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内気な友達

リュウジから原発について聞いた次の日の朝。いつもは遅刻ギリギリで登校する俺だが、その日は早くに家を出た。なぜなら、栗木と話をしてみたかったからだ。


栗木の立場になれば、こっちにきてわからないことや不安がいっぱいあるだろう。リュウジが言うように、もし辛い思いをしているのなら少しでも元気になって欲しい。だったら、俺も何かの役に立てれば。そう思った。


空翔「ガラガラガラ…」


学校に着いた俺は、前のドアを開けて教室に入る。奥に目をやると、朝の陽ざしを窓越しに浴びながら、栗木はすでに席について教科書を読んでいた。他の生徒も4~5人いたが、みんなカバンをしまうと急いで朝の部活へと向かっていった。俺はカバンを自分の席に置き、ゆっくりと歩いて栗木の前の席に座る。


空翔「おはよう(ニンマリ)」

栗木「え?…あ…おはよう…(びっくりした表情をして)」

空翔「俺、大和空翔(やまとかける)。昨日目合ったよね?(笑)」

栗木「…うん」


栗木は不安そうな恥ずかしそうな顔をしながら、(うつむ)いたまま頷く。


空翔「覚えててくれたの?嬉しいな(笑)」

栗木「………」

空翔「もしかして勉強の邪魔だった?」

栗木「いや…」

空翔「それとも俺の顔キモいとか?(笑)」

栗木「…いえ。…そうじゃなくて…フフッ(口角を上げえくぼを作る)」

空翔「(笑)」


栗木「……(また俯いてしまう)」


空翔「教科書」

栗木「……?」

空翔「読んでたんだ?」

栗木「…うん」

空翔「向こうにいた頃と授業の進み具合とか違う?」

栗木「うん…。と、いうか…教科書が違うから…」

空翔「なににに!?教科書って学校によって違うのか!?」

栗木「…え?…たぶん違うと思うけど…」

空翔「そ、そうなのか…(真顔で汗)中学って義務教育だから全国同じモン使ってると思ってたわ…」

栗木「(少し驚いた表情をして)…フフッ。あの…大和君…」

空翔「ん?」

栗木「…朝練はいいの?(行かなくて大丈夫かという顔で)」

空翔「あぁ、部活入ってないから俺(笑)」

栗木「…そ…そう…」


俺とリュウジは学校が終わってから連日、キックの道場に通っている。そのため、中1のときから2人とも部活には入っていなかった。


空翔「追い返そうとしてる?(笑)」

栗木「……(また俯いてしまう)」

空翔「それとも臭う?昨日風呂には入ったけどなぁ(自分の体の臭いをクンクン嗅ぎながら)」

栗木「…フフッ(笑)」

空翔「(笑)」


その時、廊下からドタドタと騒がしく教室に入ってくる男子生徒がいた。


孝雄「ヤベーヤベー!初日から遅刻なんてしたら殺される!…って、あン?」


朝練の準備をしていた動きが止まり、こちらを呆然と見るタカオ。


空翔「おはようカバ君!初日から遅刻とはけしからんですなぁ(ニッコリ)」

孝雄「テテメー!何でこんな早い時間に来てやがる!?てか何さっそく栗木ちゃんと話てんだ!」

空翔「だって僕たち友達んこだモン♪ね(笑)」

栗木「……(顔を赤らめている)」

孝雄「汚ぇぞ抜け駆けしやがってぇ…(汗)」

空翔「油売ってていいのか?早く行かないと顧問にぶっ飛ばされるぞ?(笑)」

孝雄「…クッ!カケルお前、後で俺にも栗木ちゃん紹介しろよ!(ひー!叱られるのは嫌よー!)」


そういいながら急いでタカオは朝練に向かっていった。


空翔「嫌ね(笑)乱暴な言葉づかいする人って♪)」

栗木「…あの…大和君…」

空翔「はいはい(ニッコリ)」

栗木「…今、言ってくれたことって…本当?」

空翔「?」

栗木「…その…「友達だよ」…って…」

空翔「ホントもホント(笑)あたりきしゃりきのこんこんちきよ♪」

栗木「(こんこんちきは無視して)…なんで?」

空翔「なんで…とな?(鼻をほじりながら)」

栗木「わたし…人見知りだし。…楽しくないし。福島にいた時だって友達少なかったし…。それにその…まだ昨日来たばかりで…」

空翔「ぼわははは!」

栗木「…?」

空翔「確かに人見知りっぽい感じはするな、すぐ下向いちゃうし(笑)」


栗木「……」


空翔「でもさ、楽しいか楽しくないかって俺が感じることでもあるじゃん?栗木はどう思ってるかわからないけど俺は楽しいよ♪それに、友達になるのに期間なんて関係なくない?(笑)」

栗木「……」

空翔「もちろん、嫌なら無理にとは言わないけど(笑)でも、俺と友達になると楽しいこといっぱいあるかもしれないぜ~♪」

栗木「…た…たとえば?」

空翔「たとえば…んー、そーだなー?たとえば毎日3回笑わせる!とか(笑)」

栗木「…フフッ(笑)ホントだ…。今日は、もういっぱい笑わせてもらってる」

空翔「だろ~(笑)」


その時、今度は落ち着いた足取りでゆっくりと教室に入ってくる男子生徒がいた。


龍司「おはよう~栗木ちゃん(笑)」

栗木「…え!?(ビックリした表情をしている)」

龍司「俺、6組の石母田龍司(いしもだりゅうじ)♪カケルとは小学校からの友達んこ(ニッコリ)」

栗木「…あ…あの…?(てか2人して友達んこって…)」

龍司「あー、なんで俺が栗木ちゃんのこと知ってるかって?いや昨日ね、カケルから転校生が来たって話聞いたからさ(笑)」

空翔「栗木、気をつけろよ(笑)こいつは「性なるスピードスター」って呼ばれててね。中3にして生理が来なくなった女のコ山ほどいんの♪」

龍司「アホかっ!!(怒汗)てかお前、よく瞬時にホラが吹けるな(ある意味才能だわ…)」

栗木「…フフッ(ちょっと困った顔をしながら笑う)」

空翔「ははは!」

龍司「わははは!」

孝雄「ぼわはははは!」

空翔「はは…ってタカオ、何で君ここにいるの?(それに顔ボコボコだけど(汗))」

孝雄「栗木ひゃん…俺このバカ(俺のこと)の親友で浜口孝雄(はまぐちたかお)っていいまふ…どうぞよろひく~…」

栗木「…(苦笑いを浮かべている)」


そんなこんなで俺、タカオ、リュウジは栗木と友達?になることができた。


ちなみにタカオは初日から遅刻をして、たるんでいるということで顧問にお叱りを受けたらしい。(校庭10周してくる途中で教室に立ち寄ったのだそう)

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