいと思った時に笑わないと、きっと偏屈婆ぁと呼ばれるよ」
「まぁ、失礼ねっ。孫以外に、ばばぁと呼ばせる気は有りませんのよっ」
「ふふん」
セーンはソファに座ったものの、背中にヘキジョウさんっ子をしょっているのを思い出し、
「これじゃ、ソファに座っても寛げないな。わりと子守は大変だな」
「そうなのよ。やっと分かってくれたみたいね」
褒められたのか、けなされたのか。セーン少し考え、
「褒められてはいない。けして・・・」
そんなまったりした時を過ごしていたセーン達だが、セーンは感じた。
『やって来やがるな。奴ら。懲りないな。ハッ、魔法使いまで連れて来やがった。いよいよ、大馬鹿さらす気だな。妙な術使おうったって、俺さまに効く術なんか存在するものか』
横からチーラが、
「セーンに効かせる術じゃないかもよ」
と、ごもっともな忠告をされた。
「そだね」
そう言っておいたセーンは、闘志が、そして闘気がめらめらと湧いてくるのだった。




