右手の嵐
颯
所変わってある路地裏。
「…何これ。」
その太陽と同じ学生服を来た少年は、自分の右手から発生した竜巻…と呼ぶには些か小さすぎる「風の固まり」を見ながらそう言った。
足元には、傷だらけの数人の不良。
それが先日太陽に殴られた不良の集団であることは、少年は知る筈も無い。
「グッ…一体てめぇは…」
「…」
唯一まだ喋れる不良に気付き、少年、風見颯は右手を近付けた。
「な…何だそれは?」
「…」
「……待て
謝る!因縁つけて喧嘩を売ったことは謝る!だから「ソレ」を近付けるな!」
接近してくる風の固まりに直感的に危険を感じ取ったのか、不良は恐れるような顔で頼んだ。
しかし…
「…」
颯の手は一向に止まる気配を見せず、その瞳は感情が無いかのように無機質に不良の目を見据えていた。
「痛ッ!!」
そしてその右手の風が自分の後数cmまで近付いた瞬間、不良の顔に深い切り傷ができた。
「…やめろ…やめてくれ!許してくれ!もうしない!頼む!許してくれ!!」
自分にできた傷によりその風が完全に害のある物と解った不良は、声を震わせながら、恐怖で顔を歪めながら颯に懇願した。
だが
「…」
颯は開いた右手を、不良の顔に押し付けた。
その瞬間、不良の叫び声が路地裏に響き渡った。
ガリガリガリと、右手から伝わる振動。
風が不良の顔面をえぐってるのだと理解するのは、難しくなかった。
しかしどれほど叫ぼうとも、颯はその手を退けようとしなかった。
そしてもう声と呼べるものではない声が段々小さくなっていく中、颯は言った。
「成る程…こうなるんだ…。」
風見 颯が能力者になって初めてした行為。
それは、殺人だった。




