第12話 休憩
とぼとぼ歩く。視界が揺れているので、歩きにくい。
変なスイッチが入りそうになって、たまに無償に面白くなったりもしたので、キツキは「治癒魔術とか学んでおこう」と決意した。
「そういえば、あの魔族‥‥‥ケイムのこと魔王って呼んでた」
「ああ。魔王だったんだ、前世で」
「不謹慎な冗談?」
「違う。俺は転生者なんだ。意識がはっきりしたのはゼロ歳二ヶ月の頃。自分が赤子だと気づいたときは驚いた。前世の精神年齢が驚くほど幼かったのも相まってあまり違和感はなかったらしい」
「もしかして、バンガ?」
「ああ」
「勇者に倒されて、人間に転生したんだ」
「うん。‥‥‥バンガも元々はただ魔術が大得意な錬金術師だよ」
「魔術と錬金術の違いが分からない」
「じつは誰もわかってない。錬金術は魔術の一ジャンルにすぎないと思ってる。バンガだった頃は、治癒魔術で治しきれない四肢の欠損なんかは錬金術で身体の細胞とかをコピーして復元したり‥‥‥そういうことをしていたんだ。錬金術のメインは金や鉄、あとは鉛なんかの錬成たけど」
少し休憩。
「アウィ家には恩があるんだ。一番というかメインは先代勇者キズム・ガム・アウィだけれど、それ以外にも‥‥‥この千年、俺の過ちや、勇者の栄光をちゃんと残してくれていた。そういう返しきれない恩がある。だから、俺は勇者とともに現代魔王を倒したい」
「そういう事情があったわけだ。惚れたとかでは?」
「おそれおおい」
「そっか」
「君は俺の話を信じるのかい?」
「おまえ、黙ることはできても嘘つけないもの」
「UFOはデカい牛」
「なんだ急に」
「えっ?」
農の構想が変わり始めている。ケイムは少しゾッとした。
「取り敢えず、アウィと合流したいけど‥‥‥君はどうしよう‥‥‥」
「連れて行ってくれても構わないし、何処かで置いていってくれてもいいよぉ。君に任せる」
「じゃあこれから二次会にいきまっしょ。俺はゴルフをするので君はゴリラをするといい。ショートコント、感受性豊かな犬。『この映画面白いワンねぇ』‥‥‥‥‥‥」
「‥‥‥‥‥‥あとで病院行く?」
「‥‥‥うん‥‥‥」
「いっぱい殴られたもんね」
「まさかここに来て脳が壊れるとは思わなかった。取り敢えず‥‥‥脳病院は後回し。今は世界だ。俺は魔族を滅ぼすと決めているんだ。責任を取ろうとしたら、それくらいしか現状できない」
「そうなんだ」
「あとは」
「あるんじゃん」
ケイムはこの十六年間うっすらと思ってきたことを言う。
「魔術のレベルが‥‥‥だだ下がりしてる‥‥‥けど、これは‥‥‥上から目線で、何様のつもりだって話だから‥‥‥言わない」
「じゃあ戦い終わったら魔術の学校でもやってみたら? ほら、昔話でちょろっと『魔術学校』って出てたじゃない」
「魔術学校‥‥‥」
「そういえば、前世はどうやって魔術を学んだの?」
「‥‥‥どうだったかな‥‥‥母が使っていた治癒魔術を見様で真似して‥‥‥そこから逆算的に魔力操作を覚えて、そこから派生して現象を構築していって‥‥‥」
「じゃあ今も似たようなことできるんじゃない?」
「魔力回路が細いから無理なんだ。せめて遺骨や遺灰を取り込めれば話は変わってくるんだけど‥‥‥」




