ヒキコモリ
「何か欲しいものない?」
『何もないよ、お母さん』
「そう、お腹は空いてない?」
『まだ、大丈夫』
「・・・まだ、部屋から出る決心はつかない?」
『うん、ごめんなさい』
「お母さんはいつもあなたの味方だから。何でも言って」
『分かってる。用事できたら頼むから下に行っていいよ』
「分かったわ」
『・・・お母さんは・・・いや何でもない』
「何でもいいのよ、どんな小さいことでもいいの。
話したいことがあるならお母さんに教えて」
『・・・少しお腹すいたから、おにぎり作ってもらってもいい?』
「いいわよ、あなたの好きな鮭入れて作ってくるわ』
お母さんが死んでもう、1ヶ月たつ。
でも、お母さんじゃない「何か」は生前と同じように
同じ時間に現れ
同じ質問をして
僕の「嫌い」な鮭でおにぎりを作ってくると言って、
消えていく。
僕がおかしくなったんだろうか。