第2章 公平
不公平は、必ず不満を生む。
だから、公平であることは大切だ。
全員を同じように扱う。
特別扱いをしない。
状況や感情に左右されない。
それが一番、揉めない方法だと私は思っている。
前の件以来、場は落ち着いていた。
時間は守られ、進行も滞らない。
規則が機能している証拠だった。
そこで次に話題になったのが、役割分担だった。
仕事量に偏りがある、という指摘が出た。
確かに、よく動く人と、そうでない人はいる。
だが、それを個別に調整するのは難しい。
「全員、同じ条件にしよう」
誰かがそう提案した。
能力や事情に関係なく、同じ基準を適用する。
公平だし、分かりやすい。
私は賛成した。
不満が出にくい案だと思ったからだ。
決まった基準は、数字で示された。
回数、時間、成果。
どれも客観的で、文句のつけようがない。
ただ一人、言葉を濁した人がいた。
「それだと、少し厳しい人もいるのでは」
私は答えた。
「全員同じなんだから、厳しくはないよ」
誰かにとって厳しい基準は、
別の誰かにとっては当然の水準だ。
そこを揃えることが、公平だ。
基準は運用された。
達成できた人は評価され、
できなかった人は、特に何も言われなかった。
ただ、次の機会に呼ばれなくなった。
説明はなかった。
だが理由は明確だった。
基準を満たしていない。
それだけだ。
私は思った。
これは排除ではない。
平等な結果だ。
やがて、残った人たちは似てきた。
動き方も、考え方も、反応の速さも。
話が通じやすくなった。
「やりやすいね」
誰かが言った。
第1章のときと、同じ言葉だった。
私はうなずいた。
公平が機能している証拠だ。
不満の声はなかった。
少なくとも、表には出なかった。
出ないということは、
納得されているということだ。
私はそう理解している。




