運命ノ世界3
「さて準備はいいか?」
「ああ大丈夫だ、それより本当に全部当てられるのか? 全部当たる確率っていくつだよ。」
「確か単純計算で100万分の1の確率より低い筈ですね。」
「本当に単純な計算だな、25%の確率を10回志向しただけではないか、二項分布なら10万回に一回程度の確率だぞ、それじゃあ始めるぞ竜胆。」
「ああ、それじゃあどっちにある。」
どうやら後ろを向いている間に握っていたらしい。
「右、表だ。」
「次は。」 「また右、表だ。」 「次。」 「ふむ、今度は右の裏だ。」 「くそ次。」 「右の裏。」 「次。」 「左の裏。」 「次だ。」 「右の裏。」 「次。」 「右の表。」 「次!」 「左の表。」 「次。」
「左の表だ、どうした? 次で最後だぞ。」
「わかってる! くそ最後だ!」
「ほう、最後はそうだな確か右の表だったか?」
このパターンは今までで数回しかなかったため少し自信が無いがこれであっている筈だ。
そして竜胆は悔しそうな顔をしてこちらに右手を差し出し、その手には表の1円玉があった。
「これで私の事を信じてみる気になったか? もし、まだ信じられないのであれば後10回程試してみるか?」
「いやまだだ、店長何かやってませんでしたか?」
「私の見てる限りずっと目を閉じてたよ。」
「いい加減諦めて認めたらどうだ? 私は貴様に害をなすつもりは毛頭ない、貴様を悲劇から救い出そうとしてるだけだぞ。」
「それが信じられないんだつーの、何で見ず知らずの俺なんかを助けようとする? お前に何の得があるんだ?」
そんなつもりで助けようとしている訳では無いがそれを素直に言っても信じてもらえないだろう、打楽器嘘を言っても今は何の得にもならないので真実を半分だけ話す。
「別に竜胆、貴様のためではない・・・これは私のためでもあるのだ。」
「お前のため? どこがだ。」
「貴様はどこまで神の智恵の事を知っている?」
「確か元児童養護施設だったけか?」
「私はその施設で育ったので詳しく知っていますが?」
確かにこの世界の私 (面倒なのでここからは瑠璃と呼ぶことにする)は詳しく知っているだろうがまだそれでも全部とは言えなかった。
「実はその施設はまだ存在している。」
「⁉ 嘘ですよねあの施設は完全に無くなった筈です、一体どこにあると言うのですか。」
「その施設は今は日本には無いが別の国である組織が運営している、そして私の予想になるが竜胆の悲劇にはその組織が絡んでいる可能性が高い。」
「今一現実感ねーな、一体何の組織何だ?」
「私にも教えて下さい! あの施設を作っている組織を!」
竜胆はただ疑問に思っているだけみたいだが、やはり瑠璃は動揺していた。




