第13話 意味
フレイが第二基地を攻略し終えたところでようやくウダウダ歩き疲れたケイムとキツキが到着。
「君がアガルシーくんのこれ?」
フレイが小指を立てる。
「これっす」
キツキが中指と薬指を折り曲げる。
「メロイックサインじゃない。どういう関係なんだ‥‥‥?」
「‥‥‥そうだ。いいことおもいついた」
「いいこと?」
ケイムがほんとうにいきなり言い出すので、二人は驚いた。
「少しでも君たちの気分が紛れればいいけれど‥‥‥古代の言葉を教えよう。知りたい言葉はあるかい?」
「えー。じゃ、『愛』とか」
「うん。古代語‥‥‥というより、ギマシ語で『愛』は、『ギマ』っていうんだ。ギマにシがつくと『愛する人』になって‥‥‥俺が生きていた時代では『国民』みたいな意味合いで使われてた」
「『キズム』に意味はあるの?」
「あるよ。『キ』が『光』になる。『ズム』が『心』」
その他にも、古代の言葉を教わった。
現代とは遠くかけ離れた言葉で、その節々に法則性があるのかどうかも怪しく思えるような言葉の数々だった。
「バンガってどういう意味?」
「‥‥‥‥‥‥」
フレイの質問に、ケイムが口を閉じた。
キツキは「しちゃだめな質問だったか」とヒヤヒヤ。
「『バム』は‥‥‥『世界』。『ガ』の部分は『ギマ』の変化。‥‥‥といえばわかってもらえるだろうか」
「なるほど」
語りたくないだろうな、とわかる。
バムギマ。世界愛。この場合、「世界を愛する」だとかそういう意味になるのだろうか。世界を憎んで魔王になった男からしてみれば、皮肉のような名前になってしまうのだろう。
「ちなみに、あの時代魔王は『崩壊』を意味する『ボム』と『頂点』を意味する『クレ』を合わせて、ボンクラと呼ばれていた」
「これが言いたかっただけか?」
フレイが「古代おもしろエピソードこわーい」と言って先に進んでいく。その傍で、ケイムが一気に言う。
「古代語には『キツ』もあるんだ」
「マジ? なに?」
「『一緒に』って意味だ」
「うん」
「ギマシ語は変で‥‥‥言葉の意味がいきなりぐわっと変わって‥‥‥これは意訳になるけど、『キツキ』は『ともに明日へ』みたいな意味になる」
「あっ、へー。不思議だねぇ」
「バンガキツキは『生涯をあなたと』みたいに、な‥‥‥る‥‥‥けど‥‥‥‥‥‥‥‥‥なるけど‥‥‥?」
「ほぉ~〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん‥‥‥」
ちく、たく。時が過ぎ始める。
「変なこと言っちゃったかな」
「いきなりではあったけど」
「ブロマンス的な」
「ブロマンスっていうかさぁ」
「ケイムは?」
フレイが言った。
「『ケイ』が『愛』で『ム』が『あの人』みたいな意味になるかな」
「へー。『ケイムキツキ』は?」
「‥‥‥‥‥‥」
「ケイムキツキは?」
「結婚してください、とか‥‥‥」
「どこまでもラブロマンスみたいなふたり」
「どっちも男なんすよぉ」
「あはは。あっ、へー。スミに置けないなって思ってたけど、男の子だったんだ」
なんやかんやとワヤワヤしながらも、歩みは進むばかりだった。
魔族を滅ぼす為だけの進行。




