偽りの世界7
部室に戻ると早速楓に聞かれた。
「どう! きちんと食べられる物になってる⁉」
「はい今のところ大丈夫ですね、そもそも始めに失敗したのは変なアレンジを加えようとしたからで、それさえ無ければかなりましな物になっていたはずです。」
「そっか~良かった~、またあんな訳のわからない物を食べなくてすむんだ~。」
「ちょっ私先輩だよもっともっと他に言い様がないの⁉」
「だって華凜先輩あんなの最初に出されたら信用できないよ。」
「言ったな! 直ぐに美味しいクッキー食べさせてあげるからね。」
確かに始めに食べたクッキー? だけでは信用できないのは分かるが実際に一緒に作るとかなり手際がいいのがわかる。
「それで四月一日さん、後どのくらいでできるんだ?」
「そうですね、だいたい一時間半くらいですか。」
「けっこうかかるんだ、もっと早く出来る物だと思ってたよ。」
「確かにそうだよね~僕も直ぐに出来ると思ってたし。」
「確かに直ぐ出来る物も有りますが皆に配るなら手の込んだ方が良いと思ったので、駄目でしたか?」
「駄目じゃ無いよ‼」
駄目か聞いてみたら即橘先輩に否定された。
「だって普通の作るより断然こっちの方が皆喜んでくれるよ。」
「そう言って貰えると嬉しいですね、ではもう少し頑張りましょう。」
「うん!」
とはいえ冷やし終わるにはまだ時間があるのでその間はただ待っているだけである、そこで橘先輩が聞いてきた。
「それにしても皆仲良しだね、一年生の皆は中学校の時から一緒なの?」
「いや、俺と楓はもう幼稚園からだけど四月一日さんは最近転校してきたのでそれからですね。」
「そうなんだ意外、もっと前から仲良しだと思ってた、て事は皆まだ四月一日ちゃんの事はよく知らないんだね。」
この流れは少しまずいかもしれない、転校理由とかは一応考えてあるが詳しく聞かれるとボロが出るかもしれない、早速楓が聞いてきた。
「そう言えば転校してきた理由とか聞いてなかったかも」
「別に今更聞かなくてもいいんじゃないか?」
「でも気になるよね!」
「確かにそうだが、はぁしょうがないか聞かして貰えるか? 四月一日さん。」
「そうですね・・・。」
さて困った別に嘘をつくのは構わないがどうするべきか、仕方ないので最初に考えておいた理由を話す事にする。