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相談1

長くなってしまったので2つに分けます

 いろいろと衝撃的なことがあったあの日から、1週間が経った。今日は前々から約束していたアルフレート王子殿下との面会の日だ。私はちょうどいいとばかりに、あの日あったことについてすべてを殿下に話して揺さぶってみることにしたのだ。


「ということがあったんですよ。ですので、王家が隠していることを全部キリキリ吐いてくださいな」


 上目づかいで可愛らしくおねだりする。だが、すぐに目をそらされた上に大きなため息までつかれてしまった。なぜだ。


「そんなことができるはずがないだろう。だいいち、そんな話は私も初耳だ。たとえ王子だとしても、成人前では知らされていないことも多いのだろう」


 まあ、そんなものか。あわよくば程度に考えていたが、やはりそう上手くはいかないか。


「しかし、お前の言うことがすべて事実だとすると、腑に落ちないことが多いな」


 そう言って殿下は腕を組んで考え始める。前世のことについては、小娘の戯言と切り捨てられても仕方がないと思っていたが、どうやら一応真剣に受け止めてくれたらしい。ならば、まず一番大きな爆弾をぶつけてみようか。


「殿下、王家の責任についてはどうお考えで?」


 一瞬で雰囲気が凍りつく。極力感情を出さないように努力したが、あまり上手くいってはいなかった。殿下も姿勢を正し、こちらをしっかりと見据えてきた。


 あの後、落ち着いてから両親と話し合ったのだ。最終的に我が家が出した結論は、王家に関することは棚上げとし、封印を破壊した者、目先の脅威への対処を優先させるというものだった。まあ要するに、封印を壊した奴が一番悪いんだから、まずそいつを潰しましょうということだ。


 だが、あえてそれを伝えずに聞いてみた。殿下がどう答えるのか興味があったからだ。殿下はしばし目をつむり、そして目を開く。


「そうだな、先ほども言ったがすべてが真実だと仮定した上での話だ。その上であれば・・・国民を危機にさらし、大勢を死なせた王家に存続する価値はない。あくまで、国民あっての王家だからな」


 ああ・・・、やはり同じ人なのだ。前世ではアルも同じことを言っていた。国民を守れない王家に存続する価値などないと。


 言いようのない複雑な感情がこみ上げてくる。殿下とアルは同じ人、でも違う。私のアルじゃない。


「だから、そうならないようにするのが王家に連なる者としての使命だと思う。先ほどは仮定と言ったが、父上がお前の話を信じて動いているようだからな・・・、何か私の知らない根拠があって真実だと確信しているのだろう。だから、私も信じてみようと思う」


「では、私に協力していただけますか?」


「私の力の及ぶ範囲でな。まだ、たいした権限はないぞ」


 そう言って殿下は肩をすくめる。やはり底抜けのお人よしだ。婚約者でもない、不敬なことばかりしている小娘にそこまで言ってくれるのだから。そして、そんなところもアルにそっくりだった。


「さしあたって考えるべきなのは、やはり封印を壊した者についてか。フローラ嬢の証言では、何もわからなかったということだったか」


 そうなのだ。西の封印が破壊されたとき、フローラさんはその場に居たらしい。王家の命令で近衛騎士団を一時的に離れ、実家の者と共に封印の守護にあたっていたのだと、ひどくおびえながら教えてくれた。


 どうやら私が正気を失っていたときに、まとっていた雰囲気が原因で随分とおびえさせてしまったらしい。フローラさんに関しては、多少思うことがないわけではないが、父の命の恩人であるし私にも随分と優しくしてくれたのだ。冷静になった後では、責める気はなくなっていた。


 そのため、なんとかなだめて話を聞いたのだが、どうやらいつものように封印の石碑を守っていたところ急に目の前が暗くなって意識を失い、気がついた時には既に封印が破壊された後だったのだという。その場に居た全員が、何も見ておらず気を失ってしまい・・・ただ一つ、とても恐ろしいという感情だけが残ったらしい。


 話を聞いた後、改めて皆で現場を調べたが、結局何の手がかりも得ることができなかった。


「そうなのよ。何か手がかりがあれば、なんとしてでも捕まえてぶっ潰してやるのに!」


「まあ、気持ちは分かるが落ち着け。それとあまり汚い言葉を使うな。お前は一応侯爵家の令嬢だろう」


 軽く頭を抱えられてしまった。ふーんだ、どうせ出来の悪い娘ですよーだ。


「とにかく手がかりがない以上、他の封印の場所で待ち構えるしかないのだが、そもそも場所が分からないのではどうしようもないな」


 それが一番の問題なのだ。場所が分からないのでは待ち構えようがない。これに関しては父が、ヴィルヘルム王太子殿下に教えてもらえるよう、かけあうことになっている。封印の一つが破壊されてしまったのだ、王家としてもなりふり構ってはいられなくなったはず、きっと私たちを守りに使うだろう。


 というわけで対処については、現状待ちの状態だ。そして、気になることがもう一つ。


「それにしても、何で魔王の封印を破壊しようなんて馬鹿なことをするのかしら」


 一番分からないのはそこだ。前世では貴族も平民も等しく被害を受けていた。魔王の封印を解いて得をする者がいるとは思えない。


「そうだな、それについては私も見当がつかん」


 結局、封印を破壊した者に関しては我が家で出した結論と変わらなかった。まあ、現段階では情報が少なすぎるのだから仕方がない。殿下の協力を取り付けることが出来ただけでも、十分な成果だろう。


 私たちは一度休憩し、お茶を飲むことにしたのだった。

王子が主人公を「お前」と呼んでいるのは、2年間で打ち解けた証です。

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