姫の世界
不可思議な形状の剣を出すと黒い靄が逃げるように消え去った。
「おい、その剣は何なんだ?」
「さあ、わからんな気がついたら出せるようになっていたが、恐らくこの剣のおかげで私はここに居ることができるのだろうな。」
「その剣はクレアーレですよ、事象の少女さん。」
声が聞こえたのでそちらを見てみるとそこには一人の少女がいた、その少女は肩より少し長いクリーム色の髪と紅い眼をして、眼と同じ紅い色のドレスを着ていた。
「だれたあの娘、ルフェールお前の知り合いか?」
「貴様は誰だ? 私は貴様のような存在は知らないな。」
「そう警戒しないでください、わたしは貴方達と敵対するつもりはありませんから、そしてわたしの事はそうですね姫とでも呼んでください。」
「姫? 随分な粋な名乗りだな、貴様はそう呼ばれるに相応しいと自分で思っているのか?」
「はぁ~、これを見てみてください。」
そして自称姫が手を前につき出すとそこには
結合と解離 分解と合成 零と無限 破壊と創造全てが一つに成ったかのような儚くも力強さを感じさせる非対称の剣が現れた。
「何だそれ、ルフェールの剣と見た目が全然違うな。」
「そうでしょうね、ですがわたしやルフェールさんの剣は見た目こそ違うものの同じ種類の剣クレアーレです。」
「同じ種類の剣? ここまで見た目が違うのにか?」
「おい竜胆そいつの言う事を真に受けるなよ、嘘をつているのかも知れないしな。」
「私が嘘をついているとでも? 言い掛りですね、それにわたしには嘘をつく理由がありません。」
確かに今のところ嘘をついて相手の得になる事は少ないだろう、だがそこには嘘をつかない理由もまた存在していないのだ。
「話を戻しますが、クレアーレと呼ばれる剣は人それぞれの形と能力を備えています。」
「という事はルフェールと姫さん? の剣も何かしらの能力が有るのか。」
「そうですね、例えばわたしのクレアーレの能力は創造と反映ですね、そして彼女ルフェールの能力は少し考えればわかると思いますが一応、事象の遡り簡単に言ってしまえば時間の逆行タイムリープですね。」
「何を勝手にばらしているんだ貴様は。」
「その発言を聞くにやはり貴女の能力は事象の遡りで間違っていなかったのですね。」
「やはりって、わかっていたのではないのか。」
「流石に事象を遡られると能力に確信は持てませんから半分以上感ですね。」
まさか勘だけで当てられるとは思えないので幾つかの確信があったのだろう。




