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第2話

二回目の投稿です。

それではどうぞ。

「何だか前に来た時と比べて随分変わったな」



そう呟いた灰色髪の青年は今、友人を探してとある国の街中を歩きながら見て回っていた。


彼の記憶ではここには国はなく、少し大きな村があったはずなのだが今はその面影は残っていない。それでも彼がここにいるのは、遠目からでも見える大きな建物から友人の発する力を感じ取っているからである。


道の端々からは商人や住民達の活気ある声が聞こえてくる。



(そういえばあの頃もこれ程じゃねぇが、みんな元気に生活してたな)



昔も今も変わらないものを見つけて自然と口元に笑みが浮かぶ青年。


昔に思いを馳せるのも程々に目的の場所へと歩みを進めていく。


−−−−−

−−−


時間をかけて目的の建物にたどり着いた。その建物は大きな神社のようで、そこには『守矢』の字が掲げられていた。


建物の中からは以前より遥かに増大しているが、覚えのある神力とそれをわずかに上回る知らない神力が感じられた。


気になることは色々あるが本人に聞いた方が早いので、青年は早速目的の人物に思念を送って呼んでみた。



(おーい。居るかチビガエルー?)



すると1秒経つか経たないかで本殿らしき場所から物凄い勢いで青年に何かが飛んできた。



「誰がチビガエルじゃゴラァァァァ!!」



そう叫びながら飛んできた物体を青年は横にひらりと避ける。そして地面に着地した物体へ体と視線を向ける。



「あーうー。今のを避けられるなんて」



飛んできた物体は人の姿をしていた。金髪に目玉(?)の付いた変わった帽子を被っている幼女である。


彼女は悔しそうにしゃべると青年を睨み付け更に言葉を発する。



「神である私に向かって侮辱の言葉を放つとはいい度胸だ!私が直々に成敗s……あれ?」



自らを神と言った幼女は青年をよく見ると、睨み付けるのをやめて何かに気付いたような反応をした。



「も、もしかして……流零(ながれ)?流零なの?」



青年……『流零』はその問いに軽い笑みで返すと口を開いた。



「久しぶりだな。元気にしてたか?洩矢諏訪子」


「そっちこそ……って言っても元気じゃない流零なんて想像出来ないけどさ」


「諏訪子ー。いきなり飛び出して行くからびっくりした……えーとどちら様?」



二人が言葉を交わしていると本殿から新たな人物が現れた。


青色で特徴的な髪に赤い服を身に付け、背中に注連縄を背負った女性だ。流零を見た女性は当然の質問をした。



「名前を聞くならまずは自分から名乗るもんだぜ」


「それもそうだね。私は八坂神奈子、この国の神だよ」


「俺は流零。諏訪子とは昔からの知り合いだ」



互いに自己紹介をすると流零は今の神奈子の言葉に感じた疑問を口に出す。



「この国の神?それは諏訪子、お前じゃねえのか?」


「そのことなんだけど色々事情があるんだよ。ここでいつまでも立ち話するのもなんだから、とりあえず中に入らない?」



諏訪子の提案で三人は本殿の中へ入り、座って話すことになった。


本殿に入った三人は上から見ると三角を描くように座り、話を始める。まず口を開いたのは流零だった。



「じゃあ説明してもらうぜ。今まで何があったかをよ」



「うん、あれはね……」



−−−幼女説明中−−−




「……ていうことなんだよ」


「……zzzz」


「真面目に説明したのに寝るな!」


「フガッ!?何も叩いて起こさなくてもいいだろうが!」



話の途中で寝ていたのがバレて怒られる流零。



「要するにお前と神奈子が戦ってお前が負けて、今は神社の名前を変えてお前と神奈子で神をやってるってことだろ?」


「かなりおおざっぱ過ぎる解釈だけど……まぁいいや。流零は大抵こんな感じだし」



悪びれる様子もなくおおざっぱな解釈をする流零に諏訪子は諦めるように呟いていた。すると今度は神奈子が口を開く。



「こっちの説明は大体終わったから次は流零……あんたについて聞かせてもらいたいんだけど。」


「ああ、いいぜ」



了承の言葉を聞くと神奈子は真面目な顔をして質問を切り出した。



「最初に会った時から妙な力を感じるんだけど……一体何者なんだい?まさかただの人間なんて言わないよね?」


「俺が何者か……ね。まあ特別隠すことじゃねえしな」



そう言うと流零は少し間を空けてから口を開く。



「俺は半人半龍。つまり人間と龍の間に生まれた存在だ」



それを聞いて驚きの色を隠せない神奈子と、既に知っているため平然としている諏訪子。そして流零は話を続ける。



「親父が龍でお袋が人間でな、なんでも親父の一目惚れだったらしい」



笑い混じりに話す流零。今度は背中の太刀を指差してしゃべり出す。



「ちなみにこれは『煌龍』と言って親父の牙を素材に作られた物でな、親父が俺にくれたんだ。こいつは俺の守り刀であり、大事な形見でもある」


「形見って……まさか」



流零の言葉に何か察した神奈子。



「ああ、親父はもう死んでるよ。お袋もな」


「……すまない。悪いことを聞いてしまったね」


「かまわねえさ、事実だし自分でしゃべったことだ」



なにやら湿った空気になったのを悟った諏訪子は空気を変えようと話題を振る。



「さ、さあ流零のことも紹介し終わったことだし、そろそろ流零が今まで何してたか教えてよ」

「ん?おお、そういやそうだな。それじゃどこから話すか……」



大まかに説明すると流零は大陸を旅していたらしい。人々との交流、悪さを働く妖怪との戦い。様々なことがあったようだ。



「それで粗方大陸を見て回った俺は戻って来たってわけだ」


「そっか〜、そっちも色々あったんだね」


「大陸かぁ。私も一度見てみたいな」



流零の話を聞き、それぞれの感想を口にする。



「それにしても最初にここに来た時は驚いたぜ。あの村がこんなにでかい国に変わってるんだからよ」


「まあね。私が頑張って信仰を集めたり発展させたりしたんだから」



えっへんと言わんばかりにない胸を張る諏訪子。



「お前はほとんど変わってないけどな、主に体が」



流零が言い終わるやいなや突如何かがプチンと切れる音がした。



「よくも私が一番気にしてることを……」



黒いオーラを出しながら立ち上がる諏訪子。それを見てやっちゃったよというような様子の神奈子に平然としている流零。



「こればっかりは我慢出来ない!お仕置きしてやる!!」


「面白ぇ。やれるもんならやってみな!」



相当ご立腹の諏訪子に対して不敵な笑みを浮かべながら挑発で返す流零。


今、龍の血を継ぐ者と土着神の頂点が激突する!!









「ハァ……喧嘩するのはかまわないけど別の場所でやってよね」


最早二人について行けない神奈子であった。

次回は戦闘入ります。

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