第25話 リューンさんの釣った魚を4人で食べ、泊る。留守の間にココモドラゴンがニキの館を襲い、ヘキジョウさんが犠牲になる。全滅すると、ヤコが能力を出す
識者は語る。
「大統領の一存や、議会の決定で一概には決められないでしょう。と言うのも、我が国の君主カーピン公爵の家業は、外国の重要人物が、我が国を訪問した際の接待と一般人は解釈しているようだが、古には国を治めていた訳で、そんな古の一時期ココモドラゴンの王と国を挙げて懇意にしていた歴史が有り、今でも季節ごとに国の特産物を送り合うという付き合いをしている。互いの下々の国民がどうかと思える行いがあっても、我が国の君主はこれからもココモドラゴンの王族とは個人的にでも付き合う事となると、私は予想しております」
識者〇〇さん、アナウンサーの女性が相槌に困るような、見解を述べた。
アナウンサー、頑張る。
「はあ、では、我が国のカーピン公爵様は、国の接待係以外の事も行っているという事実、個人的にででも、ココモドラゴンの王族とはお付き合いをしていくであろうと言う〇〇さんの見解で、ニュースイッチの放送は終わります。視聴者の皆様、ご覧いただきありがとうございます。明日も見てね!(ここでウィンク)」
「おしまい」の文字で消えた画面。今日の放送はおしまいらしい。
セーンは、
「へー、知らなかったな。セピア公国の君主、見かけなかったけど、君主ってのは居たんだな。俺は接待されないしな。知らない訳だ。で、ココモドラゴンの王と季節の品物送り合っていたのか。多分食い物だろうな。そして、下々のする事とは、関係なくて、戦争でも初めたとしても、王達と付き合うって言っているんだよな」
すると、ココモちゃんは、
「と言う事は、セピアの王は、ココドラ王からもらったものは、下々にはやらないって事か」
「ココモちゃん、王の呼び方、略すことにしたんだな」
「多分、セピアんとこ行っても、俺には何もくれないって事だから、短くしたよ。リューンさん、魚2匹でもいいよ、皆で半分こする」
リューンさん、ため息をついて、
「分かった、分かった。一匹ずつやるよ」
「ありがと、リューンさん。僕、魚一匹食べるの初めてだよ。楽しみ」
リューン叔父さんの家に4人で泊まり、次の朝、ニキ爺さんの館に戻る事にした、セーン一行。
セーンは予定よりかなり早く目覚めた。と言うのも、なんだかいやな感じがしてきたのだ。虚無感を覚えた。どうせ、間に合わなかったんだ。事実を知る前にその感情を覚えた。
セーンの感じたいやな感じ。それはこう、始まった。
ユーリーンは寝不足の重い頭を振って、普段ならまだ目覚める時間にではない早朝、
「嫌な感じがするね」
そう言って、最近の同居者の内、一番気を付けておきたい面々の部屋へ向かった。双子のチーセンとラーセン、幼いリーセンとユーセン、それと、四人の中の誰かのポケットにいつもいるヤコちゃん。不安になって、彼らの寝顔を見ていたい。
部屋のドアを開け、ベッドに並んで眠る、リーセンとユーセンそしてその間にちょこんと収まっているヤコちゃんをそっと側から眺める。
すると、意外にもチーセンとラーセンが起き上がり、
「お婆ちゃん来たね。でもお婆ちゃんの助太刀だけじゃ。間に合わないな」
「お爺ちゃんも居るじゃないか」
二人の会話にぞっとするユーリーンだ。
「あんたたち、いったい何が始まるって言うの」
「ドラゴンが攻めてくる、セーン達は途中にあるリューンさんちに泊まってからこっちに戻るけど、間に合わないし。ヘキジョウさんはドラゴンにきっと殺される。もう力の差は見切られているな」
「あなた達、逃げなきゃ」
「何処へ、あいつ等も瞬間移動出来るんだよ。体力もあるし、逃げきれないな」
「僕ら、多分つかまるけど、殺されないから安心して、お婆ちゃん。だから逆らわないで。お爺ちゃんにもそう言ってよ」
「ああ、レンやジュールがミーラを連れて獣人国に行ってしまった今、襲って来るなんて。行ってなければよかったのに」
「居なくて良かったよ。居たら殺されていたよ」
チーセンが言った。
ラーセンも、
「ドラゴン達と戦う力のあるのは。此処に居ない、パパ達だ。でも無事にはすまないだろな。かえって、居なくて良かったんだ」
随分達観した言い様だ。
隣の部屋から、顔色を変えたチーラが入って来た。
「外にココモドラゴンが、音もなく降り立ったわ。ヘキジョウさん達が戦っているけど、かなわないようね」
音もなく戦っているのが、不気味だ。きっと寝込みを襲って、子供たちを連れて行きたいのだろうが、皆それほど愚かではない。
ニーセンが起き上がり、
「お爺ちゃんが怪我してる」
と泣き出した。
「まっ、あの人ったら行くなっていったのに」
ユーリーン婆が外に出ようとすると、
「お母様、行ってはなりません」
チーラがすがりついて必死で止めるが、
「ほっといて」
あっという間にユーリーンは外に出た。すると、ヤコちゃんが後を追いかけた。
ラーセンが動こうとしたが、
「やめとけ」
チーセンが止める。
その時みんなの心の中に、ものすごいパワーの咆哮が聞こえた。
「なにっ、今のは」
チーセンとラーセン、もう気持ちに逆らえなかった。二人も居なくなり、チーラは、
「もうどうにでもなれよっ」
幼い双子を抱いて最後に外へ行ってみる事にした。
外の惨状はチーラの想像以上だったが、それでもニキ爺さんはヘキジョウさんにガードされていたようで、ユーリーンの癒しで回復しそうだが、ヘキジョウさんはほとんど全滅ではないだろうか、しかしココモドラゴン達もほとんどの個体が、バラバラだ。誰がやったのか。先に来ていたチーセンとラーセンは気持ちが悪くなってしまったのか、隅の方に座り込んで、胃の中の物を出してしまっていた。
チーラは惨状を、恐る恐る見回す。
「あれは、何…誰、人?」
ドラゴンのバラバラになっている死骸の上に誰かがいた。血まみれのその人は立ち上がると、背中には天使の羽根の様な大ぶりの・・・翼である。ドラゴンの様な翼、羽根は無い。顔に見覚えがあった。
「ヤコちゃん、ヤコちゃんなの。ヤコちゃんが助けてくれたの。良い子ねぇ。チーラのところに来てちょうだい」
「ヤコたーん」
「ヤッコッターン」
ニーセンとユーセンも呼ぶと、あっという間にいつもの小ぶりな大きさになって、血をぶるぶるっと跳ね飛ばして、とことこ飛んできた。
それを見たニキ爺さんは、
「とんだ大化け野郎だな。こいつの正体は何だと思うユーリーン。親は誰だ」
尋ねられたと思ったヤコちゃん、ニキ爺さんを目を瞬かせて見ると、
「ヤモちゃんの卵から産まれました」
『それは、知っているんだけどね』
ユーリーンは思った。




