西松市の・・・
「あの件については千鶴子さんもご存知?」
「はい、三浦の姉から聞いております。」
「それで登子さんはどのようにおっしゃっていたの?」
「申し訳ないのですがどうやらうちの父が関わっていると・・・」
「でも黒幕は他にいるんじゃないの」
「西家とか東豊家とか中山家とか・・・(※分家の名称ですべて西松姓)」
「なんか大変なことになったわね」
「何を今更」
4人はそう夕食をとっていると母堂は立ち上がり
「忘れてた!」
「何を?」
「2人の熱い夜を彩る準備よ」
母堂が真顔で言うので3人が困惑していると
「いつかこの手に孫を抱ける日を待っているわ。それが亡き主人の願いでもあったの」
そう千鶴子のうしろで呟いた。
「孫なんて姉貴のところにいるじゃん」
元昭が言うと母堂は元昭のうしろで呟く。
「不妊の原因は男女半々。もし何かあるなら病院探すから」
実は学生の2人は避妊をしていたのだがそんなこと母堂に言えなかった。
「ところで直孝さんご結婚の予定は?」
「今は彼女すらいません」
その言葉に母堂はにやりとする。
「だったらうちの娘はどうかしら」
「母さん!」
元昭が怒ると母堂は平然と言う。
「主がいない家にこれ以上娘はおけないわ。本来なら元昭の結婚前に全員嫁に出すべきだったのよ。現に宗家では若君様の結婚時に千鶴子さん含むお嬢様方が全員嫁に出されたじゃない。それに父親が生きているうちなら高く売れただろうし」
「売れたってまるで置屋の女将のような発言だな」
「置屋の女将ってさすがの私でも宗家に献上することはないわ」
「昔の時代じゃあるまいし・・・それにうちでは側室として身分が高すぎる」
「・・・献上されたうちの母はどうなんでしょうか」
「それは現侯爵様があちこちに・・・」
元昭の母堂(名前未定)、トンデモ母だな(義母としても実母としても)
まあ夫が亡くなり経済的にも精神的にも苦境に立たされていて暴走気味になっているんだけど(笑)
肝心の件については“本当の”黒幕は別にいるんだったのだ・・・