偽りの世界1
次の日の放課後、昨日と同じメンバーで部室に集まっていたが特にやることもなく、優先輩はゲーム、楓はスマホ、草薙君は漫画雑誌を開いていたが一時間位経った所で楓が騒ぎだした。
「も~暇‼ これじゃ瑠璃に部活をアピール出来ないじゃん、こうなったら誰か悩みを持ってそうな人をこっちから探しに行った方が早いんじゃないの!」
「止めとけ、それじゃ迷惑がられて終わりだ、向こうから来てくれなきゃ意味がない、そもそもいつもの事だろう。」
漫画雑誌から顔を上げて楓を草薙君が諭すが、確かに暇なのだ、楓がごねるのも分かるが暇なのは当たり前なのだ。
そもそも普通の高校生は悩みをそう簡単に誰かに相談する事はない、しかもそれが見ず知らずの他人なら尚更だ。
「じゃあ、どうすんの部活が終わるまでこのまま!? ヤダヤダ暇~暇~!」
「五月蠅い黙れ!」
「部長~何か無いですか?」
「あはは本当に賑やかだね、でも特に今日は何も持ってきてないかな。」
「じゃあ瑠璃は!?」
「私も本位しか持ってきてないかな。」
そもそも学校に遊び道具を持ってくる発想が無かった、そんな風に騒いでいると微かにノックの音が聞こえた。
「誰か来たんでしょうか?」
「何々相談者?やっと来たんだ。」
「まさか来るとは。」
楓は我慢出来ない様で急いで扉に向かい開けた、そこには私より少し背の高めの女子生徒がいた、その生徒は少し驚いた顔をしていたが中を確認すると話しかけてきた。
「あの、此処が問題解決を手伝ってくれる部ですか? あ、すみません私は2年の橘 華凛です。」
「先輩でしたか、私は一年の日向 楓でって言います、そしてこっちが。」
「同じく一年の草薙 結斗です。」
「一年の四月一日 瑠璃です。」
「私は三年の黒白院 優だよ~宜しくね、それで解決するのに協力するのは話を聞いてからかな?」
椅子に座ったまま何故か疑問系で華凛先輩に話しかけたが当の華凛先輩は優先輩が三年だった驚きで固まってしまった。
「う~ん、固まっちゃたから動くまで待とうか。」
取り合えず待つことになった私達だった。