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『妄想』と『想像』の違いは何か?と聞かれ、「妄想はエロい」と答えるのは中学生まで。


どもども。

最近、小学生以来行っていなかった駄菓子屋に行って、十円ガムを見てあまりの感動に箱買いしたメダショウです。



二週間ぶりになります。

遅くなりました。


話の流れはほぼ決まっているのですが、なかなか執筆が進まず苦しんでおります。


ですが、これからも頑張っていきますのでよろしくお願いいたします。


では第九話です。



どぞー




第九話




「柚葉ぁ~、いい加減元気出しなってぇ~。もう昼だよー」


親友の声が聞こえる。

でもその声は私の右耳から入り、そのまま左耳へと流れて外に出ていく。


つまり、全く頭に入ってこない。


「柚葉ぁ~、早く弁当食べないと五時間目始まっちゃうぞ~」


親友の声が聞こえる。

でもその声は私の右みm


ダメだ。

全然元気が出ないよ。


兄さんに嫌われた。絶対嫌われた。

だって一方的に勘違いして、それで兄さんに………兄さんに「嫌い」って言っちゃった……。


好きなのに…………兄さんのこと大好きなのに「嫌い」って……。



今日の授業、全く集中できない。何回先生達に「大丈夫か? 保健室に行ってこい」と言われたか。

でも、保健室なんて行けないよ。だって、兄さん達がいるかもしれないんだもん。


はぁ、学校終わったらどうしよう。

家に帰ったら兄さんと会うことになっちゃう。



もう私のHPはほぼゼロ。

誰か教会へ連れてって。



「はぁ~、朝会ったらすでに落ち込んでて、一時間目ギリギリに戻ってきたと思ったらさらに落ち込んでて。もう柚葉落ち込みすぎ」


また親友の声が聞こえる。

でも、今回はスッと頭の奥まで入ってきた。


いろいろな不安と後悔が詰まって重くなった頭をムクッと力の限り上げ、私の前に対面するように座り、弁当を食べる親友‐菖蒲 志乃に顔を向ける。


いつもは教室で食べるのだが、今日は志乃に連れられ、食堂の1番端っこで昼食。


といっても、私は何も食べてない。


「私だって好き好んで落ち込んでるわけじゃないの」


ちょっと怒った感じで言う。


志乃は私の気持ちわかってない。


「わかってるよ。でもさぁー、別に落ち込むことだけじゃないと思うけどなぁー」


わざとらしく語尾を伸ばす志乃。


「どういう意味?」


「柚葉の靴下。拓斗先輩、柚葉の靴下の色が左右色が違うっつって、呼び出したんだよね?」


「うん、そだよ」


「でも実際、それってどっちも黒色だよね?」


「う、うん。実はそうなんだよね」


そう。

教室に戻って来た後に靴下をちゃっかり確認したけど、どっちも黒色だった。


ただ、


「この靴下、左右違うメーカーのやつを履いてるんだよね。それは後から気づいたんだけど」


「それっ」


「それ? 何が?」


「もう鈍いなぁ。だからぁ、拓斗先輩はそのメーカー違いの僅かな色をいってたんだよ? つまり、」



あっ。



「わかった? 拓斗先輩は見てんの、柚葉の事。いっつも気にしてるんだよ………………多分だけど」


志乃の声は段々小さくなっていって、最後ら辺がよく聞こえなかったけど。ちょっと無理矢理言われた気がするけど。


でも、それでも、今の私にとってはハイポーション並の回復薬。

「ありがと、志乃。ちょっと元気でた。……う~ん…よーしっ!!! 今日はこの兄さんのハンカチで乗り切ろう!!!」


スカートのポケットから兄さんのいい匂いが染み付いたハンカチを引っ張りだし、天に高々と上げる。


うんっ!!

頑張れる!!!



「でも柚葉ぁ、もうそろそろその妄想癖直そうよ。今日だって、自分で勝手に妄想して勘違いして絶望して思ってもない事言っちゃって、そんで落ち込んで。……単なるアホじゃん、そんなんじゃあ」


うっ。

この言われようは辛い。


「しょ、しょうがないじゃん。頭の中で勝手にぐるぐる回るんだもんっ」


ぐるぐるぐーる。

ぐーるぐる。


「勝手にって……。柚葉もしかしてだけど、拓斗先輩とのあんな事やこんな事の妄想もしてるの?」


「へぇ? あんな事? こんな事?」


「だからさぁ………、拓斗先輩とのエッチな妄想とかさぁ…」



ボンッ



私の顔はこんな効果音が鳴ったのではないかというくらい、一瞬にして赤くなってしまった。


「ししし、ししてないしてない!!!/// そそそんなことしてない!!!/// ホントだよ?///」


全力で両手を振って、否定する。が、


「焦りすぎ。そして、わかりやすい(笑)」


ううぅ……。

今日の志乃、強し。


「ほれほれ、正直に言いなされ」


箸を持っていない左手をクイクイッと動かし、先を促す志乃。


くそぉっ。

逃げられないよ。


「…………少しだけ……」


「は? 聞こえない」


「うぅ~…。……す、少しだけ、妄想したことある、よ」


「やっぱりなぁー」


私が何を言うのをわかっていたと言わんばかりのどや顔をしながら、腕を組んで納得する志乃。


わかってるなら、聞かないでよもう。


「それでそれでっ。どんな事を妄想したの?」


まだ食べかけの弁当を一旦横にずらし、机に身を乗り出しながら、志乃もやっぱり恥ずかしいのか若干顔を赤くしながら、聞いてくる。


「えぇー……、それって言わないといけないの?」


「いいじゃんいいじゃんっ。減るもんじゃないしっ」


志乃はそんな事言ってるけど、今確実に私のHPは少しずつ擦り減ってきている。


「だからそのぉ///、」


もう逃げられないと判断した私は、顔を林檎の様に赤くしながらしゃべり始めた。


「例えば、そのぉ///、兄さんとそのぉ、一緒にそのぉ///」


「『そのぉ』が多いぃー!!!」


「しょうがないじゃんっ!!! 恥ずかしいんだもんっ!!!」


誰だって恥ずかしい事を自分からは言わないはず。


私が話すのを拒んでいると、志乃はおもむろにブレザーのポケットに手を突っ込み、スライド式の自分のケータイを取り出した。


「じゃあしょうがない。拓斗先輩に『柚葉が拓斗先輩をネタに妄想してまぁーす』って電話をするしかな」


「話すっ!!! 話すからそれだけはやめてぇー!!!」


ダメだ。

今日の志乃に勝てる気がしないよ。


「ふっふっふっ、それで良いのだよ。……それで? 続き続きぃー」


「もうわかったよぉ」


若干テンションの高い志乃についていけないなぁと思いながらも、私はまた渋々と顔を赤くしながら話し始めた。


「だからそのぉ、最近したのはぁ、」


「なるほど、何回もしてるのか」


「っ!!!///」


しまったぁー!!!

墓穴自分で掘っちゃったぁー!!!


「もういいじゃん別に!!!/// いちいち突っ込まないでよっ!!!」


「わかったわかったっ。もう何も言わないからさぁ。はいっ、続きお願いしますっ」


「もうっ、……えーっとそのぉ、最近したのは、に、兄さんと一緒に寝る妄想、かなっ///」


「寝る!!?? 柚葉ぁ、レベル高いなぁ。拓斗先輩とヤる妄想してるのかぁ」


「ちちち違うよぉ!!! ただ添い寝だけだってぇ!!!」


「添い寝だけ? 一緒に寝るってこと? その後は?」


「何もしてないよっ!!!///」


「ホントに?」


「ホントだって!!!」


「ジ~~~」


志乃の鋭い両目の視線が私に突き刺さる。


と、とりあえず落ち着こう、うん。

深呼吸深呼吸。

やっぱりこれ大事。


すぅー

はぁー

す「嘘だな」


「っ!? ケホケホケホッ。ななな何が!?///」


深呼吸して冷静さを取り戻そうと、空気を吸ってぇー吐いてぇー吸ってぇとここで突然の志乃が私の心を見透かした様に口を開いた。


ちょっとびっくりして咳き込んでしまった。


「だから柚葉、嘘ついてる」


ズバリ言われた。


「………///」


でも、否定できない。

私は嘘をついてる。


「ほれほれ~、あと何を妄想したのかな? 言ってみんしゃい」


机に乗り出した体をさらに私に詰め寄り、もう明らかに楽しんでるといった顔をしながら志乃は私に聞いてきた。


「あとはぁ……」


もうダメだと腹を括った私は、開いたまま一回も手をつけていない弁当に入っている卵焼きを箸でチクチクしながら、また顔を赤くして話し始めた。


「あ、あとはぁ……、チュウ…とか///」


自分でも驚くくらい声が段々小さくなっていく。


「え? 何て?」


「だ、だから、そのぉ………兄さんとチュウする妄想を少し///」


「チュウ? あぁキスの事か。キスって言ってよ、わかりづらいなぁ」


「だってなんかキ、キスって言うの恥ずかしいんだもん/// 頭で考えるのはいいけど///」


「可愛いなぁ~もう。それで、キスの妄想をねぇ。実際にはやらないの?」


「やらないよっ!!! ………やってみたいけど」


「じゃーやってみたら?」


「出来ないよっ///」


「ふっふっふっ、夜拓斗先輩の部屋に忍び込んでやってしまえばいいじゃないか」


「っ!!!」


今、志乃は何と!!??


夜。

兄さんの部屋に。

忍び込んでチュウしてしまえと?


したい。

兄さんとチュウしてみたい。

出来れば、その後も……。


ううん。ダメダメダメ。



「やっぱりダメ」


そういうのは兄さんと付き合って、ちゃんと向き合ってからしたい。


それに…………、


「兄さんのはじめてはやっぱり兄さんが『好きな人』としてほしい」


うん。

その『好きな人』がたとえ私じゃなくて別の人でも、それでも私はいい。


と、頭では思ってるつもり。

つもりなんだけど……。



兄さんが私以外の女の人と一緒にデートしたりするのを考えるだけで少しだけ頭が痛くなる。

まるで頭の中に兄さんにだけ反応する爆弾が埋め込まれてるみたいに。



「そっかぁーしないのかぁ。ちょっと期待してたのになぁ」


「そんな事に期待しないでよもう……」


「でもさぁ、別にしちゃってもいいんじゃない? だって、拓斗先輩の寝てる所を襲うわけだから、気づかないんじゃない?」


むむむ。


「確かにそうかも」


顎に手を置き、一度考えてみる。


確かに兄さんが寝ている所を狙うわけだから、兄さんにばれなければいけるはず。

でも、それだとばれた時が恐いなぁ。


「ばれてもだいじょーぶ」


志乃は私の心が読めるのか、不安に思っていた事をピンポイントについてくる。


「拓斗先輩だって『男』だよ。こんな可愛い子にキスを迫られている状況に出くわしたら、襲っちゃうと思うけどなぁ」


「えへへっ、そうかなぁ…///」


なんかこう、正面から『可愛い』なんて言われると照れるなぁ。


「よ、よしっ!!! ………ちょっとやってみようっ……かなぁ………なんて思ったり…」


ばれてもいいからやってみようと一つ気合いを入れるが、結局消極的になってしまう弱気な私。


「思ったりじゃなくて、やってみーるーのっ!!! 柚葉、拓斗先輩のファーストキスが他の誰かに取られていいの?」


「………それは嫌だ」


「でしょ? だったら頑張るの。わかった?」


ううう。

なんか上手く丸め込まれた気がする。でも、嫌な気分ではない。


「うん、わかった。やるよ……、私………やるっ!!!」


気合いを体中に込めて、ブレザーに入っているハンカチ(兄さんの匂い付き)を掲げ勢いよく立ち上がる。


うんっ!!!

出来る!!!

私なら出来るっ!!!


YES!!! I Can!!!



「お~い柚葉ぁ~。みんな見てるぞぉ~」


「へぇ? ……っ!?」


周りを見ると皆が私を変態を見るような目で見ていた。


あまりの恥ずかしさに勢いよく座る。


「まぁうん、この作戦が成功したら、少なからず拓斗先輩と柚葉は近づくと思うよ」


「…う、うん///」


まだ顔を赤くしながら、志乃の言葉に頷く。


「だからさっ。いっちょ頑張ってきなっ」


「うんっ!!!」


志乃の笑顔を見るとこっちも笑顔になる。ホントに志乃が親友っでよかった。心からそう思う。



「よ~しっ、弁当食べよぉ~」


「後5分しかないぞ」


「なんですとぉ~!!!」


穴だらけになった卵焼きを食べようと箸を伸ばすと、志乃からまさかの宣告。


しまったぁ~、話が長すぎたぁ。


でも、ちゃっかり志乃は弁当をすべて食べ、片付けをしている。



「もぉー後5分で全部食べるっ!!!」


やけくそになって、弁当箱に入っている物を次々と口の中へほうり込んでいく。


すると、さっきまで『今日の星座占い』を放送していた昼の放送が突然騒がしくなった。


「今日の星座占い最下位は………ざんねーん、いて座のあなたです。って、えっ!!! あっか、会長っ!!! どうしたんですか!? ちょ、ちょっとダメですよっ!!! 今放送中で」


「すまんがちょっと急用だっ!!! マイクを借りるっ!!!」


放送部の子から突然、声が生徒会長さんへと変わった。

何か焦っているみたいだ。



良からぬ寒気が。


「今から呼ぶものはすぐ生徒会室に来いっ!!! 一分で来いっ!!! では呼ぶぞっ!!! 二年D組ぃ!!! タカテマぁ~~!!!!」



箸で掴んで食べようとしていたミニハンバーグが無情にも箸から離れ、重力にしたがい落下。




兄さん何したの?






ということで

全編において、柚葉と志乃のガールズトークが展開された九話でした。


いやはや。

なんというか今までで1番ヒドい話の流れになってしまった気がします。

気がするというか、なってしまいました(笑)。


ただ伏線はこんなもんかなぁといった感じです。


後、前回の後書きで生徒会のメンツを出すのか出さないのかとありましたが、それは次回に伸ばさせていただきます。



それでは、ついにニケタに突入の第十話でお会いしましょう。



ではー




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