弁当は、たとえ手作りじゃなくて冷凍食品でも、愛情を全力で込めればどんなに上手い料理にだって並ぶことが出来る。
すみませんでしたっ!!!!
大変遅くなってしまいましたっ!!!!
バイト→学校→バイト→学校という多忙のせいか、執筆がなかなか進まず、1ヶ月以上が過ぎてしまいました。
そして、新年まであと数日となりましたっ。
皆さん、大掃除なんかはもう取りかかってますか?
私は全くの手付かずでして、もういいかなぁ…なんていう。
あっそういえば、私の地方では雪が積もりとても綺麗な銀世界となってます。
そして、最近バイト行く途中で近所の小学生にいきなり雪の玉を投げられました……。
ついでに転けました………。
ま、まぁその話は置いといて記念すべき第十話です。二桁に突入ですっ。
これからもよろしくお願いいたします。
では、
どぞー
第十話
「結局、柚葉の靴下は左右とも黒色だったのか」
いつも何故か豪華な気がする柚葉特製の弁当箱を開けながら、すでに自分の弁当箱を開け、ミートボールに手をかけていたテルに視線を向ける。
「あぁそうみたいだぞ。柚葉ちゃんから直接聞いたからな」
なんでも柚葉のクラスまでわざわざ聞きに行ったらしいのだ、こやつは。
「でも、メーカーが違ったらしいぞ」
「は? メーカー? なんじゃそりゃ」
「いやだからな。左右の靴下、作ったとこがバラバラなんだよ」
「あぁなるほど、」
一回頷き、
「わからん」
「わからないなら、なるほどとか言うなお前は。つまりだな、」
と続け、テルは柚葉の靴下について話始めた。
・
・
・
・
・
「……、ということだ。わかったか?」
「あぁまぁわかった」
要するに、柚葉は左右とも黒色の靴下を履いていたのだが、ただ作ったとこが違うと、そういうことか。
「でも拓斗、お前よくわかったな。靴下が違うって」
「え? うんまぁ…、てかアレはすぐわかったぞ。何か色おかしかったしな」
「そうか、俺は全然わからなかった」
「ねぇ~ちょっとぉ~、ボクも会話に入れてよぉ~」
オレとテルが柚葉の靴下について話していると、マコがちょっと寂しそうな目でこちらを見つめながら声を漏らした。
あぁもぅ、かわいいやつだなぁ。
「あぁごめんごめん。あっ、そうだ。マコって弁当自分で作ってるんだっけ?」
「うん、そーだよぉ」
マコはなんでも料理が好きらしく、弁当は自分で作っているのだ。将来の夢は確か料理人って言ってたかな。
「じゃあ何かオカズ一つくれよ」
「いいよぉっ、今日のオススメはこの『チーズ入りからあげ』だよっ」
と言って、一つ箸で掴みオレの弁当箱に入れてくれた。
パクっと食べてみると、
「おぉやっぱりうまい」
「えへへ。じゃあタっちゃんの…というかゆずちゃんの作ったの何か一つちょーだいっ」
「おう、いいぞ。じゃあこの柚葉が得意な『だし巻きたまご』をあげよう」
柚葉は基本どんな料理でも材料さえあれば作れる。その中でも1番得意なのが、この『だし巻きたまご』なのだ。
「うんうんっ!!! ちょうだいっ、ゆず先生のだし巻きたまごっ!!!」
マコも料理は上手なのだが、料理のレパートリーが豊富な柚葉をどこか先生として見ている。
そういえば、今日の朝食も「おいしいおいしい」言いながら食べてたからなぁ。
「じゃあ、俺にも一つくれよ」
ひょこっと横から自分の弁当箱を差し出してきたテル。
コイツもマコと同様、柚葉の料理のファンだったりする。
朝、オレん家にいたのも何か適当な事を言ってごまかしていたが、本当は柚葉の料理を食べたいからだ。
「おう、いいぞ。…ほれっ」
だし巻きたまごをひょいっと掴み、マコとテルの弁当箱に入れていく。
「ありがとぉー」
「ありがとう」
「お礼なら柚葉に言ってくれよな」
柚葉の料理は母さんからほとんど教えてもらったもので、よく台所で母さんと並んで手順を細かく教えてもらいながら調理する柚葉を見ていた。
小五に入った頃から料理を教えてもらっていた柚葉だが、高一になった今じゃ中華料理フルコースを作れるぐらいにまでレベルアップしていた。
ちなみにオレは料理は全くと言っていいほど出来ない。
この前、こんがり肉を作ろうとしたらタイミングを間違えてこげ肉が出来てしまった。
「うん、うまい」
「あぁ、相変わらず柚葉ちゃんの料理はうまいな」
「うまぁーいっ!!! やっぱりゆず先生には敵いませんなぁー」
オレ達はいつものように保健室の1番左のベッドを占領して昼食タイムを満喫しているのだが、この独特の匂いが充満した保健室で食べても上手い柚葉の料理は本物なのだろう。
「うぅ、ん、ん~~あぁ~」
柚葉のだし巻きたまごの上手さにオレ達三人が舌を巻いていると、真ん中のベッドで1時間目からずっと気絶していたカズが、うめき声なのかよくわからない声を出しながらやっと起きた。
「んあぁ~、はっ!!! ここはどこ? 私は誰? 今何時? マコやん好きです」
起きたと思ったら突然目をパチリと開き、記憶喪失の決まり文句と最後にマコに向けての告白をカズは早口に唱えた。
起きて早々、何コイツさりげなく告白してんだよ……。
「ごめんなさいっ!!!」
カズの告白にまたマコは律儀にペコリと頭を下げ、返答する。
「くそぉ!!! 『さりげ告白作戦』失敗だぁー!!!」
そんな告白の仕方で成功するとでも思ってんのか?、コイツは。
というか、成功はまず無い。
「カズ、おまえなぁ。マコは男なの、こんなに可愛いけど男なんだよ。それ分かってんのか?」
もうマコとは三年近く一緒に行動を共にしてきたんだ。それくらい分かるだろ。
というか、中三の修学旅行で露天風呂一緒に入ったじゃないかよ。…いやでもあれは酷かったなぁ。その時、一緒に露天風呂に入っていた生徒全員がマコを見て鼻血出しちゃって何かの地獄絵図みたいになってたからなぁ…。まぁいい思い出だけど。
「マコやんが男なのは分かってんよ、そんなの。でも関係ねーじゃん。好きになったもんはさ」
突然凛々しい顔になってそんな事言われてもなぁ。でも、正直わからない。コイツの事はほとんど分かると思っていたんだが、こればかりはカズの事がわからない。
本当にマコの事が好きで言っているのか、それともただネタで言っているのか。後者だと願いたいが……どうなんだろうな。
マコを見ると何度もカズに「好き好き」言われて恥ずかしくなったのか、少し頬が赤みを帯びている。
もう。
可愛い。
「数哉、何でもいいけど、後5分で5時間目始まるぞ」
「なぬ~っ!!! おれまだ弁当食べてないのにぃ~!!!」
閉めきっていたベッドのカーテンをシャーッと開け、壁に掛けられたら若干アンティーク気味の時計を見るとテルの言った通り、後5分で次の授業が始まる時間だった。
「カズ、まだ間に合うっ。ささっと食べちまえ」
「よっしゃーっ!!! 1分で食べてやるぅー!!!」
ベッドの上に勢いよく立ち、気合いを入れたカズ。そして、
「………」
何故かその状態で固まって動かなくなった。
「カ、カズ……? どした?」
「………おれの弁当は?」
「「「……あっ」」」
忘れてたぁー。
カズを保健室に運ぶので精一杯で弁当のこと完全に頭から消えてたぁー。
「ごめんカズー。完璧忘れてたー、アハハハハッ(棒読み)」
「おれ達の友情ってそんなもんなんだね……」
一度は気合いを入れ、ピンッと伸ばした体を今はベッドの上で体操座り。明らかに落ち込んでいる。
「だ、だいじょーぶだよっ、カっちゃん。ボクのお弁当少しあげるからっ」
ナイスだっ、マコ。
「ほ、ホントに!? やっぱりマコやん、おれの嫁になってくれぇーっ!!!」
「ちょ、ちょっとカっちゃん!!! 抱きつかないでよぉー!!! それになんでボクがお嫁さんなのさぁーっ!!!」
「ふっふっふっ、さぁこの高城数哉にすべてを捧げるのだぁ~っ!!!」
「きゃあぁ~~!!!」
また始まったよ。昨日もこの時間ぐらいに同じ事やってなかったか?
「はぁ……ったく。おいっカズ、その辺にしと」
「しっ、静かにしろっ。放送が何かおかしい」
オレがカズを止めに入ろうとしたところで、先程からずっと傍観していたテルが人差し指をピンと伸ばし口元に近づけて、保健室に設置されている校内放送が流れるスピーカーをジッと見つめながら、少し強い口調でオレ達三人に注意する。
テルが言ったように昼の放送に耳を傾けてみると……、
『えっ!!! あっか、会長っ!!! どうしたんですか!? ちょ、ちょっとダメですよっ!!! 今放送中で』
『すまんがちょっと急用だっ!!! マイクを借りるっ!!!』
『今から呼ぶものはすぐ生徒会室に来いっ!!! 一分で来いっ!!! では呼ぶぞっ!!! 二年D組ぃ!!! タカテマぁ~~!!!!』
「「「「………」」」」
いやいやいや。
はい? 呼び出し?
オレ達何も悪い事してないぞ…。………いや、してたかな? いやいやいや、してないしてないっ………はず。
「なぁ、何かオレ達したっけ?」
「いや、してない」
「ボクも何もしてないと思うよぉー」
「おれも何もしてねーぞ」
三人共何もしてないみたいだし。よしっ、ここは、
「行くのめんどくせーし、無視しようぜー」
「そーしよーっ、だっておれまだ何も食ってないし」
別に悪い事なんてしてないし、無視してもいいんじゃないか。
「いや待て、ここは素直に生徒会室に行った方がいいかもしれない」
オレとカズが会長直々の呼び出しを無視しようと決意したところで、テルがオレ達とは全く反対の事を言った。
「えぇー、テっちゃん、何でなん?」
「いや、だって行かないと」
『あっ、ちなみにもし一分以内にこなければ、…………停学だからな、ふっ。はいっ、今から一分。よーい、スタートぉー』
「「「「………」」」」
そういうことかよっ!!!
なんか鼻で笑ってるし…。
あぁーもうっ!!!
「い、行くぞーっ!!!」
「「おぉーっ!!!」」
「はぁ…、こうなると思ったんだよ」
「テル、ため息ついてないで行くぞっ」
「あぁ、わかってる。今行く」
あぁもう、なんだってんだよ。
*
「ちっ、57秒か。ギリギリだったな、お前ら」
「「「「はぁ…はぁ…はぁ…」」」」
息が苦しい中、明日野が左手首に付けた腕時計を見ながら舌打ちしてオレ達にタイムを告げた。
今、息苦しいんだよ。話しかけんな。
「お前らを急遽収集した理由を早速言いたいところだが、まだ会長が放送室から戻ってきていないため、後から話すことにする」
下を向いて息を整えていた顔を前に向けて見ると、真ん中のデカい椅子に会長の姿はなかった。
「はぁ…、人のこと呼び出しておいて、その張本人がいないのかよ」
「少し待ってろ佐伯。もうじき戻ってくる。それよりもお前ら、会長直々の呼び出しだぞ、喜べ」
コイツなんなの?
何でこんなに偉そうなの?
ちょっとカチンときた。
「うっせぇーよ、明日野。おめーは黙ってろ」
「口の聞き方に気をつけるんだな、佐伯。言っておくが、お前らを停学にも退学にもする事なんて簡単なんだぞ」
「へいへいそうですかーい。じゃあ停学にでも何でもしてくださいなぁー」
「言ったな? 今言ったな? よぉーしわかったっ。お前らを退学にする」
「と、いうのは私が最終的に決めるんだ」
オレ達四人の背後にそびえ立つ無駄に作りが豪華な扉から、右手に何かを持った会長がやっと現れた。
「すまんな、遅くなった。放送室から戻る途中でちょっとコーヒーを飲みたくなってな。これを買いに行っていた」
自分の特等席の椅子に向かいながら、右手をひょいっと上に上げた会長の手には、確かテルの好きな『マイルドと思わせておいて無糖コーヒー』が握られていた。
「なに!? マイむと、だと!? それは売り切れていたはずっ」
ずっと黙ってメガネ拭きに全力をかけていたテルが突然、会長の缶コーヒーを見るなり声をあげた。
「ふっふっふっ、実は一年の自動販売機以外にもこのマイむとは売っているのだよ」
「な、なんだと!?」
「その場所を知りたくないかい、東田?」
「くっ………、何が狙いだ?」
拭いていたメガネをまた顔にかけ、少し苦虫を噛み潰したような顔をしてテルは言った。
お前、どんだけマイむと好きなんだよ。
「私のお願いを聞いてほしい」
「それは内容によるな」
「簡単な事だ、ちょっとした…」
少し間を空け、ふかふかで気持ちよさそうな椅子にドカッと座り頬杖をついて、会長はまた続けた。
「…ちょっとした、調査をしてほしい」
「「調査?」」
それにはテル同様、オレの頭も直ぐに?マークが出てきて会長に聞き返した。
「あぁ調査だ。最近な、水泳部の女子更衣室に覗きをする愚か者がいるらしいんだ」
ワッツ!?
ノゾキ!?
覗きってあの風呂とか着替えとかをどこかバレないところに隠れて見るあの変質者!?
「それは確かか?」
オレが軽く『覗き』という日常生活においてあまり使わない単語に戸惑っていると、テルがいつもの冷静の状態で会長に確信を求める。
「二年C組の水泳部員‐水島 友美 (みずしま ともみ)という生徒が昨日、生徒会に申し出てくれた。ただ、覗きがいるということしか聞いていない」
「なるほど、つまり詳細は彼女に、ということか」
「あぁ、すまないがそうしてくれ」
あれ?
あれあれあれ?
なんかこの空気…、
「ちょっと待ったぁっ!!! テルっ、お前もしかしてこの依頼請ける気か!?」
「ん? 当たり前だろ、生徒が困ってるんだ。やるしかないだろ」
嘘付けお前ぇーっ!!!
顔に『マイむとどこにあんねん?』って書いてあんぞこらぁーっ!!!
テルからスッと会長に視線を移すと会長と目があった。そして……、空になったコーヒーの缶をシャカシャカ横に振りながらニコッと気持ち悪く笑った。
くそっ!!!
やられたっ!!!
わざわざマイむとを買ってきたのはこのためかっ!!!
「あぁもうっ!!! やってやんよっ、オレやってやんよっ。いいよなぁ、カズとマコ?」
「「ええよぉーっ」」
コイツら、全く興味なしかい。
さっきから静かだと思ったら、マコの弁当を一緒に食べてたのかよ。
「おぉそうか、それはありがたい」
「ただ、一つ…いや二つ、条件がある」
「条件? 私に条件を求めるとは…まぁいいだろ。なんだ?」
「一つはまぁテルにマイむとの在処を教えるのと、あと一つは……昨日のことを謝ってもらいたい」
「昨日?」
「女子っ、更衣室のっ、掃除っ」
少し強めの口調で会長にボールを投げた。
「あぁあれか。何かあったのか?」
「何かあったどころじゃねーってのっ。張り切って掃除しようと掃除道具片手に更衣室入ったら、誰が着替えてたと思う?」
「あぁ、…………だれが?」
「誰が? …じゃねーっ!!! まだ可愛らしい陸上部とかスリムな子ならよかった。なのにオレ達が出会したのは………女子プロレス部のゴツいやつらじゃねぇーかぁ!!!」
「ぷっ、……あぁそうか。よかったな」
今笑った?
今笑ったよね?
明日野も笑ってやがるし…。
「何がよかっただアホーっ!!! そのせいでオレ達はプロレス技かけられまくって、死ぬとこだったんだぞぉーっ!!!」
「「そうだそうだーモグモグモグッ」」
「しかも、10分間ずっとだぞっ!!! もうトラウマになってもうたわーっ!!!」
「「そうだそうだーモグモグモグッ」」
「お前ら2人は弁当食べてから喋ろぉーっ!!!」
「「すいませんでしたーモグモグモグッ」」
「はぁはぁはぁ……」
疲れた。
一気に叫びすぎた。
昨日から溜まっていた怒りがついにでてしまった。
「おいっ、佐伯っ!!! 会長になんて口をっ!!!」
「うっさい明日野。おめーに用はねぇんだよーだ。あと、言うタイミングが明らかにおかしーだろーがバーカ」
「お前ぇ……退学だぁっ!!!」
「というのは私が決めると、さっき言わなかったか、…明日野?」
スッと空気を切り裂くような声が生徒会室にカマイタチのように広がる。もちろん、この声の主は会長だ。
会長の机の前に設置してあるお客専用の長机で弁当を食べていたカズとマコをチラッと見ると、2人共ちょうどミニハンバーグを口に入れるところで固まっていた。
一瞬にして静まり返った生徒会室。
一歩でも動けば体がミンチになりそうだ。
つまり会長は、軽くキレている。
「話を整理しよう」
会長がまたいつもの口調で話し始めたことで張り詰めた空気が和らいで、体がふわっと楽になった。
固まっていたカズとマコもパクッとミニハンバーグを美味しそうに口に放り込む。
「まず、佐伯と明日野。お前ら、喧嘩は他でやれ。わかったか?」
「会長、すみませんでしたっ!!! 副会長ともあろう私がこんな事を…。もういたしませんっ!!!」
「ぷっ、『私』だって」
「おいっ、佐伯っ!!! 笑ってないでお前も会長に土下座して謝れっ!!!」
「あぁん!? なんで土下座なんだよっ!!?? お前頭でも湧いてんじゃどうもすみませんでしたっ!!!」
会長に物凄い目で睨まれて本能的に防衛反応が起動したのか、体が勝手に土下座モードになり、明日野への文句を言う前に口がこれまた勝手に会長に謝った。
「まぁ今回は許してやる」
はぁよかったぁ…、と胸を撫で下ろす。……ってあれ? 会長に謝ってもらおうと思ってたのにいつの間にかオレが会長に謝ってるよ……。
「それでお前らは私の依頼を請けてくれるのか?」
「もうねぇ……やるよ。………あぁやってやんよっ、オレ達やってやんよっ」
今、やっぱりやりませんって言ったら確実に息の根を止められる。
「そうかそうか。では、よろしく頼むぞい」
ぞいって何だよ…。
「会長、一ついいか?」
「あぁ何だ、東田?」
先程から一人顎に手をあて、考え中といった仕草ををしていたテルが突然会長に質問を口にした。
「水泳部員全員の名前・クラス・出席番号のリストがほしい」
「ふふふっ、そういうと思ってすでに用意してある。……凛」
右手で頬杖をついていた会長は得意げに笑った後、そう言って左手をスッと梅生さんの方に突き出した。
その瞬間、梅生さんは大事に抱きかかえていた3つある内の1つのファイルを会長に手渡した。
おぉ昨日と変わらず、梅生さんの反応は早い。
「ん。凛、ありがと」
「………(コクリ)」
一つ梅生さんにお礼を言った会長は、もらったファイルを開き、そこから一枚の紙を取り出した。
「この紙がそうだ」
と言って、水泳部員の情報が書かれた紙を会長はお客専用の長机に向かってふわっと軽く投げた。
紙はふわふわとほんの数秒空中をさまよった後、上手い具合に長机にすすっと着陸。
「その紙に書かれているのが、今現在水泳部に所属している部員だ」
テルと一緒に長机に近づき、紙を覗き込むと水泳部員の名前・クラス・出席番号が綺麗に表に表されている。昨日生徒会室に来たという水島友美の名前もこの紙に書かれていた。
ざっと見た感じだと水泳部員は男女全員で30人といったところか。
「では頼むぞい」
会長の語尾が気になるがそんなのはほっといて、重要アイテムの水泳部員の紙を折りたたんでブレザーのポケットに突っ込み、扉に向かう。
この調査がまさかあんな事件に発展するとはオレ達はまだ知る由もなかった。
いやいやいや。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
どうだったでしょうか?
もう2010年も終わりですね。
この年は色々ありました。
サッカーワールドカップ、車の免許、新しい生活、新しい友達、新しいギター、新しいエフェクター、激しいライブ、忙しいバイト。
恋人なんてのは全くもって出来るかけらすら見えないけど、でもそれでもとても充実していて、一年がとても早く感じました。
あぁリア充してるなぁ……なんて思ったり。
では皆さん。ガキ使を見て笑いながら新年を迎えましょう。
良いお年を~(^∀^)ノ