変わる世界4
翌日、学校が終わるなり瑠璃と腕に包帯を巻いた竜胆が急いで童話の館にきた。
「おい、ルフェールお前あれが何か知ってんだろ教えろ!」
「落ち着いてください竜胆さん、説明が抜けてますよ。」
「すまない・・・ルフェールお前黒い靄の事何か知らないか? 昨日俺達は黒い靄に襲われたんだが、こっちは触れる事すらできないんだが向こうからは普通にナイフで切りかかって来る、あれは何なんだ?」
どうやら竜胆が一緒に帰る事により運命が瑠璃が切られる事象から竜胆が切られる事象に移ったようだ。
「あれの正体は全くわからん、だがあれの目的は恐らく竜胆貴様だろう。」
「竜胆先輩ですか、一体何をやったんですか。」
「俺? いや俺はあんな得体の知れない存在に狙われる心あたりなんかないが。」
「貴様に心あたりが無いのなら家族はどうだ? 例えば貴様の父親とか。」
昨日の資料には竜胆の父親の死が記されていた、きっと何かしらの関係があるのだろう。
「確かに俺の親父は警察でいろんな奴に恨まれてたけど、あんなの非現実的なオカルト方面には関りはなかった筈だ。」
「そうか、確かに海外の警察ならまだしも日本の警察があそこまで得体の知れない存在を相手どるとも思えないな。」
「竜胆先輩後ろ!」
竜胆と共に後ろを振り向くと黒い靄が目の前に立っていた、そして竜胆が唐突に黒い靄に問いかけた。
「おい一体お前は何者何だ、そもそも人間なのか?」
「・・・・・・」
「聞いてんのか? 何とか答えろ!」
「竜胆先輩、もしかして話せないのでは無いでしょうか? そもそも昨日あんな目にあったのによく話しかけれますね。」
「ふむ、問いを投げ掛けろと言ったのは私だがまさかあんな者に話しかけるとは・・・」
もはや驚きを通り越して呆れが出てきてしまった、だがそれと同時に今までと違う行動をする竜胆に微かな希望を抱く。
「竜胆も必死なのだな・・・」
「何か言ったか?」
「ただの空耳だろう、それと竜胆、貴様まだ私の言った事を完全には信じていないだろう?」
「当たり前だろうが、何でこのタイミングでそんな事聞くんだよ。」
「いや、まだ一つ私が貴様に私を信じさせる事が出来そうな物があったのを思い出してな。」
そして手のひらに意識を集中させる、そしていつの間にかまるで最初からそこに合ったかのように一つの美麗な剣が握られていた。
その剣はまるで全てを祝福するかのように
その剣はまるで全てを絶望させるかのように
その剣はまるで全てを包み込むかのように
その剣はまるで全てを追い出すかのように
美麗と醜悪をあわせ持つ不可思議な剣であった。




