青葉「太陽・・・」
「…酷いな」
水野青葉は今、風見颯が殺した不良がゴミの様に捨てられている路地裏にいた。
しかもその殺された不良の数は一人だけじゃなかった。
ある者は顔に深い裂傷が走り、またある者は手首から先が切断されて出血多量だったりと、様々な方法で何と5人もの人間を、風見颯は殺害していた。
「新しく生まれた能力者の腕試しにされたな…それしか考えられない」
水野青葉は目の前の凄惨な光景を前にしても平然とした顔でそう呟き、携帯を取り出した。
「……俺です。ここ1週間の間に『タネ』を飲んだ人物のリストを写真付で送ってください。
…それと、回収班をS区1丁目の路地裏に5人程寄越してください。
失礼します。」
回収班…か。
青葉は携帯を切った後で、この殺されている不良達を「回収」する人物達の名前についてふと皮肉を込めた笑いを溢した。
「まるでそこら辺にでも落ちてるゴミ扱いだな…ん?」
この男は・・・。
青葉は倒れている中で唯一顔がそのままの状態で残されている男に見覚えがあった。
誰だっけコイツ…
ほんのつい最近みた顔のような…
……!!
「一昨日のコンビニエンスストアに居た不良の中の一人か!」
てことは他の奴は…あの時の仲間か!
数もあの時と同じ…間違いない。
てことは、犯人の能力者はまさか…
時間的に見ても、昨日の朝か一昨日の俺が帰った後の夜に能力が目覚めた可能性が高い。
俺はこの考えで間違いないと確信し、目の前に死体が横たわる路地裏はこれから来る回収班に任せて「ある場所」に向かって歩き出した。
タバコは吸うし自己中心的だしおまけに手も早い…
だけど、お前なら能力を手に入れても暴走はしないと思ったんだがな。
力を持ってるからこそ、より大きな力を手に入れても制御が効くと思ったから見逃したのに…結局お前も他の奴らと同じなのか。
「本当に残念だよ
…赤井太陽。」
・・・大体、殺される奴ってのはそれなりのそれにともなう理由があったりする
だがあの不良達は仲間でつるんで、コンビニに溜まって、時に軽い暴力を振るう
いい人間という分類にはならないかもしれないが、殺されるほどの悪人とはとても思えない。
「・・・胸糞悪い」
「何がですか?」
「・・・だからいきなり現れていきなり声をかけるのはやめてください、柏木さん」
「失礼」
この突然隣に現れたスーツ姿の20代前半の面持ちの男は柏木 勇。
俺の所属している能力者グループの一員だ。
「ところで青さん、これからどちらへ?」
「・・・別に私用ですよ」
俺がそう言うと柏木さんは俺の目をじっと見て言った
「本当に?」
「・・・はい」
「そうですか」
・・・いつもそうだ
この人の前で嘘を言うとまるで全て見通されてるかのように見つめられ、そして真偽を問われる
ここで否定をしても肯定をしてもそれ以上何も追及してこないものだから、本当に何を考えているのかわからない
「では自分も付き合いましょう」
「はい
・・・え?いやいいですよ!個人的な用事ですし!」
「・・・」
「うっ・・・
はぁ、わかりました。参りました。一緒に行きましょう」
「はい」
「全く・・・柏木さんには敵わないな・・・」
「何のことだか・・・して、どちらへ?」
とぼけた顔をしてそう尋ねてくる柏木さんに、俺は携帯に送られてきたいくつかの住所を見せた
「どうやら新しい能力者に問題児がいるようでして、そいつが早速何人かの一般人を殺したらしいんです。
なので被害にあった一般人の家に・・・まぁ、一応報告をしておこうかと」
「・・・青さんはつくづくお人好しですね」
「なっ・・・」
「しかしいつも思うのですが、わざわざあなたが行く必要は無いのでは?
後で下の者達に行かせればいいものを」
「・・・あの人達は、ただ淡々と報告を済ませて終わりにするでしょう。彼らからしたら、新聞配達と同じです。」
「まぁ、彼らは言われたことを忠実にこなすのみですからね」
「大切な家族を失った報告を、そんな機械的に済ませちゃ駄目だと思うんです。
どうせなら、同じ苦しみを味わった奴が伝えた方が、少しは被害者も報われると思うんです。
・・・まぁ、自分がそう思ってるだけですけどね」
「・・・」
「一人目の家、着きましたね」
そして俺は岡田と言う表札の隣にあるインターホンを、押した
能力者グループとかなんかわけわかんない単語出しちゃってすいません
何より更新遅れてすいません
どちらも後々の伏線となっていきますので、ご了承願います(ぇ
グループ等の説明は、おいおい物語が進むにつれしていきます
ノシ