過去と未来
翌日、三人は当時の地図を確認する。国子は夕夏が乗ったタイムマシンを追跡するレーダーも作ったので追跡は容易なはずだった。
しかし何の手違いか半年以上も前に夕夏はたどりついていたのだ。
そして三人は西松邸に行く。
「ここが西松邸・・・」
国子は立派な西松邸を見てため息をつく。実は国子が子供の頃まで現代の建物があったのだが夕夏によって見るも無惨に破壊されたのだ。
そして国子は現代の国子に遭遇する。
実は国子の名前は現代の国子から付けられており国子の妹たちの名前も全員歴代の西松家夫人からつけられていたのだ。
そして正直の母幸子に遭遇する。国子のすぐ下の妹は幸子といい年子のため非常に仲が良く、そして最近まで生きていた唯一の国子の兄弟だった。
幸子は長じて野菜工場に勤務し、食料の大量生産を研究開発する一方で僅かになってしまった自分の土地を全て畑にして野菜工場の必要ない時代が来ることを願っていた。
しかしやはり夕夏によって殺害されたあげく幸子の畑は夕夏に奪取されてしまったのだ。
その後三人は中山市内の各所を回るが衰退している未来と違い非常に繁栄していた。そしてあまりの人の多さに三人は戸惑う。ところがある駅に到着するというアナウンスを聞いた国子の表情が変わりそれを見た宜尊の表情も変わった。
「一体何があったのですか」
電車から降りたあと国子がいう。
「西松の家がまだあった頃、私の祖母はあの女の子孫に強姦されたの」
あまりのストレートな物言いに直子は戸惑う。
「祖父が亡くなって一年も経っていないというのがまずかったんでしょうね。祖母はあの女の子孫に犯されてから異常なほどに男を求めるようになり実の息子である父たちを誘惑するようになったの。」
「それで?」
「当然父たちは拒否するわけだけどある日突然祖母は失踪したの。西松の家がなくなったのはそれから間もなくだったわ。」
「それから8年ほど経ったある日、一番上の兄の結婚式の二次会で西松一族はここに来ていたの。ところが客引きをしている女たちの中に祖母を見つけたの」
「結婚する孫がいるほどなのに・・・」
「私たち一族はあの女は紛れもなく祖母だと認識していたの。ところが祖母は父たち男性陣にむかって片言で誘惑しだしたの。」
「どっかの外国人売春婦じゃあるまいし・・・」
「そして祖父に一番似ている叔父に向かってサービスするからと言ったり兄たちに向かって若い子の精子が欲しいといったりまるで私たちを認識していないようだったの」
「まさか強姦が原因?」
「それからしばらくして祖母は下町を流れる川で水死体で発見されたの」
「なんで水死?」
「さあ?でも精神に異常をきたしていたのは間違いないわね。それでその後祖母は8歳の女の子と暮らしていたことが判明したの」
「それってまさか」
「そう、祖母があの日強姦されて妊娠した子供なの。ところがあの女の血を引いているせいか知的障害があったの」
「やっぱり・・・」
「それでその子は祖母の実家に預けられたんだけど5年もしないうちにそこの家の男性陣を始めとして種違いの兄である父たちや私の兄弟を全員ある意味兄弟にしたの」
「やっぱり・・・」
「その子は今どうしているの?」
「父親不明の子供を妊娠したあとどこかに失踪したわ」
「なんかお決まりのコースというか・・・」