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9/11

変な髪型のオッサンをオススメに出したユー◯ューブこんにゃろ。頭から怯えろ竦めが離れないんですけど!!

 ホレーショ・アイアンズ大将がメチャクチャ嫌そうな顰めっ面で固まっていた。一先ず紅茶を飲んでソーサーに置いて一息。


「え、何。MAtを乗せた群隊が確認されたのか。配備が速すぎる」


「はい閣下。ダイアスポア中将、ワン中将の両名から映像と共に。敵の増援の際に転換されたのでしょう」


 エルモソ=オチョ中将はそう言って映像を流す。敵のキングケートスの上下左右に立つ敵のMAが映る映像が流れた。


「対応が速い。しかも想定した中でも特級に嫌な代物だ。この思い切りの良さは帝国の宰相殿とジジイだろうクソッタレ。敵の忍耐力も段違いだ」


「此方も大将の援軍が来ていますし、映像を見るにASAL(対艦装備液)の塗装された武器が無いのは不幸中の幸いですね」


「秘中の秘だぞそれは。もし漏れてたら諜報部のヤツ等を蹴飛ばしてた。取り敢えずタロス部隊に盾の装備を通達しておくか。盲点だった盾を指摘してくれたドゼー大佐には感謝しなければな」


「中庭の剪定作戦、少々不安材料が増えてしまいましたね」


「戦争なんてこんな物だ。それこそ敵兵士も民間人も皆殺しにして戦後を考えずに戦争が出来るなら全てAIに任せた物量作戦が一番手っ取り早い。味方の被害も気の狂う人間が大量に出て敗北を認められない敵のテロで星が一つ二つ消滅するくらいの話だしな。まぁ銀河という範囲で見れば些事だろう?全くもってこんな不愉快な話も無いが」


「AI戦争の話を持ち出されては誰も何も言えません」


「配備状況はどうなってる?」


「各戦域にMAt戦隊を配置しております。強引な配置の割には練度も高く特にオオクゴ少将の戦隊は実戦さながらの訓練を行いましたから」


「アレは良いデータが取れたな。さて、ブリーフィングを始めようか」


 ナカノニワ星団

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 ◯星域港湾惑星

 ◎連合国惑星軍駐屯惑星

 ◉帝国惑星軍駐屯惑星

 ●惑星軍交戦惑星軍

 戦場


 A惑星ビノ

 ホレーショ・アイアンズ大将

 Bビノ・ガーデンレールロード間戦線

 イチバンガッセン・コクタン中将

 C惑星エンリン

 ダイアスポア・ラスター中将

 D惑星ガーデンレールロード

 サム・ワン・ウェイジェン中将


 アイアンズ大将の乗艦アガメムノンに諸将が集まった。


「まぁ速い話がオスカル・フランツ大将の合流の後に第二戦線の指揮を取って貰う。ビノ戦線からガーデンレールロードの戦線で一気に進軍し敵を粉砕。そのまま私がワン中将の担当するガーデンレールロード戦線に合流する形で行こうと思う」


「力押しですな。我等らしい良き戦です」


 サム・ワン・ウェイジェン中将が二度三度頷く。小柄で有るが岩石の様に鍛えられた身体を持つ壮年男性だ。不敵にして頼もしい笑みを浮かべ編み込んだ髭を撫でている。


「私もMAtに乗ってみたいものです。どうにかなりませんか大将様?」


 キラキラとした目で妙齢な外見の女性アンドロイド義体がシナを作ってねだる。戦闘狂のコア・プシュケーで前線至上主義のダイアスポア・ラスター中将だ。


 アイアンズ大将が若干の疲れを滲ませた半眼をホログラムに向けた。


「はいはい。ダメに決まってんだろバカが。てゆーかまた私の好み勝手に調べやがったなこの球コロ」


 前より自分好みの外見に換装された擬態をキレ気味に睨む。


「本当、平気でプライベート覗くんじゃねーよオメーらよォ!!」


 そう言って両拳使って台パンする大将。マジギレで有るがしゃーない。娯楽至上主義のコア・プシュケーは肉体を持たず生殖もしないのでこう言う言う事を割と平気でする。しかも生物の特性上仕方ないが悪気なくやるからマジで困るのだ。


 彼等、いや彼女ら?性別がないので何と言っていいかコア・プシュケーとしては生身の身体を持つ生命体で言う贈り物だとか話し合いくらいの交渉の一環程度な感覚なのである。


 会合してすぐの頃など彼等は娯楽や趣味さえ合えば非常に付き合い易い種族だが、男女の諍いに事欠かず誹謗中傷の類いで夢魔の石などと呼ばれる事さえあった。


「ハッハッハ。プライベートなんて。大将の視線データをちょっと集めただけですよ」


「そーゆーのがイヤだつってんの!!もう五百年も生きてんだから知ってんだろ!!」


 舌を出して斜め上を見て笑みを浮かべ額をコツンとした。アイアンズ大将的にはブン殴りたい光景である。ドロップキックでも可。


 さて連合国の戦力配分としては以下の通り。


 第一戦線ホレーショ・アイアンズ大将。

 鯨壁戦力、主力艦5625隻艦隊団。

 隷下5艦隊、中将4名少将20名。

 散兵戦力、主力艦625隻。

 隷下25群隊、准将25名。

 MAt27000機。


 第二戦線イチバンガッセン・コクタン中将。

 鯨壁戦力、主力艦1125隻艦隊。

 隷下5戦隊少将4名。

 散兵戦力、主力艦125隻。

 隷下5群隊、准将5名。

 MAt13500機。


 第三戦線ダイアスポア・ラスター中将。

 鯨壁戦力、主力艦675隻艦隊。

 隷下3戦隊、少将2名。

 散兵戦力、主力艦43隻。

 隷下3群隊、准将3名

 MAt13500機。


 第四戦線サム・ワン・ウェイジェン中将。

 鯨壁戦力、主力艦900隻艦隊。

 隷下4戦隊、少将3名。

 散兵戦力、主力艦189隻。

 隷下9群隊、准将9名

 MAt13500機。


 援軍オスカル・フランツ大将。

 鯨壁戦力、主力艦2250隻艦隊団。

 隷下2艦隊、中将1名少将8名。

 散兵戦力、主力艦250隻。

 隷下10群隊、准将10名。

 MAt3000機。


 ナカノニワ星団連合国総戦力。

 総司令ホレーショ・アイアンズ。

 主力艦11807隻。

 MAt70500機。


 ナカノニワ星団帝国総戦力。

 総司令ウラジーミル・ポチョムキン。

 主力艦12568隻。

 大型MA50000機。


 第一戦線ウラジーミル・ポチョムキン大将。

 鯨壁戦力、主力艦5625隻艦隊団。

 隷下5艦隊、中将4名少将20名。

 散兵戦力、主力艦750隻。

 隷下25群隊、准将30名。


 第二戦線フェルディナン・フォルバン大将。

 鯨壁戦力、主力艦3375隻艦隊団。

 隷下3艦隊、中将2名少将12名。

 散兵戦力、主力艦750隻。

 隷下25群隊、准将30名。

 大型MA母艦300隻30000機。


 第三戦線チャォ・ファウー中将。

 鯨壁戦力、主力艦900隻艦隊。

 隷下4戦隊、少将3名。

 散兵戦力、主力艦43隻。

 隷下3群隊、准将3名。

 大型MA母艦50隻5000機。


 第二戦線エルヴィン・ロイエンタール。

 鯨壁戦力、主力艦900隻艦隊。

 隷下4戦隊、少将3名。

 散兵戦力、主力艦225隻。

 隷下9群隊、准将9名。

 大型MA母艦150隻15000機。


 フェルディナン・フォルバン大将隷下第077大型MA母艦に配属されたジークフリート達は戦いの時を待っていた。第077中隊の部隊カラーは薄灰色で、そんな色のSma1ポイアス五十機が主人を乗せて並んでいる。


 対空長砲身バルカンとサブマシンガンを背負っているSma1ポイアスの操縦席に座るジークフリートはアダルベルトとジンの機体に通信を繋いだ。


『どうしたジギー。緊張してるのか?』


『モッグモグモグ……』


 アダルベルトが笑って、ジンがサラミバーを食いながら通信に応える。


「いやアル。緊張もしてるけど暇なんだよ」


 そう言って笑うジークフリート。彼の横には空になった軍事チョコバーの殻袋が浮いていた。それを見てアダルベルトはヤレヤレと首をすくめ。


『なるほどな。じゃあ暇でも潰すか?』


「ゲームでもしようか」


「お、ならジギっちゃん、アーちゃん。ゲーム買ってるぞ。新作」


「ジン、お前それ戦争中にできるヤツ?この前のダイスみたいなのだと連携取れなくなるぞ。無難にポーカーとかにしようぜバー掛けてさ」


「えぇ……まぁ良いけど。ジギっちゃんノリノリな」


 リングを操作してチョコバーとサラミバーをチップにブラックジャックを始める。ジンとアルベルトが死んだ目でバーストックを見ていると音声通信が入る。


『こちらリカルド、総員に告ぐ。護衛任務を賜った。初陣だがブリーフィング通りやれば良い。トマス少尉、ケラー曹長の指示をよく聞いておけ!ハルトマン軍曹、行くぞ!』


 リカルド・イグアン中尉の通信が途切れれば直ぐにラインハルト・ハルトマン軍曹の通信が繋がり厳つい顔がメインモニターに写る。


『D分隊、中隊長殿の話は聞いたな!!』


 アッシュは即座に機体のエンジンを蒸す。警報音と共に母艦の上下が開いた。


『行くぞ!点火!!』


 長方形の母艦を足元に残してジークフリート達が飛翔する。推進器がうねり横五列縦縦列の縦陣で進み砲身艦に降り立つ。


 味方のポイアスの推進器の輝きを見ていたジークフリートは機体降下と共に戦況を把握する。ヒートレイをバリアで弾きながら敵の壁の如き砲身艦が迫ってきていた。身の毛がよだつ。


 SCT操作をする為に首にはめたリングにコードを繋ぐ。視界が黒く染まり体感3秒から五秒ほど。身の丈が20㍍になっても海の中で巨大生物を前にしたような感覚。


『迎撃準備!!』


 ラインハルト・ハルトマン軍曹の声にハッとして長砲身バルカンを構える。アダルベルトを始め狙撃能力の高かった者達が狙撃電磁砲を構えた。


『右敵艦側面、敵MAです!!』


 ジンの声。


 ポイアス達が主人の動きに合わせて身の丈もあろうバルカンや電磁砲を構える。


 距離凡そ30㌖。四本レールの銃身25㍍もある狙撃銃が紫電を発して弾丸を射出した。宇宙空間を延びていく雷光数発が敵の隊列を乱す。


 逆に言えば敵に避けられてしまった。


「情報より角張ってる?」


 ジークフリートの違和感。それは二発目の着弾と共に氷解した。


『盾だと!?新素材か!!クソッ分隊、弾幕張るぞ!!』


 距離凡そ10㌖。ラインハルト・ハルトマン軍曹の声。バルカン21基が回転を始め火と鉛玉を吹く。


「盾が硬すぎる!!」


 ジークフリートはバルカンに加えサブマシンガンを掴んで撃つ。辛うじて電磁砲のみが盾を凹ませていたが他の攻撃は全く通じない。


『クソッ!!』


『待て!!オニオ二等兵!!』


 ジンがラインハルト・ハルトマン軍曹の静止を聞かずショットガン片手に突っ込んだ。しかし次の瞬間には上から右足を撃ち抜かれ転倒する。隊長機らしきガゼルの様な真っ直ぐな角が生えた群青の機体が着地し足を踏み潰した。


「ジン!」


 バラバラになった機体の胸部を中心にパーツが無惨に宙に浮く。角の生えた機体が立ち上がって四肢砕かれたジンのポイアスの胴体を手で払い退けた。彼の後ろに59機の大型MAが続いて着地し盾を構えテストゥド隊列を作る。


 全身をはじめ盾の合間から延びる銃口が一斉射。電磁砲を装備した機体から的確に打ち崩し一機づつ砕け散っていくポイアス。友軍の絶望を孕んだ悲鳴が通信機を通じて届く。


『ち、チクショオオオオオオオ!!』


 最後の一機となったアダルベルトが決死の思いで中央を狙って電磁砲を放った。その一撃が盾の一つを曲げて吹き飛ばしたが即座に穴は埋められて反撃を受け逆に穴まみれに。退避しようとSCT(感覚接続技術)操作を切り替えたがアダルベルトのポイアスは両足を砕かれ沈黙した。


「アル!くそっ!!クソオオオ!!!」


 ジークフリートが、D分隊の全員が効きもしない攻撃を怒りと恐怖で続ける。それに合わせた様に敵に動きがあった。突如として円陣を組んだのだ。


『トマス小隊だ!!』


 リカルド・イグアン中尉の通信。下部を護衛していた大型MA達だ。角の隊長機が突如円陣から飛び出る。何事かと思えばくの字にヒン曲がった盾を突き出しトマス小隊へ向かって飛んでいく。


 曲芸飛行のようにうねる機体、電磁砲の弾丸を避けて数秒の直進。四肢が動きアサルトライフルの銃口が輝く。


『隙がない!!操作切り替えが早すぎる』


 リカルド・イグアン中尉の絶望に滲んだ言葉と共に電磁砲を持つ機体の頭部が吹き飛び角の機体が着地。呆然とした小隊達がアサルトライフルの餌食になる。推進器に直撃したのか数機が大爆発した。


 そして電磁砲とガトリングが奪われる。瞬に5機が撃ち抜かれた。そして円陣を作っていた機体達が飛び立つ。


 追撃しようとした味方が即座に電磁砲で貫かれた。


「つ、強過ぎる。……?」


 視界に違和感。


「……っ隊長!砲身艦の推進機が!!」


 ジークフリートの言葉に第077中隊の面々が思わず視線を。その先では推進器の部分の装甲が円形に輝きグズグズになっていた。


『なっ!?小隊、撤退だ!!如何しようも無い!!』


 即座に飛び立つ中隊、ジークフリートは二人の友人の機体を探す。


『アッシュ二等兵!!何してる!!ウスノロめ!!』


「でも軍曹!ジンとアルが!!」


『案ずるな。幸運にもオッド二等兵も突撃バカも無事だ。サッサと行くぞ』


 そう言うラインハルト・ハルトマン軍曹の両手にはいつの間にか二人の乗機胸部を掴んでいた。


『姿勢固定、操作変更』


 そのまま機体が固定され飛び立つ。


『急げ!!死にたいのか!!』


「サ、サーイエッサー!!!操作変更!」


 ジークフリートのポイアスが飛び立つと同時に護衛していた砲身艦の推進器周りの装甲が燈色に溶け凹み船尾が炸裂して動きを停止した。

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