あの子に
あの子、休職中らしいよ
学生時代のともだち
風の便りは重く低く吹いた
思い出すのは、あの子の笑顔
野の花のような健気な笑顔
泣いた顔も怒った顔も知らない
ふさぎこんでいると
引きこもってしまったと
あの子の笑顔の上に
似合わない言葉が並ぶ
いじめにあったらしい
酷いいじめに
野に咲く花を踏みにじる音
あの子の笑顔が泥にまみれていく
十年近く会っていない
連絡もとっていない
年賀状だけのつながり
今年はあの子から来なかった
いつでも話をきくよ、と
あの子へメール送信
三日経っても返信なし
あの子宛てのメールは
あの子に届いていないのだ
きっと
あの子の心に届いていない
届いていないメールは
今どこで空回りしているのか
さみしい、とても