第10話:自己紹介と愉快な仲間達
操は所長室に居た。
独特な面々集まる所長室。
空原操。
我妻陽。
冷泉雫。
夕凪茜。
藤林幻。
天国御来。
アイマスクを頭の上に付けた金髪のロングの女の人。
ツンツンの赤毛の髪で今にも怒り出しそうな男の人。
レンチを耳の上に付けている、
いかにもメカニックみたいな恰好の銀髪の男の人。
口紅を付けた茶髪イケメンの男の人。
そして、山本宗次郎。
計11名が、会議室に集まっていた。
全員が椅子に座り、お互いの様子を見ている。
(この世の属性を全て詰め込んだ部屋って感じだ……。)
「ほんじゃ、みんな集まったね~?
入社順に自己紹介からしていこうか。」
茜が立ち上がりながら自己紹介を促す。
操は1つ疑問が浮かぶ。
(あれ……入社順?)
「ちょちょ、ちょっと待って下さい。入社順ですか?」
「そうだよ、あれ?操君に誰か伝えてないの?」
誰も答えない。
「あちゃー、山本から許可を貰ってて、くーちゃん。
今日からフロンテラ所属になるから。
そんな感じで宜しく!」
茜はぺこちゃんみたいな顔をしている。
操は山本社長の顔を見る。
山本は頷いている。
「えぇ……?く……くーちゃん……?」
凄い情報量で渋い反応をしてしまう。
(本人不在で決める事か……?)
巻き込まれ体質は今に始まった訳ではないが、
まさか職が決まるほど巻き込まれるとは思わなかった。
「はい、気を取り直して。まずはあがつまっちから!」
茜は全く気にも留めない様子で、我妻に自己紹介を促す。
「押忍!我妻陽!23歳っス!
固有魔法は炎の翼で飛べるっス!」
「はい、ありがと~。次くーちゃんね。」
「えっと……入社していることになっていました。
空原操、25歳です。
固有魔法は糸を出して誘導棒を硬くできます。」
(これでいいのか……?)
自己紹介を聞いてメカニックの恰好をした男が噴き出し、
身を乗り出して声をかけてくる。
「誘導棒を硬く……っふふふ!操くん!
君の能力は二種に影響をもたらす珍しいものなんだね!
是非見せて欲し……。」
「自己紹介が終わるまで待てお。
好奇心で輪を乱すのはオイラが許さないお。」
藤林が制止する。
(ないお……?
未だにやる男みたいな喋り方する人居るんだ……。)
操は気になるタイプだった。
「っとと、はぁ~い。ゲンさんに言われちゃうと弱いなぁ。
ごめんネ、また後で聞かせてよ。」
身を乗り出していたメカニックは、
そのまま大人しく席に着く。
「次は私、知ってる人が多いから違和感あるけど。
冷泉雫。周囲の時を遅くする固有。資料室担当。」
(時を遅くする……!やっぱり……!)
水の魔法に押しつぶされなかったのは、
この子の固有の能力だったのだ。
(……担当の部屋?)
イライラしていた男の人が喋り始める。
「チッ、俺か。……夕凪 達也、固有は変身できる。
元素傾倒は風だ。訓練場受け持ってるぜ。」
茜の「キャー、たっちゃーん」という声が聞こえる。
(本人の気が立っている原因はあの人か……。)
「ん……?元素傾倒?」
操の聞いたことのない単語が耳に飛び込む。
「んだてめー、そんな事も知らねぇのかよ……。」
嫌そうに達也は操を睨む。
「チッ……。」
舌打ちしてくる。
姉の奇行のストレスをこちらに向けないで欲しい。
どうやら元素傾倒について教えてくれる気は無いらしい。
間髪入れずにメカニックの手が上がる。
「はいはーい!一ノ瀬 丞!
装備への魔力注入が可能でーす!
注入する元素や魔力量によって効果が変わるよ~!
開発室担当~!」
「元素傾倒は雷!
元素傾倒っていうのは~。
その人が得意とする元素魔法の事だね~!」
一ノ瀬と名乗った男は元素傾倒の話を解説していく。
研究者側の人間にしては説明が簡素で助かった。
口紅を付けた男が口を開く。
「アタシの番、黒鉄 林檎。
源氏名じゃないわ。そして固有は持ってないわ。
元素傾倒は基本6種の全てスタンダードに扱えるわ。
担当部屋は休憩室よ。」
(固有無し……元素傾倒6種……。)
尖っていないとフロンテラには居られないのだろうか。
あとキャラを尖らせる必要はあるのだろうか。
次は御来が立ちあがる。
「天国 御来よ。
固有は傷病の治療、元素傾倒は氷。治療室の担当。」
御来が座る。
本当に無駄が嫌いな性格なんだと操は笑みを零す。
「何よ。」
少し怒った顔でこちらを見つめてきた。
(いけないいけない……。)
気を引き締めなおす。
アイマスクをおでこに付けた女性が喋り始める。
「はぁ~い、丸ノ内 神楽でぇす。
この施設の管理人してるよ~。
固有は自分以外をワープさせることですぅ~。
戦闘では役に立たないので皆様がんばってくださぁ~い。
一応創設メンバーでーす。コントロールルーム担当~。」
アイマスクを下ろして机に突っ伏してスヤスヤし始める。
(寝るまで早いな……。)
そして少し小太りの男、藤林が喋り始める。
「そういえば、操君初対面だったお。
藤林 幻だお~。
固有魔法は幻を生み出す能力だお~。
元素傾倒は……あんまり魔法得意じゃないから無いお……。
一応所長補佐やらせてもらってるお~。
大体事務所にいるお~。よろしくだお~。」
(どんどんキャラが濃くなっていくな……。)
操はしみじみと思っていた。
茜がドン!と背景に出そうなくらいな勢いで立つ。
「ってことで!
フロンテラ所長の夕凪 茜です!
固有魔法は爆発!
元素傾倒は火と光!所長室がアタシのテリトリー!」
オオトリだけあって「ふふん」と鼻を鳴らしている。
(光……、例外の元素……。)
彼女の強さはそこにあるのか……?
申し訳なさそうに山本が声を上げる。
「えっと一応僕も……、元フロンテラ所属。
現山本警備会社社長の山本 宗次郎です~……。
固有魔法は無し、元素傾倒は氷です~。」
さすがにいつもみたいな柔らかい喋り方ではなく、
申し訳なくて顔を上げられない感じの喋り方をしていた。
というか山本社長、
固有持ってなくてあの強さなのか……。
操達は仲良く(?)自己紹介を終えた。




