remember:7
この物語はフィクションです
実在の人物や団体、企業などとは全く関係ありません、ステマなどは一切行っておりません
ですがたまに企業の名前とかが入っちゃうことがありましたらどうか低評価をつけるのだけは勘弁してください見逃してくださいお願いします
寒い、とにかく寒い
旅行から帰ってきた三代は玄関先で悴んだ手を吐息で温めポケットの中に入っているであろう鍵を手探りで探す
最近はますます寒さが強まってきたように感じる、寒気も少しは休暇をもらって常夏の国へバカンスにでも行けばいいのになんて思いながら鍵穴に鍵を差し込んで回す
ドアを開けると真正面にのほほんとくつろいでいる進藤を発見、日頃の恨みも相まって寒さを思い知らせてやろうかと玄関先の手すりに積もっている雪に手を伸ばそうとしたがさすがに大人げないなと思い中断した
「よう進藤、二日ぶり」
「あら帰ってきたの、お土産は?」
開口一番土産かよと少し嫌な気分になりながら靴を脱いで部屋に上がり炬燵へと直行した
炬燵の中の暖気が悴んだ手や冷え切った足先を包み込み思わず変な息が漏れる、やはり我が家が一番という言葉は間違いではない
「お土産つっても焼酎だがいいか?」
「普通に好きだし貰いものにケチつけるほど人間として腐った覚えはないわ」
テーブルに例の酒を置くとさっそく封を開けて瓢箪型の酒の容器を取出し一緒に買ってきたグラスに注いで飲みだした、後で俺も一杯貰おうかな
そういえば俺がどこに旅行に行ったのかを話しておかなければ意味が分からないと思うので少し簡略化して話したいと思う
まず俺は福岡の北九州というところに行ってきた、なぜかというとそこで行われる同人誌即売会に俺の中学からの友達が出店するというのだが仲間の一人がインフルエンザで倒れたらしく人手が足りないので旅費と宿泊費は出すから来てほしいという旨のメールが来たからだ
そういった感じで幸い休みもちょうど入っていたし旅行がてら行ってきたという次第である、話の本筋はざっくりではあるがこんなものだろう
元来アニメやマンガは結構好きだったがそういった催しに出たこともないしいい機会をもらったと思っている、今さっき進藤に渡した酒もそこで買ったものだ。俺は焼酎は好んで飲まないが容器がキャラクターの持ち物を模したものらしく物珍しく思い進藤の土産として買ってきた
結構来ている人も多くコスプレしている人も多かったので圧倒された、ついでにカメラの登録もして記念に何枚か写真を撮ってきたのだが進藤に見せると気持ち悪い趣味ねと言われ軽蔑のまなざしを向けられるオチが見えるのでやめておこうと思う
「このグラス結構いいわね、気に入ったわ」
「そうか、それも同じブースに出品されていたものを買ってきたんだが気に入ってくれたならよかったよ」
案外こういったものも進藤は好きなのかもしれない、その点で言うのならば土産としては適していたのかもな
「さて、じゃあ次は土産話でも聞かせてもらおうかしら?」
進藤は二個買ってきたグラスのもう一個に酒を注ぎ差し出してきた、どんな味なのだろうか
後から買い物にも行かなくてはならないので控えめにしなければと思いながら一口口の中に酒を注いだ
特に酒に詳しいわけでもないのだが後口がフルーティーで本格的だなとは感じた。これを知らない人に出してもまさか同人誌即売会のブースで買ってきたなんて思わないだろう
「そうだな、同人誌即売会に関しては特にこれといったこともなかったし一日目の話をするか」
一日目は即売会開催前日ということで特にこれと言って何もすることがなかった、友達に会場まで案内されたくらいだろうか
流石に福岡まで来て何もせずに帰るというのももったいない気がしたので少し観光をすることにしたのだ
手始めに近くにあった小倉城というところに行ったのだがこれがなかなか面白く、庭園と松本清張記念館というところにも行けるらしかったので時間も余りに余っていたということもあり足を延ばしてみることにした
次に赴いたのが庭園だ、いっつもコンクリートやアスファルトばっかりに囲まれていると自然のものからは離れていってしまうのでいい刺激になった。あと抹茶と和菓子が頂ける体験コーナーで生まれて初めて抹茶を飲んだな
最後が松本清張記念館だが松本清張の推理小説を一度読んだことがあったので入り込みやすく勉強になったと思う、家の客間がそのまま再現されていたり書庫もあったりととにかく迫力があった
そんなで一日の四分の一くらいかけて観光したのだがこういった体験をするのはなんやかんや中学校の修学旅行ぶりくらいだったのでいいリフレッシュになったと感じる
「まあこんなもんかな、ってもう寝てるし」
俺の話声がいい子守唄にでもなったのか進藤は炬燵の天板に頭を置いてすやすやと寝息を立てていた
さて、と一息つきグラスに残った酒を飲み干して買い物へ向かう準備を始める、旅行もいいがこういった日々の何気ない行動も日常から離れると新鮮に思えてくる
「じゃあ買い物に行ってくるよ」
進藤に語りかけるとくぐもった声でプリンをリクエストしてきた、金は後で徴収しておくとしよう
日常の歯車がまた回り始める、演者はその歯車が作用する通りにまた日常を歩みだす
またいつもと同じように
このお話はこの前私が赴いた北九州でのことを短絡的にまとめてギュッと濃縮したものです
要するには自分がただ時事ネタを使って書いてみたかっただけです、本編とはほとんど関係ない番外編ですのであしからず
あと一日投稿遅れちゃってごめんなさい、自分への戒めとともに謝罪させていただきます