第四章・かつてない危機 (7-3)
ひとり残された愛稀は、その場に呆然と立ちすくんでいた。
「おーい!」
そんな彼女の背後から声がした。
アイラ、まどか、そして“宇宙の意志の権化”の3人が、ようやく到着したのだった。
「ひどい……」
現場の状況にまどかは嘆息気味に云った。トモエの家は半壊し、破片が辺りに散らばっている。事態の凄惨さを物語っていた。
「何があったノ!?」
アイラが愛稀に尋ねた。
「……よく分かんない。ただ私、トモちゃんに殺されかけたみたい」
呆然自失気味に愛稀は答えた。
「はぁ!?」
「ナンでトモエがアナタを!?」
まどかもアイラも信じられなかった。トモエが普段から愛稀を慕っているということは、彼女らもよく知っていたのだ。
「おそれていたことが起こってしまったか……」
“宇宙の意志の権化”の言葉に3人は振り返った。
「“おそれていたこと”って、どういうこと?」
「邪霊がトモエと融合を図ったということさ。おそらく、邪霊は彼女を身も心も支配し、取り込んでしまうつもりだろう。この短時間で完全にあの子を支配できたとは思えないが、かなりマズい状況だということは間違いない」
「ソンナ……」
「鶴洲先輩が……」
ぽつりと云うアイラとまどか。信じたくないという思いがあった。トモエは大切な仲間であると同時に、何にも代えがたい大きな戦力でもあった。そんなトモエが敵に寝返ってしまえば、果たして自分たちに勝ち目があるのか、と思えた。
しかし彼女らは、何よりもトモエの身を案じていた。
愛稀は駆け出し、すでに暗くなっている空に向かって叫んだ。
「早く来て、助けて、凜くん!」
その声は、未だアメリカにいるであろう彼女の恋人に向けられていた。
【第五章につづく】




