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世界樹とトリニスタ ~現代と魔法が混ざり合う世界~  作者: ハーレイ
0章:空原操が主人公となるまで
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第2話:黒い獣と謎の二人組

 



 (みさお)は黒い獣と対峙していた。



 

 スライムレベルのヴィスターとの戦闘経験ある。

 だが、ここまでの大物を目の前に未だ動揺は収まらない。


「久しぶりの戦闘……いやこういう時の為にもっと訓練しと……ッ!」


 軽口を叩く余裕なんてなかった。


 黒い獣のヴィスターは一人残っていた操に直ぐに爪を振り下ろしてきた。

 操は()()()でその攻撃を受け止めた。

 

 ガキン!と硬い衝突音が響く。

 

「あっぶなかった……いや力強い……やべ……死ぬッ!」


 そのまま誘導棒ごと押しつぶされると判断した操は何とか受け流す。

 が、力を逃がしきれずそのまま大きく後ろへ吹き飛ばされる。

 

「やっばいっな!ああもう!」


 咄嗟の機転を利かせ、指から()()()()()()()を伸ばし

 電柱に巻き付け何とか勢いを殺す。


 致命傷にならない程度の速度で建物に激突し、

 背中を打ち付けられる。


「カッ……ハッ……!」


 普段来ている警備服はある程度()()()()()されていて、

 防弾チョッキくらいの堅さはあるはず……なのだが……。


(背中の痛みで呼吸が出来ねぇ……やべぇ……これ……死ぬ……?)


「グルルル!ウガアアッ!」


 黒い獣はそのまま操が見えなくなっていった建物……

 つまり操へ向けて突進を始める。


 倒れたまま体の動かない操は黒い獣が壊した瓦礫に手を向けて魔法を使う。


(間に合ってくれ……!

 クリエイト・アース・ブロック……ッ!)


 手を向けられた瓦礫は青白く光る。

 瞬く間に立方体となり、操の目の前に設置された。



 勢いを殺しきれなかったのか、

 はたまた最初から避ける気がないのか、

 黒い獣は石の塊に頭を突っ込んだ。


「ガアッ!アアアアグゥア!」


 さらなる怒りの咆哮。

 こちらへの怒気を孕んだものであると操は確信した。


 この危機的状況を打開するために、

 出来る限りの事をしなければいけない。


(クソッ……ロック・バレット……!)


 手元の瓦礫を先程の要領で銃弾の形に変形させ、

 指と指の間に魔力の糸を形成する。


「ロック・スリング・ショット!」


 祈りながら身体を岩陰から出し、獣の眼を狙う。

 魔力の糸はゴムのような弾力を得て、

 そのまま岩の弾丸を発射した。


 放たれた弾は吸い込まれるように黒い獣の眼へ命中した。


「グッ……アグガッ!?」


 (このヴィスターの弱点が一般的な箇所で……助かった……。)


 何が起きたかを理解出来なかった獣は、

 周りの物を見境なく攻撃し始めた。


「グウウウウオオッガアアア!」


 黒い獣は、身体にビリビリと張り付くような咆哮を上げる。

 その声は痛みへの怒りか、動揺か。




 操にはそんなことを考える余裕もなく、

 咄嗟に崩れた瓦礫へ身を隠す。


 地鳴りが響く、

 獣は操を見失って手当たり次第に暴れ始めたようだ。


「お構いなしかよ……!っ!あぶねぇ!」


 隠れていた瓦礫の頭上に爪が空を切る。


 暴走状態の獣にお手上げ状態の操。


 しかし、黒い獣は思わず出た操の声を聞き逃さず、

 存在を認知した。

 万事休すかと思われたその時、声が響く。


個喰らう(プライバイト・)箱庭(キューブ)


 突如として現れた緑色の珠・に黒い獣が閉じ込められ、

 珠が収縮していく。




 怒りの咆哮は止み、

 戦場と化していた瓦礫まみれの場所は静寂に包まれる。


 静寂を突き破ったのは瓦礫の上に居た二人の男だった。


「ったくよォ~、めんどくさい事この上ねぇよなァ~……。

 出せって言ったり、仕舞えって言ったりよォ……。」


 二人はこちらを見下ろしている、全く興味なさそうに。


「まぁまぁ、とりあえずこの場は収めましたし、

 めでたしめでたしということにしませんか?」

 いかにもな風貌でメガネをクイっとしながら喋る、

 スーツ姿の男。


「かったりィ~、なんか一般人っぽいのが要るが……。

 どーすんだコイツ。上に報告かァ?」


 サングラスをかけた金髪。

 厳ついヤンキーの風体(ふうてい)をした男。


「あっ!おさめましたし……。

 めでたしめでたし……ひらめきが……!」


「こんな馬鹿連れてくるんじゃなかったぜ……。はァ……。」


「カイト……てめェ仕事中だぞ。

 ボスにチクってやろうか……ああ゙?」


「すみませんね、マモルさん。

 チクられちゃう僕と困っちゃいます。

 えーっと一般人でしたっけ。」


 空中で手を動かし、

 動かす手の方を見つめるカイトと呼ばれた眼鏡の男。


 それを苛立ちながら待つ、

 マモルと呼ばれたサングラスの男。


「てめェはいつも仕事が遅ェ……んでボスの返答は?」

()()()()()だそうです。」


「了解、おいそこの逃げようとしてる警備員。」


 スルーされている間に逃げたかった操に話を振るマモル。

 サングラスを少し下ろして

 エメラルドグリーンの眼を光らせてこちらを見ている。


「ツラァ……貸せよ……。」


 


 操は、今日が厄日なのを確信し目眩を感じていた。




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