第12話 エピローグ
第12話 エピローグ
それぞれのその後を書いておかなければならない。
神明は死刑が確定した半年後に裁判がやり直しとなり、無期の判決を得た。原因となった鉄材の所有者が確定した事で減刑を得た形になった。
高宮 幹雄は、車社会に対する様々な提言を行う運動家になった。彼のアイデアは交通行政の活性化を促していると評価されている。
翔子さんはカミングアウトする事なく女装を続けている。ただしタイフーンアイに酔っ払って迷い込んできた、20才年下のレズビアンギャルを妊娠させて結婚した。レズビアンギャルは妊娠して翔子さんが男だった事に気づいたと言う、まことしやかな笑い話が付け足された。
弁護士の栄子ちゃんは、女装者の人権を主張すると言って皆んなに留められた。余計な事はするなと言う事だが、まだあきらめていないらしい。
さて。宮村 理彩は今もタイフーンアイで働いている。さほど変わった事もないが店長兼オーナーになった。ナンバーズで一億を引き当て、やる気のないオーナーと店長に逃げる口実を与えたのだ。理彩は事あるごとに、だまされたと愚痴をこぼしているが、楽しそうではある。
高宮 愛。彼女の事を書かないわけにはいかないだろう。
誰もが予想した通り、性同一性障害の研究家になった。何冊かの本を出版し、マスコミはまず彼女にコメントを取りに行く程になった。週に一度はタイフーンアイのカウンターの中に入り、女装者の心の支えになっている。
それから理彩が撮った写真に何が写っていたか、気になる方も見えるだろう。
タイフーンアイの入り口と、看板と、高宮 愛。長い自毛と大きな胸、骨盤の張り出したくびれた腰、丸い肩をし女性の性器を持った美しい女性の史也がヌードで写っていた。
写真の余白に愛の文字でー史也やりすぎーと書かれている。この写真は、自殺しようとしている性同一性障害者を救う、愛にとって最後の手段となっている事を付け加えておく。
ー次話 あと書きにつづく