第24話 城から逃げるとココモだけ違う船に移動。その後リューンの船に移動。ドラゴンに追いかけられる。ドラゴンはセピア公国の船を襲う
目指すセピアの船の底に着くと、セーン、ヤモちゃん、及びヤーモちゃん。お互いの顔を見合わせ、此処に居ない奴の行方を探る。
絶望感を漂わせていたセーンに伝えるヤモちゃん、
『ココモは、ここより南に間違えそうな、土ドラゴン国行きのセピア船の船底に居るな。パン食っているが、あっ、パンの中に機械が入っている。きっと行方不明者用の機械だけど、飲み込むと発動し出すんじゃないか。えーとこれの名前は・・・』
『位置情報発信機か。セピア製だな。おいココモ。パン食うな。中に位置を知らせる機械が入っている。食うな、一個見つけて食っているって。一個だけじゃないかもしれない。パン何個も持ってきていないよな』
『そんなに持てないよ。パンの中見たら2個入ってたよ』
『位置情報装置、飲み込んだらお前は連れて帰らないかならな』
『どーしてっ。直ぐそっちに行く』
パンを片手に瞬間移動して来たココモちゃんを皆でじっと観察する。セーン、ほっとしながら
「ココモちゃん、パンの中の機械全部出したのか」
『うん、ちゃんと出した。よく見たら、6個入っていた。だけどどうせセーンの家知っているくせに。位置情報調べとか変だな。頭悪くて、忘れたとかかな。でも全員忘れたのか』
賢いココモちゃんはさっき、声がでかいと注意されたので、テレパシーで言う。しかしその内容は・・・。セーン、またため息をつく
「あのなココモちゃん、俺らが家に戻る前に奴らはココモちゃんを捕まえようと思って、位置情報装置を付けようとした。ココモちゃんの素早い判断で、その計画は未然に防げたがな」
『なるほど、あいつらそれでも利口じゃないと思うな。もう王は正式に居るのに、あいつ自分が王だと言っていたな。あっ、じゃぁ、本物の王を殺す気なんじゃないか?』
ココモちゃんが段々利口な事を言い出すので、ヤーモちゃん遂に、
「ココモ、下らないしゃべり、やめろ。俺らに利口なココモを見せびらかす気か」
セーンは、
「わー、皆利口なしゃべりが止まらないんだ」
と茶化すと、今度はヤモちゃんの順番なのか、
「ユーリーンさんが、セーンと居ると皆利口になるようだと言うんだ。でも、俺の頭は利口にならないな」
と冷静に分析するが、セーンは『はたして、そうかな』と思う。4人で、寛いでいると、船のイベント会場付近が、騒がしくなってきた。
「あいつら。これほど愚かだとは・・・」
船の上部は、セーン達の誰も想像していなかった結果になりつつある。ほとんど誰が居るか等気にせず瞬間移動していたのだが、どうやらセピアの要人たちのパーティ会場になって居た所にドラゴン達が飛び込んで来たようだ。
要人の護衛達が、ドラゴンに発砲した。セーンはきっとこれは、大々的にニュースになると思う。セーンが学生時代に習った記憶にある、ドラゴンとの不可侵条約をセピアが守るのはこの先、難しくなるのではないか。ドラゴン達が先に守らなかったのだからどうしようもない。銃声が激しくなってきた。と言うより近くなってきた・・・
「まさかあいつら。この船底に入ってこようとしているのか。不味いぞ。皆、違う所に瞬間移動だ」
「どこへ行く気だ」
ヤモちゃんの悲壮感マシマシの問いかけに、セーンは。
「あ、リューンさんが夜釣りしている。あの船は大きいから、4人乗れるだろうな」
『あー、あの船に行くってぇー』
ヤーモちゃんは以前の失態を思い出したのか、急に意気消沈となった。セーンは構わず皆を連れてリューンさんの船に瞬間移動した。
ドテェッ
「わわっ、揺れる揺れる。沈ませたくないよう、お前ら、俺を殺すなよっ。」
「ごめーん、リューンさん。ちょっと焦っちまったな。魚落ちてないかな」
「今日は不漁なんだ。そこんところは良いけど。さてもう戻るとするかな。戻ったらテレビをつけてみようかな」
「え、リューンさんテレビ買ったの。ゲーム機は」
「俺がそんな事する訳ないだろ」
「でも一人暮らしは会話が無いから、ボケやすいらしいよ」
「お前は、今、人の家にお邪魔しているという認識はないのか・・・。おいっ魚食うな。今日は不漁でお前らにやる魚は無いっ」
「嘘だっ、セーンに怒って、僕にまで意地悪するんだ」
「おやー、お前はココモちゃんか。見違えたぞ。色男」
「えへへ」
「ココモ、リューンさんは多分褒めていないと思う」
ヤモちゃんが重く忠告する。リューンさんが何もかもお見通しなのに最近勘付いたらしい、ヤモちゃんだ。
ヤーモちゃんは気付いていないのか、目を瞬くと、リューンさん、ヤモちゃん、見比べた後、ココモちゃんをジトっと見た挙句、セーンに『どういう事?』と言うが、せーンも
『どうしたんだろ』と首を傾げておいた。
リューンさん専用の港に着くと、軽々と魚の保管ケースを持つ。
「何匹捕れたの」
セーンは一応聞いておく。
「七匹だ」
ココモちゃんは、
「一匹ずつ食っても、二匹も余るよ」
「いつも、いつも、食い物の話」
ヤモちゃん急にシビアな物言いになる。
「食い物の話したら悪いのか」
「あさましい奴」「・・・」
「あのね、ココモちゃんはまだ発育終わってないから。お腹が直ぐにすくんだよ」
セーンはなんとなく、とりなしておいた方が良い気がしていた。
皆で部屋に入ると、
「さーさー。テレビを付けよう」
リューンさんは御機嫌だ。
予想通り、臨時ニュースで放送している。ココモドラゴンが大勢、セピアの船に居るセピアの要人を襲ったとアナウンサーが興奮している。この内容は予想以上の出来だ。
「この誤解は不味い方向だな」
リューンさんは言った。セーンも同感だ。愚かなココモドラゴンは何処までも不味さを上乗せしていくようだ。ニュースでは、さらに言い募るアナウンサーにテレビの前の皆はぎょっとする。
「〇〇さん(おそらくセピアの識者と思しき人)、このようなココモドラゴンのセピア公国への急襲、その原因はどうお考えですか」
「恐らく、最近の我が国の土ドラゴン国への急接近に、牽制をかけたのでしょう。しかし、我が国が土ドラゴンの国と貿易を開始するのは、このような暴挙では止められるはずがないものを。貿易担当大臣が現在危篤状態ですが、彼が倒れたところで、次には新しい担当者が、貿易の開始を進めるのです。わが国には担当大臣はいくらでも変わりが居ます。ココモドラゴン国の統治者たちには、我が国の国民が99%の就学率と言う事の意味が分かっていない。それにしても、ココモドラゴン国の就学率、測れますかな。恐らく統治者は国民の人数さえ知らないはずです。それよりももっと肝心なことは、あの国には学校と名の付くものは無いのです。収入に余裕が有れば子供は家庭教師を雇って学ばせるでしょうし、大きくなれば獣人国に留学と行った所でしょうか。獣人国で少しは常識を学ぶでしょうが、ほんの一部のそれもトップの子息だけでしょう。それに比べると、土ドラゴン国は我が国とは最近交流が深まり、一般人にも教育の必要性有りと言う事で、能力のある子どもは全て学校に行かせるという法律が出来ています。近年彼らドラゴンの種類別にレベルに差が出来てきました」
「はあ、そうだったのですか。それでは今後の我が国のココモドラゴンとの国交の方針は、どうなりますかね」
「ったく、どうなるか知らないけど、ココモはもうあいつらには、渡さないからな」
セーンの言葉に、安心して欠伸をするココモちゃん。
セピアからの放送はさらに続く。




