動かされたコマ
どうするか3人で考えていたが、一向に解決には向かわなかった…
そこに、盤上をどうやっても進めるコマが動いた。
洞窟の何も無い所に裂け目のようなものが出て来て、そこから大きさは2m位の大男が出てき一言言った。
「君たちにはガッカリだよ…と言っておこう。」
「だ、誰だ!?」
当然、突然のこと過ぎてびっくりするカノープス。
「ふむ、我が名はノスタルナハト、エイデンの絶望卿だ」
とここで今知りうるいちばん危険な集団で最も会いたくない存在のエイデンの、絶望と名乗る人物が現れた。
「な、なんで、こんな所に…そもそもここは、」
「君が殺してくれた、シエテも元々この学園にいたんだ、そう驚くな。」
と何かを見透かす様に、カノープスのような当事者や上層部しか知らないような事を言った。
「あんなにいい先生が、まるでエイデンの様な言い方は頂けないなぁ…」
とカノープスはシラを切って相手の出方を伺った。
何故、今までどんな敵にも大きく出ていたカノープスがこんなにも下出に出たかと言うとそれは簡単な話だ。
カノープスは自分のコピー能力は勿論、魔法、剣術、体術に対して並ならない自信があったのだ、それはそのはず、カノープスは師匠という最高の師に自分のNo.にも戦える実力があった。そして初めて学園に来て戦ったアルファに対して本気を出さずして勝てると密かに評価していた。
あの時は実力隠しと言う面で敗北したが姉があと一手で負けそうな時に横槍を入れたのがその証拠だ。
だが今目の前にしているこの相手は、師匠すらも凌駕する圧倒的な何かがある。
そして本能的に勝てないと示唆していた。
「ほう、ケテルはこんな奴を警戒しているのか…」
(こいつ…ケテルの事を…!?)
「ほう、貴様、ケテルの事を覚えておるのか」
「なっ」
心の声がまるで聞こえているかのような返事が帰ってきたことにまたも驚きを隠せなかった。
「思考盗聴、魔法の基本だ。」
「…何を隠しても無駄ってことか。」
「そうだなその後ろにいる死に損ない共もな」
「…ゼータとイプシロンか。」
「さてと、我はこの盤面を動かせと言われな」
「では、手始めに。」
「カノープス・アストリア」
『「死ね」』
とヨハネと同じ魔術を唱えた。
「っ!?」
(生きている?)
不意に即死魔術を繰り出された事に対応できなかったが何故か生きていたカノープス。
「ほう、その名が偽りか真名か己もわからぬものかそれとも、何かしらの護りが働いているか。」
「ならば、」
「っ!」
絶望卿が動く前にカノープスは動いた
「こい、魔剣よ!」
「アクセラレーション全開っ!!」
魔剣を取り出し極限までアクセラレーションで加速し絶望卿に斬りかかった。
「うおおおおぉ!!!!」
「良い一手だな」
絶望卿は高速でまっすぐ斬りかかってくるカノープスに背中を向けてカノープスが向かってくる反対側を刺した。
「ぅ"っ"!!」
「叫び、まるで一直線に来るかのように思わせて、背後から一斬り」
「我でなければ、良い一手だ。」
『「コピー」』
ふふふと不敵に微笑む絶望卿とは別に一斬り受け咄嗟に距離をとり、コピーで負傷前のカノープスの体に戻した。
(こいつ、わざと急所を外したな…)
「そうだとも、戦いとは命の取り合いそれがすぐ終わってしまうのは、寂しいのでなぁ」
「…っち!」
と舌打ちをし
「ノスタルナハト!!」
『「死ねっ!!」』
とヨハネの即死魔術をコピーした。
が
「ふはははは、」
「我にそんな程度の知れている魔術が効くと思うか?」
「魔術の基本だ教えてやろう魔力に圧倒的な差があればどんな効力だろうと意味をなさないものなのだよ」
「見せてあげよう、頂きに立つものの力の鱗片を」
と絶望卿は両手を広げ魔法陣をいくつも自分の周りに作り出した。
「我が身も、滅ぼす、一撃、殲滅、混沌、燼灰に溺れろ」
『「絶望(Verzweiflung)」』
そう唱えると周りの地面は徐々に砕けカノープスは謎の無重力感に襲われたその瞬間全てが弾け飛んだ。何もかも山ごと吹き飛んだ、正確には山の周りも全て吹き飛んだ
そこには、絶望卿ただ1人
俺の出番か…
そう何も無い空間から残留思念が聴こえる
そして時が巻戻り
カノープスは
こう言った
「ゼータ、イプシロン」
「何も言わず、俺に力をよこせ」




