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第19話

今回は短いです。

「姉さんの妖力を感じる方から大きな音が聞こえたわ!急ごう雲山!」


「うむ!早く合流せねばな!」



山の中を駆けていく一輪と彼女に付き添うように移動する雲山。


藍と萃香の戦いが終わってから少し時間が経過した。皆から遅れて天狗達を倒した二人は仲間との合流を急いでいた。



「もう!天狗の奴ら数は多いしチョロチョロ動き回るし、おかげで時間かかっちゃったじゃない!」


「愚痴を言っても仕方がないぞ一輪。そんな暇があったら……待て!何かいるぞ!」



天狗を倒すのに相当手間取ったらしく愚痴をこぼす一輪。雲山は彼女に正論を言おうとしたところで何者かの気配に気付く。


二人はその場に止まると自分達の前にある木を見上げる。その木の枝には一人の女性が腕組みをしながら立っていた。


頭からは角が二本生え、桃色の髪をしている。左腕には鎖の付いた手枷があり、右腕はなにやら包帯で覆われている。



「よくぞ天狗達を倒しましたね、お見事です。次は私がお相手しましょう。鬼の四天王、茨木華扇が!」



女性……茨木華扇は声高らかに名乗りを上げる。



「この急いでる時にっ!」


「焦るな一輪、落ち着いて対処するのだ。それに奴はただ者ではなさそうだぞ」


「……分かった。ありがとう雲山」



苛ついて焦りが出始めた一輪をなだめる雲山。華扇がさっきまで戦っていた天狗とは別格だということを感じ取ったのだ。


一輪は気持ちを落ち着けると雲山に礼を言って戦闘態勢に入る。


華扇は地上に降りて戦おうと足に力を入れた。









「では、行きまs……きゃっ!?」



しかし飛び降りようとした瞬間、枝がバキッと音を立てて折れてしまった。


そのまま受け身も取れずに顔面から地面に墜落する華扇。とても痛そうである。


一輪と雲山はその様子をポカーンとした表情で見つめていた。



「えっと……大丈夫……ですか?」


「へ、平気です!鬼ですから大丈夫でしゅ……噛んじゃった。うう……」


一応心配する一輪に大丈夫だと言い張る華扇だが、顔は赤くなって涙目になっている。やはり痛かったようだ。


おまけに言葉を噛んでしまい、羞恥心で余計に顔は真っ赤になる。


その様子に一輪と雲山は思った……自分この人(?)嫌いじゃないな、と。



「ま、まあ気を取り直して勝負といかんか?な?」


「そ、そうですよ!こういう時だってたまにはありますよ!」


「……ですよね。そうですよね!これくらいでヘコたれちゃいけませんよね!」



見てて可哀想になったのか、華扇を元気付けようとする一輪と雲山。そんな二人に励まされて華扇はどうにか立ち直るのだった。



「先程はお見苦しいところをお見せしました。それでは改めて勝負です!!」


「望むところ!」



気を取り直して戦闘態勢を取り合う双方。華扇の顔にはまだ赤みが残っている。



「行きます!はああああっ!」


「来るか!?」



先手を取ったのは華扇。一気に距離を詰める彼女に対して雲山は拳を構えて迎撃の意思を見せる。


そして互いに拳の射程範囲に入った……その時!








「わっ!?」



華扇の足下にちょうどくぼみがあり、躓いてしまったのだ。勢いがついていたためそのまま前のめりになってしまう。


体勢が崩れた彼女の拳は空を裂き、次の瞬間雲山の強烈なアッパーカットが華扇の顎を捉える。



ゴキリと嫌な音が鳴り、首がありえない角度まで曲がると華扇の意識は途絶える。


空高く殴り飛ばされた彼女は頭から地面に落ちると動かなくなってしまった。



「……すごい嫌な音がしたけど大丈夫かな?」


「むう、どうかのう?」



恐る恐る近付いて様子を見る二人。華扇は白目を剥き、口からは泡を吹いて気絶していた。


さっきの音からして、攻撃の当たりどころが悪かったのだろう。


死なずに済んでいるのは流石と言うべきだろうか?



「さて、どうしたものやら」


「このまま放っておくのも可哀想だし、とりあえず連れていこうか?」


一輪の提案に頷くと雲山は華扇を担いで運ぶ。


戦いと呼べるかどうか分からない戦いを終えた二人は、再び仲間のところへ急ぐのだった。

全国の華扇ファンを敵に回してしまったかもしれません。

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