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第9話 高宮 幹彦


第9話 高宮 幹彦



愛は思いもよらない展開に驚きを隠せなかった。

「何故、父が?。その人と。」

「調べました。神明は以前喘息を患っていました。岐阜市内を運転中発作を起こした神明を見つけて、救急車を呼んで救ったのが高宮 幹彦その人です。」

まるで気味の悪いドミノ倒しのように思えた。その先は…あまりにも最悪な結末を考えまいとしたが、それは明白だった。

「ここから先はウラを取ってません。高宮 幹彦氏は、史也さんが大阪でしている事を何らかの形で知った。それを神明に話した。神明はあなたと別れるように迫ったのか。女装を止めるように説得したのか…。」

「…阿部 史也を殺害するように依頼したか…ですか?」

栄子ちゃんは慌てた。

「それをあなたが口にしちゃいけない。」

「でも、ウラを取るんですよね?。」

「神明はしゃべらないと思います。命の恩人ですから。警察は神明と史也さんが女装者である事まで捜査していません。ウラを取るとしたら高宮 幹彦氏にあたってみるしかありませんが…。それは愛さん次第です。もし事件を明るみに出すとしたら…史也さんが女装者であった事を世の中に出さなければなりません。お父さんは罪に問われるでしょう。このまま全てを胸にしまって生きてゆくと言う選択肢もあります。」

「神明 良介に会わせてもらえませんか…。」

「彼はしゃべりませんよ。」

「いえ…そうじゃなくて、史也の最後を見た人ですから。会って話しを聞きたいんです。」

困り果てた栄子ちゃんに変わって、翔子さんが言った。

「愛さん。ひとつアドバイスさせて。…たとえ神明とお父さんが史也君を殺そうとしたとしても。それがはっきりしたとしても。史也君は戻ってこない。お父さんは、この一年のあなたの姿を見せられて、充分に制裁を受けたと思う。あなたが追い討ちを掛けたら、お父さんは生きていられないと思う。これ以上、誰かが死ぬのは止めなければいけないわ。」

「父に追い討ちは掛けません。でも、神明 良介には会わなければいけないと思うんです。そうでないと、史也にさよならを言えません。」

翔子さんは栄子ちゃんと顔を見合わせた。栄子ちゃんは、愛の気持ちに負けた。

「…いいわ。この栄子ちゃんが手配します。連絡先を教えてくれる?。」

「はい…。」

そして理彩が言った。

「夜が明けちゃったね。愛さん、ホテルいらなかったね。」

そう。そしてまだ、たどり着けてないよ。愛はつぶやいた。

ーつづく


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