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エイリアンハンドシンドローム  作者: たつたろう
決戦
15/20

裏路地

 5月6日 午後6時52分 裏路地



 ☆☆☆side浅原啓太☆☆☆


 入口は以前も通った一箇所のみ。

 どうやら袋小路になっているようだ。

 上手くいけば奇襲したあとにすぐさま逃げ切れるが、下手をすれば逃げられなくなる。

 そうなれば多勢に無勢だ。そのうえ、下手に刺激しようものなら、久美子が危ない。


 時間は惜しいが、正面から堂々と行くわけにはいかない。

 やはりどこかの建物に登って、上から攻めるしかなさそうだ。


 裏手のほうに運良く廃ビルがあった。

 そこから忍び込む。



 ――よし。

 上手く奴等の上に来れた。


 敵の数は、二人。思ったより少ない。

 武器を持ってもないようだし、久美子は縛られている様子も無い。

 これなら飛び降りざま二人をなぎ倒し、そのまま逃げられる。


 行くか。



 狙うは例の車のボンネット。

 高さにして四メートルくらいだ。

 音を立てないように気をつけながら、飛び降りる!


 そのまま転がるようにして二人に近づき、身構えるより早く足払いをかける。


「浅原君!」

「ほら、急ぐぞ!」


 久美子の手を取って、せかす。

 たった一つの出口に向かって!



 ザッ



「残念だったね」


 少年達が三、四人、出口に立ち塞がる!


「そいつらはおとりさ」

「くっ」

「そっちからくるのはお見通しでね。もともと、一人たりとも逃がす気はないんだよ」


 後ろの二人も立ち直り、出口を塞ぐ。


「しまったな……」

「この考えなしが。アンタのせいで巻き添えになっちゃったじゃないの」





 ☆☆☆side北条友香☆☆☆


「おしゃべりはそれくらいにしてもらおうか。こっちにもつごうがあるからね」


 ――お姉ちゃん!

 なにこれ、どういうこと?


「お前達、自分のしてることが分かってるのか?」

「ああ、よく分かってるさ。あれがばれたら俺たちゃ終わりだ。なんとしても口封じをしないといけない」

「今ならまだ間に合う。おとなしく自首しろ!」

「ひき逃げは重罪だ。今日びガキでも知ってるぜ。おまけに盗難車だってんじゃあ弁解すらできやしないよ」

「ちっ、やっぱ無理か」

「当り前よ、この脳足りん」


 ひき逃げ! 盗難車!

 ど、どうしよう。なんとかしなくちゃ。


 ……そうだ、警察!

 警察が来たと思わせれば大丈夫なはずだ。

 ……よし!


「お巡りさん、こっちです! 早く早く!」






 ☆☆☆side北条久美子☆☆☆


「なに! サツだと!」


 さっきの声は友香!

 あの馬鹿、なんでこんなところに来ちゃったの?


「お巡りさん、こっちです! お巡りさ……むぐぅ」


 ――?


「嘗めた真似しやがって、この女」


 しまった、まだいたのか!


「びびったっじゃねえか」


 やけに目つきの悪い男が、友香をはがいじめにしながら現れる。



 友香め、余計な事を……。

 二人ならまだ逃げられたのに……。


 手を強く握り締め、私は歯噛みした。

 これは最後の手段のつもりだったのに。

 友香だけでも逃がさないと……。

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