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訳あり一家の長ニキとユーリーンの孫は隠れ超能力者。セーンにまつわるとんでもな数々の話題について ~気付かない内に運命急上昇中その3  作者: 龍冶


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第27話 出て行ったココモ。空腹で大きな魚をくわえ失神。人型ドラゴンに拾われる。セーンはそれを見ていた 

 

 セーンは食堂に行くと、皆に一応報告した、

「ココモ、朝飯も食わずに居なくなった。拗ねてどこかへ行ったようだな。当てがあるような場所、思いつかないけど」

 ユーリーン婆さんは、

「可哀そうに、きっといたたまれなかったのね。自分の仲間が酷い奴らだったんだから」

「そうでしょうねぇ、セーンは朝食を済ませたら、ココモちゃんを探しに行くのでしょう。きっとお腹を空かしているでしょうに」

 チーラにそう言われるし、ユーリーン婆さんにも同情されているココモ。セーンは自分が薄情な奴だと感じた。利己主義的な奴とも言える。

 食欲もさほど沸かないので、さっさとさがしにいこう。


 一方、当のココモちゃん、どうやら皆から嫌われているような気がしてきた。今更だが。それで胸がいっぱいになり、初めての事だが、食欲もないので、館の庭をうろうろしていたのだが、

「みんな、僕の事怒っているみたい。嫌いなのかな。僕はみんな大好きなんだけど」

 そう呟いて、

「遠くに行った方が良いかな」

 と、リューンさんちの近くまで来たものの、

「此処は遠くとは言えなかった…皆知っている所だな」

 と呟くと、海の上を瞬間移動ではなく、浮いた感じでじわじわ移動した。と言うのも、行く当てがない。

「知らない所に行くのは、難しいし、知っている所は全部行ったら不味そうな所ばかり」

 ココモちゃん、自分で口に出すと、状況が身に染みて来た。

「セーンとこに戻りたいけど、セーンはきっとヘキジョウさん達が死んだのは、僕の入っていた卵を拾ったせいだと思っているな。これは間違いなさそうだな」

 海上から下を見ると、魚が沢山集まって泳いでいる。

「昨日、魚一匹食ったらうまかった・・・生でも食えるんじゃないか」

 魚を取ってみようと、海へ飛び込んでみた。すると魚は思ったよりも大きかった。ココモちゃんとしては、魚をくわえて捕まえ、そのままかじって生で食うと言う計画だった。

 内心でかすぎて無理だと思ったはずだが、実際の行動は、必死で魚を追った。海の上から見た魚のイメージは昨日リューンさんちで食べた20㎝程の魚だったが、現在ココモちゃんが追いかけているのはその2、3倍は有りそうだ。しかし、大きさを無視して追うココモちゃん。言うなれば、ヤケである。そして、後ろから追うから捕まえられないと思う。素早く前に回る。これが出来るのなら、後ろからでも捕まえられるはずだが。ココモちゃんヤケ気味で気が付かない。自分の身体能力をほぼ把握していないココモちゃんだ。

 前に回って、魚の群れを口を開けて待つ。捕まえて食うつもりだが、大きすぎやしないか。忠告してくれるものは側には居ない。

 ココモちゃんの目論見は見事に外れ、魚たちはココモちゃんを避けて通りすぎる。ほとんどの魚は・・・。何処にでも愚か者は混じっている。一匹。ココモちゃんの口の中に、見事に入って来た。勢い込んで、喉の奥まで突っ込んで来た。

「ぐうっ」

 魚はすっぽりココモちゃんの口の中に納まる。咀嚼どころか、顎を動かすどころか、息も出来ないココモちゃん。『多分死ぬな、僕』と思いながら気を失う。

 プカリと浮かびあがる、ココモちゃん。息はかすかに出来ているようだ。魚は頭からココモちゃんの口の中。


「面白い奴が浮かんでおる」

「ハハハ」

 誰かの笑い声が聞こえて来た。

「こいつ、もしかしたらあのお方の子かな。気配が似ておる」

「私は会った事はございませんから、何とも・・・」

「ふむ。おい、目が覚めておろう。何処の阿呆か。そんな魚、食い様があるまい。顎が外れてはおらぬかな」

「魚を退けましょうか」

「ずいぶんご親切な言い様じゃな。自分で吐き出せぬのか、こいつ」

「見た所、無理の様で」

 ココモちゃん、自分で息をしていたと分かった。誰かが見ているので仕方なく、目をパチッと開けてみる。

 自分のみっともなさが段々分かって来たココモちゃん、海上にぷかぷか浮かび、口には魚が頭から突っ込んでいて、動かしようもなく、もしかしたら、こいつらが言っていた顎が外れた状態かもしれない。魚を口から出すべきだろう、触ると、日に照らされて暖かくなっている魚。これでは、生では食えないと分かる。スポッと魚を口から出すと、

「腹すいた」

 思わず言うと。海の上を少し浮いているらしい人型のドラゴン二人に、大笑いされた。

 随分人懐っこそうな笑顔だ。こんな笑顔、最近は誰もココモちゃんに見せる人はいなかった気がする。

「きっと嫌われていたのに、気が付かなかったな」

 泣きたかったが、セーンが慰めてはくれないのに、泣く意味は無い事に気付いたココモ。『泣くには側にセーンか誰かが、ヤモちゃんかな。どっちかいないと・・・』

 すると、

「セーンとヤモは何故ここに居ない。誰の事だ」

『この人型ドラゴン、考えている事分かるんだな。リューンさんみたいだ』

 ココモは、最近皆の様子から、リューンさんは人の考えていることが分かるのが分かっていた。

「こいつには大勢面倒を見てくれた人が居たようだな」

「言葉から、ニールの人間と思えますね」

「うむ。おい、お前はどうしてここで、魚をくわえて浮いておったのだ。言え」

 言えと言われると、ココモは口に出すと、泣いてしまいそうな予感がした。知らないドラゴンの前で泣く訳にはいかない気がする。

「魚、捕っていたんだ。魚が口の中に入って来たからね。気を失ったんだ。大部寝てたな」

「とぼける奴だな。聞いているのは理由だ。分かっておろうが」

「・・・皆、僕が嫌いになったんだ。セーンと仲良しのヘキジョウさんはみんな死んだんだ。ココモドラゴンに殺された。セーンの子供をさらおうとやって来て、ヘキジョウさん達はセーンの子供を守って戦って死んだ。僕は、そいつらココモドラゴンの仲間だからね。皆とは一緒には暮らせないんだ。だから、遠い所に行こうと思ったら、朝ご飯がまだだったから、腹がすくし、魚を取って居た所」

「セーン?噂のあのセーンの事か」

「たぶんね」

「では、オーカー殿、このお方は、やはりあのお方のお子様であり・・・」

「黙っておれ」

「はい」

「そのセーンとやらは、お前を嫌っておるのか」

「・・・そういえば、セーンは泣いてばかりだったから、分からない。怒っていたのは他の奴だったな。ヤモとかヤコちゃんとか。それは僕が悪かったんだ、ヤコちゃんは頑張っていたのに、『馬鹿ココモ』って言われて、『のろまのヤコ』と言い返したけど、小さい子に言い返して大人げなかった。僕はもう大人らしいんだ。ヤモは人型が大人だと、本当に大人だって言うんだ。ドラゴンの格好の時は、栄養失調で翼も発達していないんだけどね。僕もうドラゴンの翼は、出来上がらないかもしれないな。飛べないだろうな。ヤコちゃんは生まれたときから翼が出来ていて、飛ぶんだけどね」

「そうか、だがまだわかるものか。滋養のあるものをたくさん食べれば育つかも知れぬ」

「そんな気がしては居るんだけど、なかなかね、翼は育たない。ヤモちゃんは僕が食い物の話しかしないと言って怒るけど。翼の事考えてたら、仕方ないと思うんだけどな」

「ヤモちゃんとは、誰の事かな」

「ヤモちゃんは、ヤコちゃんを生んだヘキジョウさん。セーンの使い魔だけど。地下に住んでいた魔物だって。ヘキジョウさんは皆セーンの使い魔で魔物。ニキさんの家の壁に居たんだ。セーンがニキさんちに来てから、名前を付けて使い魔の契約したって言っていたな。年寄りは壁の上さんって呼んでたな。皆揃えて、壁の上一家ともセーンは言っていた。皆仲良しだったのに、僕と同じココモドラゴンが嫌な奴で、僕は一度あいつらと暮らすことにしたけど、逃げだしたんだ。変な薬飲まされて、人型になったけど、ドラゴンに戻るやり方教えてくれなくて、いやになって逃げだした。セーン達が助けに来てくれて、セーンと一緒に居たら、ドラゴンに戻れたけど。その時ヤモちゃんが僕が大人の人型だったから、僕はもう大人だってさ。出て行こうと思った時ヤモちゃんが遠くで言っていたこと聞こえたけど、セーンは死の間際のドラゴンと、卵を孵して(僕の事だけど)、僕を大人になるまで育てるって約束したそうだけど。僕は人型ではもう大人だったから、セーンはもう瀕死のドラゴンとの約束は果たしているって言うんだ。だから僕は出て行くべきだと思う。ドラゴン達はセーンの子供をさらって人質にして、僕と交換しようとしていたらしいってみんな思っているけど、そんなの変だと思う。僕に用が有れば僕をさらえば良いはず。だからきっと、セーンに意地の悪いことしたいだけさ。奴らはすごく根性悪いし、いやな奴らなんだ。僕だってあんなドラゴンが身内だなんて、嫌だな。だから僕は出て行くべきだと思った。おじさんがどのドラゴンか知らないのに、ココモドラゴンの悪口言っているけど、良かったかな。腹が立つようなら、黙るよ」

「いや、ココモドラゴンの悪口は聞いても良かったよ。儂も嫌いだからな。お前の身内らしいが、いやな奴は身内だろうと居ることもある」

「そうだよね、奴らの事、話せてよかったな。なんだかせいせいした。じゃ、俺また魚捕って来るから。今度は少し小さい奴にしよう。さっきはバカだったな。あはは。ヤコに馬鹿だって言われても事実だったしな。怒る事なかったのに」

「おいおい、魚を捕る事などは止めろ。儂の所に来て朝飯を食べろ」

「食い物くれるのか。知らない奴にみだりに親切にしない方が、良くはないかな」

「儂に忠告するのか。大きなお世話だ。まだお前に教えられる事など無いぞ」

「僕が知らない奴に連れて行かれるのはどうなのかな。と思うけど、どうせ行くところは無いし、ついて行こうかな」

「そうそう、ついて来い。儂の家ならお前はきっと歓迎されるぞ」

「へぇ」

 すると、その男の側仕え風の人が、

「さあさあ坊ちゃん、私に捕まってください瞬間移動しますから」

 等と言うので、何だかどこかの地位のあるドラゴンに拾われたようだと思った、ココモちゃんだ。『良いもの食べさせてもらえそう、ラッキー』とお気楽に喜んだのだった。


 そんなココモちゃんの様子をかなり上空から眺めていたセーン。気配を探して魚をくわえたココモちゃんを見つけたのだが、二人の人型ドラゴンがココモちゃんを見つけているのが見えて、様子を窺っていたのだ。

「ココモ、大人になったのかな。かなり真面な会話していたな。それにしてもあいつら誰だろう。瞬間移動を付けて行けば勘付かれるし、こっちも空き腹だから深追いは止めたけど。気になるな。リューンさんに聞いてみよう」



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