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訳あり一家の長ニキとユーリーンの孫は隠れ超能力者。セーンにまつわるとんでもな数々の話題について ~気付かない内に運命急上昇中その3  作者: 龍冶


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第20話 追いかけて来たココモドラゴンにヘキジョウさん達は初回有利なので戦う。後、別のココモドラゴンがやって来てヘキジョウさん達と交代。ココモちゃん故郷へ

 

 チーラさんの今まで聞いた事の無い言葉に、少し感動したセーン、

「おやっ」

 と、呟いてチーラさんを見ると、怒っている感じがする。

「セーン(様は無くなった)、酷いじゃない。直ぐ帰るって言ったのに、どうせリーやレンは居ないんだから、すぐ戻れば良いものを。すぐに戻らないから、奴らに襲われたんでしょ。ぼんくら」

「あれ、チーラ。少し会わない間に随分ここに馴染んでいるね」

「皆が馴染み方を教えてくれたのよ。ひとりでセーンを怒っていた時にね」

「ふうん、でもそろそろ忙しくなるからね。抗議は後にして。追手が来る」

 話していると、他の皆や、ヤモちゃんも来た。

 ヤモちゃんは少し眉をひそめ、

「セーン、不味い奴、ずいぶんたくさん来る」

「だろうね。あいつらココモちゃんの味方なのかな」

 欠伸をしながら聞くセーン。

「違う。ココモドラゴンだけど勢力争いしている相手方だな。薬もられたなセーン。少しだけど。セーン、本調子じゃないな」

 それを聞いたユーリーン婆さん、

「そうなの。あたしじゃ癒せないかしら」

「しないよりはましだな」

「ま、ヤモちゃん、言うわねぇ」

 おかしな会話が聞こえているが、セーンは段々眠くなってきた。『ずいぶん効き目の遅い睡眠薬だな』と思っていると、

「睡眠薬じゃない、効き目のかなり遅い、毒薬だ。だから普通は、どこで誰に飲まされたか分からないものだ。セーンは感じたな、呑気だから睡眠薬と思ったようだけど」

 ユーリーンは

「セーンしっかりしてよ」

 と言っているが、セーンにはかすかに聞こえる程度だった。『どんどん不味くなるけど、手遅れになってないよね』

 うとうとしながら思う。


 セーンが気を失っている間に、ドラゴンの追手が、20匹以上ニキ爺さんの館の前に集まった。ヘキジョウさん久しぶりに戦うつもりだが・・・。生憎と言うより、幸運にもと言った方が良いが、ココモドラゴンの兵士はヘキジョウさん達を認識できていない。初対面の相手には認識できないという、ヘキジョウさん独特の、魔の特徴がある。そして、ヘキジョウさんの掟では〈認識していない相手とは戦うべからず〉と言うのがあるそうだが、それで一応、困るヘキジョウさん達に、一番歳が若いヘキジョウさんとなったヤーモちゃんが、

「主人が殺されそうになったのに、何を迷っている」

 と発言し、それもそうだと戦う事にしたヘキジョウさん達だ。

 ドラゴンがヘキジョウさんを認識していない内が勝負と言える。ドラゴン20数匹相手ではさすがのヘキジョウさん達も、まともに戦えば負け戦だったが、チャンスは最初の戦いの今だけだ。

 すさまじい戦いが始まった。それを危なくない距離で見ていたニキ爺さん。

「外で戦いが始まって良かったよ、そうじゃないとまた家が無くなるところだったな。ヘキジョウさん、良い戦いぶりだな、さすが魔物」

「ニキったら呑気ね。これでおしまいにしてもらわないと、二度目は無いね」

 ユーリーン婆さんはセーンの癒しを終えて、ニキ爺さんの側におり、爺さんに意見する。

 その後テレパシーで『もう一度戦わなけりゃならなくなったら、ヘキジョウさんは不利よ。体格が違うもの』

『その頃には、セーンは回復するんじゃないか』

『だと、良いけど』

 ほかの面々も、心配げに見ていると、そこへ現れたのは、さらに十数匹のココモドラゴンの集団だった。

 チーラとミーラは恐怖で失神しそうになる。

 しかし、早々と回復したセーンは、気が付いて慌てて戦いを見に来たタイミングで、倒れそうになる2人を支え、

「多分、今のは味方だ、オーラが味方っぽい」

 と、解説した。頭の上にはココモちゃんが乗っている。

「もう、大丈夫なんですか」

 チーラににっこりされて、セーンは一層の回復感を感じた。『さっきはチーラが不機嫌だったせいで、毒が回ったみたいだな』と思った。

 その後の戦いは、ココモドラゴンどうしとなり、ヘキジョウさんは一旦引いて、休憩だ。怪我をしてしまったのが居るので、セーンは急いで癒した。

「あれ、セーン。治ったの」

 ヤーモちゃんが喜んで、くっつく。ココモちゃんとにらみ合う事となった。

 内心笑ってしまうセーンだが、後ろからヤコちゃんも来て、背中におぶさる。随分甘えられると思うが、ヤコちゃんもいつの間にか成長していた感じで、

「セーンどこ行ってた。探しても居ないし」

 と、しゃべりだした。背中にしょわれているくせに、翼はパタパタさせている。

「危ないから、飛ばずに後ろに居ろよ」

 と言っておいた。

 そのうち、ドラゴンどうしの戦いも味方が勝利したらしく終わり、敵味方とも人型になった。敵方は負傷していたが、セーンとしては癒すことは出来ない。


 味方側のボスらしい割と迫力のある風貌の男が、セーン達に近寄り、

「王子、セーン様、ご無事で何よりです。私はココモドラゴン王の使いでココモ王子をお迎えに参りました。騎士隊長のタクルと言うものです。敵方に先を越されて面目ございません。城を攻撃されていて、お迎えの先を越されてしまいました。王子を狙うものが多く、此処であずかっていただくには、御迷惑になるばかりでございます。どうか王子を引き取らせてください。我々は王子の味方です。どうか信じていただきたいものです」

 周りの皆は、セーンとその騎士団長とやらを見比べている。

 セーンはココモちゃんに、

『どうする、ココモちゃん。こいつは味方と違うか』

『うん、味方っぽいね。でも行きたくない』

「どうやら味方っぽいのは分かりますけど、ココモちゃんは行きたくないと言っています。偽物について行って懲りたのでしょうから。少し時間が必要でしょう」

 とセーンが答えると、クーラがセーンのそでを引き小声で、

「ちょっと、あんたが居ない時レンが来て、ジュールはココモドラゴンの国に行ったって言うのよ。ホントに居るかどうか聞いてさ、ココモちゃんを故郷に連れて行って帰りにジュールを連れ帰ってもらえないかしら。今日でなくても良いけど、その気になればで良いけど・・・」

「そりゃ、初耳。聞いてみようか」

 こそこそ二人で話している間に

「ジュールに言っておいてよ。僕はまだ戻らないからってね」

 ココモちゃんが先に意見を言った。

 クーラは小声で、

「はぁー」

 と言って、がっくりしている。

 騎士隊長のタクルさんは、

「そうですか、しかし、王子の居所が知られていますから、また追手が来るでしょう。此処にお住いの皆様方には、ご迷惑じゃないでしょうかね」

 ごもっともな意見を言われたココモちゃん、首をぐるりと回して、御迷惑じゃないかという面々の様子を窺う。そして、

「迷惑な人。手を挙げて」

 誰に習ったか、他の奴なら言いにくくて決して言わない台詞だ。

 注意しようにもどう言えば理解できるかと思案しているセーンだが、うまい具合にそういう機微の無いヤコちゃんが、

「そんな事言って、手を上げる奴いるか?手上げたら、怒って後でつつかれる。俺上げたいけど、つつかれると痛いから上げない」

 それを聞いて、すでに怒ったココモちゃん、

「ヤコちゃんどうしてそれ言う。僕迷惑?僕ヤコちゃんに何もしてない。つついてない」

「次、ドラゴンと戦って、ヤモちゃん怪我したら困る。ヤコ困る。ココモ、国に行け」

 笑っちゃいけない所だが、思わずクスリするセーン。幼かった者たちの知恵比べの会話だ。成長したんだなとしみじみ思うセーン。

「わーん」

 ココモちゃんは泣いた。可哀そうだがヤコの言う事は正論だ。ココモちゃんは負けたと思っただろう。

「ヤモちゃんには嫌われたくないもん。行けばいいんだろっ」

 やけっぱちらしいココモちゃん。

 話が決まりそうなのだが、ここでヤモちゃんが引っ掻き回す。信じられない台詞をはく。

「此処に居ても良いよ。居ろよ。俺、怪我しないように戦う」

 クーラさん、

「わぁ、何だか涙が出てきちゃう」

 黙って様子を見ていたニキ爺さんが、

「茶化すな、クーラ」

 と、しかる。

 セーンは、ドラゴンさんが待っているし、そろそろ決め時だと思い。

「どうする、ココモちゃんは。ヤモちゃんは此処に居てもいいそうだぞ」

「僕、ヤモちゃんが良いって言うと、嬉しいけど困る。僕、悪い奴の気がして困るから。ホントの僕んちに帰る。セーンついて来い。ジュール連れて帰るだろ」

「そうだな。それが一番良さそうだ。偉いなココモは。大人になったのかな」

「そうだ。ココモは大人になった」

 騎士隊長タクルさん、にっこり、

「では帰りましょう、王子」 



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