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ディベロピング ワールド (凍結)  作者: Little f
望む世界は
3/4

王と、王都 (1)

本来ならもっと長くなるのですが、それだと大変なため今回は本来まとめて3話のところを区切って投稿します。


毎回自分のやつは1話ずつが長いので、もし、読みにくいなどがあれば、ご指摘下さい。もっと区切って投稿していきますので。


自分でも少し納得いく形になりきれてはいない気がするので、良いアイデアが思いつき次第訂正したいです。

彼らが、森を出てしばらく歩くと王都に着いた。森と王都の距離はおよそ10㎞といったところだろう。

王都の中へと入ると、そこはあまり異世界という感じがしなかった。


(見た感じだと、ただのヨーロッパだな)


王都の中には、ヨーロッパ風の家が数多く並んでおり。その間にカフェがあったり、レストランがあったりしている。


「なぁ、テトラ。これが王都なのか?なんか俺が想像していたより全然異世界じゃないんだが」


「そうなんですか?」


「あぁ、だって見てみろ。あんなでかいビルがある異世界なんて普通ないぞ」


少し先にあるガラス張りのおよそ5階建の建物を指差す。

テトラは少しは困惑しているようだが、彼としても異世界にいろいろ期待していたのだから仕方ないだろう。

しかし、本当のところは別に期待はずれでもない。それはすぐに現れた。


「んっ、おい、あれはなんだ」


目の前には猫耳の少女がいた。

はい?と、峡夜の指差す方向に眼をやるテトラ。


「あれは、女の子ですね。それがどうしかしたんですか?」


「いや、そこじゃなくて。あの耳、あの耳は⁈」


「猫耳ですけど……、それがどうかしましたか?」


峡夜はもうそれ以上聞くことは何もなかった。それによくよく見ると多くはないが時折、人とは違う種族もいるにはいた。


「いや、なんでもない。悪かった。それで、これからどこに行くんだ?」


「えっと、まずは私の家に行こうかと。さすがにこの姿で出歩くのはあれなので」


それもそうかと、峡夜は納得する。

峡夜はとりあえず歩きながら王都の街並みを観察していた。そして、どこかに良い感じの服屋でもあればとチェックを始める。




しばらく歩くと大きな門へと着いた。

門の外には鎧を着た兵士が、何人もいるが、テトラとは格好が違う。

どちらかというと、門の外にいる兵士の方が装備ががっちりしているが、なんだか様子が変である。


(なんかトラブルでも起きたのか?…いや、そういう感じでもないか……)


見る限り周りの兵士が慌ただしくているが、テトラの身を心配しているようにも見える。

しばらくすると、どうやら、通行の許可が取れたらしくテトラに手招きされた。

峡夜は、テトラのところへ歩き出した。

門をくぐる際に兵士に頭を下げられると、


「この度は、テトラ様をお助けくださりありがとうございました」


と、お礼を言われたが峡夜はよく分からなかったので無視をする。

門をくぐると目の前にはいくつもの馬車が止まっていた。


「ほう、馬車か。流石に車はなかったか。まぁ、その方が…」


「ありますけど…」


えっ、と峡夜は言葉に詰まった。


「車はあります。でも、基本的には軍の内部でしか使うことが許されなくて、今は馬車でお許しください」


テトラは申し訳なさそうな表情をしている。

しかしもちろん峡夜は車がいいと思ったことはない。むしろ馬車ウェルカムなのだ。


「今度、軍に頼んで特別に乗せてもらいますね」


峡夜はすぐさまその申し出を断った。 むしろやめてほしいのだ


「いや、遠慮しとくよ。車はもう何回も乗ったことがあるからさ」


そこで、一つ引っかかることがあった。


「テトラ…。お前って、結構偉い人間なのか?さっきの言葉を聞く限りだと。まるで軍より、偉いところにいる感じだし、さっきの兵士も様付けでお前を呼んでたが、もしかして貴族だったりするのか」


テトラは少し悩んだが流石に隠しきれないと思ったのか少し笑いながら話し始めた。


「すごいですね。たったこの数時間でいろいろと理解して、気づかれるなんて。実は私、この国のお姫様なんです」


あまりにも衝撃的なカミングアウトだったはずだが、峡夜にはそれよりもさらに気になることがらができた。


「なぁ、一つ聞いてもいいか?」


彼女には、峡夜が何を言おうとしてるかは理解しているようだ。

彼女は静かに頷く。


「姫様とあろうものがなんでそんな装備をして、あんな森の中を歩き回ってたんだ。おまえだって外が危険なことくらい分かってるだろう」


その言葉は彼女には少し重かった。


「そうですよね。外は、危険ですよね。もし、私が彼らに頼んで、一緒に外なんかに行かなければ、もし、私が外の世界を見に行きたいとおもわなけば、彼らは死なずにすんだのでしょうか…」


峡夜は、テトラの少し沈んだ様子を見ると、はあ、とため息をついた。


「お前、外に出たのは今日が初めてなのか?」


えっ、という顔をして、テトラは峡夜を見た。


「いえ、何回か彼らには外に連れて行ってもらっていました。彼らにはいろんなものを見せてもらい、学ばせてもらいました」


彼女の表情はどこか懐かしいものを見るかのように変わっている。


「なら、別にいいんじゃないか。それに、あいつらが死んじまったのはお前のせいでもない。あいつら自身がお姫様に素敵なものを見せたいと思ってしたことだろ。あいつら自身も覚悟はしてたさ」


テトラは自信のない声で応える。


「そうで…、しょうか。迷惑、だったり……、しなかったで、しょうか」


テトラの声が震えている。


「俺はお前のいう仲間の様子を見たことはないけどさ。お前の仲間は、お前を見て迷惑がってたのか?お前といた時の仲間の表情を思い出してみろよ」


テトラは目を閉じ言われたように彼らと一緒に過ごした時間のことを思い出していった。



ーーー 「姫様〜、見てください。おっきな魚が釣れましたよ」「馬鹿、姫様にそんな魚見せてどうするんだよ」「いや、隊長わかってないですね。姫様は生の魚見たことないんですよ」ーーー


ーーー「姫様見てください、綺麗なお花畑でしょう。俺ここの花畑で寝るの好きなんですよ」ーーー


ーーー「やばっ、そろそろ帰らないと団長に怒られる。姫様早く帰りましょう。ばれたら大目玉ですよ」ーーー



思い出にでてくる彼らはいつも笑っていた。

テトラの目には涙が流れる。

しかし顔は笑っていた。


「そうですね。こんな風に思っては彼らに失礼ですよね。あそこでもう、泣かないって約束したのに。強くなるって、約束したのに」


彼女の目からはまだ涙が流れている。


「強くなるっていうのはいいんじゃないか。でも泣かないっていうの守らなくていいだろ。あいつらもたまには自分たちのことを、思って泣いてもらった方が嬉しいだろう。」


(それに、俺も約束したからな……)


峡夜はテトラの頭に手をのせ引き寄せた。


「今は誰も、俺も見てないから泣きたかったら泣けばいい、誰も見てないなら、ノーカンだろ」


それを聞くと、テトラは静かに涙を流した。



テトラが泣きやみ、しばらくして、馬車は止まった。


「着いたみたいですね」


しばらくすると、馬車の扉が開いた。

テトラの目はまだ少し赤い気がするが問題ないだろう。

峡夜はテトラが降りるのに続いて降りると目の前の光景に驚いた。


「おお、でかいな。それに庭も広くて綺麗だ。これなら何日かは暇しなさそうだな」


目の前には大きな屋敷があり、周りをその屋敷の数倍はあろう面積の庭で囲まれている。

ふと屋敷の方に目を移すと、一人の男がテトラに近づいてきた。

見る限りでは結構若い、それに格好も悪くない。青のシャツに長い黒のズボン、髪もしっかりとととのえられている。

しかし、顔はとても険しい顔をしている。

その男が、テトラの前へ立ち止まる。


「お、お父様……」


峡夜は目を疑った。

この男が、テトラの父。つまり国王ということなのだ。しかし、それにしても若い。

峡夜が目を疑うのもしょうがないことだろう。彼の想像している異世界の国王とは結構、もしくはある程度歳を重ねているような王様だ。しかし、ここの国王はとても若く見える。

が、そんなことを思っているのもつかの間、


ーーー バチーン ーーー


という音が響き渡った。


「お前は、なんて心配をかけるんだ。話はすでにもう聞いた。あれほど、お前には周りに心配をかけるなと言っているのに」


それを聞いた峡夜は、つい口を出そうと足を一歩出すが近くにいた老人に止められた。先ほどまで、場所を操っていた人物だ。格好はさながら執事といったところだろう。護衛もできるように身体も鍛えてあるのか、しっかりとしている。


「心配をおかけして申し訳ありませんが、今は見ていてくださいませ。あの方々も、どこにでもいる家族の一つなのです」


峡夜は、出した足を元に戻した。


「申し訳ありません。お父様。でも、彼らが、彼らが私を守るために…」


テトラの父親には先ほどの険しい顔よりも娘を慰める父の顔へと変わっている。


「ああ、それも聞いたよ。彼らにはお前が大変世話になったからな。私も今度、彼らの元に礼をしに行こう。ところで、テトラ。彼がそうなのかい」


テトラの父親は峡夜の方を見る。


「はい、彼が襲われてる私を助けてくれた峡夜様です」


テトラの父親は、そうか。と、一言言うと、峡夜のところにやってきた。


「この度は娘を助けて下さったこと、感謝いたします。この礼は十分にさせてもらます」


「ああ、まぁ、そんなに気を使わないでくれ。俺だって偶然あそこに飛ばされなかったら助けられなかったからな」


「君がそういうなら、そうさせてもらおう。紹介が遅れたが、この国の国王をやっているシイラ=セルシアだ。気軽にシイラと呼んでくれ」


シイラは手を差し出すと、峡夜もそれに応えた。


「ところでさっそくだが一つ聞きたいことがある」


「ああ、私に応えられることなら話すよ」


「テトラからなんとなくは聞いたんだが、この世界について詳しく教えてほしい」


シイラはしばらく黙ると、テトラの方を見た。

テトラは反省をしているのか、静かにうつむいている。

顔を峡夜の方にシイラは戻す。


「ならその話は、国を案内しながらにしよう。お礼にと言うわけではないけど、それなりのものも揃えなければならないだろうしな」


「ああ、それで構わないさ。むしろありがたい。それにあいつとも約束してるしな」


ふと、テトラの方を見る。

シイラは、そうかと理解すると、彼もまたテトラの方へと向いた。


「おい、テトラ。支度をしてきなさい。彼を一緒に案内しよう」


その声に反応しテトラはこちらに振り向いた。

そして、その顔には笑顔がある程度戻っている。


「はい、お父様。すぐにしてまいります」


そういうと、彼女は屋敷の中へと消えていった。

テトラが屋敷に入っていくのを見届けると、再びこちらへと振り向く。


「そういうことだから、送り迎え頼むよ、ウォル爺」


ウォル爺と呼ばれた老人は、かしこまりました。と、言うと先ほどの馬車の手入れを始めた。


「ところで、峡夜君。おそらくテトラの支度にはまだ時間がかかるだろうけどどうする?よければ、自慢の庭でも散歩しないか」


「なら、よろしく頼むよ。着いた時から少し気になってたんだ」


シイラはにこやかに了承した。

峡夜はとりあえず今はということで、馬車の近くにある一区画だけ案内してもらった。

その一区画だけでも十分に満足できるほどの時間を過ごせたらしく、峡夜はすでに満足だった。

案内が終わる頃にはテトラも支度が終わり馬車のところへと戻ってきた。

シイラは先ほどの姿とは変わり、白いワンピースを着ており、頭には白の帽子をかぶっている。

さっきの姿に比べるとだいぶお嬢様らしくなっている。


「遅くなってすみませんでした。思ったより時間がかかってしまって」


「いや、俺も今お前の親父さんに庭を案内してもらってたところだから、大して気にしてねぇよ」


「お父様が?」


「ああ、さっきまで一緒にね。自慢の庭を堪能してもらえて、私も嬉しかったよ。それじゃあ、娘の準備もできたことだから、そろそろ行こうか」


そして、彼らは街へと向かう。

今回は前話に続いてやたらとテトラが泣いている話な気がしますね。今回もお読みいただきありがとうございます。


あと、テトラの気持ちの切り替えが早くて、自分でも驚いてます

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