表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
正しい側  作者: 砂肝


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/3

第1章 規律

 規則は、人を守るためにある。

 私はそう教えられてきたし、疑ったこともなかった。


 この場所には、細かい決まりが多い。

 提出期限、発言の順番、参加の条件。

 どれも合理的で、説明がつくものばかりだ。

 守れない人が悪い、という話ではない。

 守れないなら、向いていないだけだ。


 最初に問題になったのは、時間だった。


 彼はいつも少し遅れた。

 五分、十分。

 大勢に影響が出るほどではない。

 だが、積み重なれば空気が乱れる。


 注意する声は、最初は柔らかかった。

 「次から気をつけて」

 「事情があるなら言って」


 彼は謝った。

 理由も説明した。

 納得できる内容だったと思う。


 それでも、遅れはなくならなかった。


 「規則だから」


 誰かがそう言った。

 強い言い方ではなかった。

 確認に近い口調だった。


 私はそれに同意した。

 規則は例外を想定しない。

 例外を許せば、規則ではなくなる。


 次に決まったのは、出席の扱いだった。

 一定回数を超えた遅刻は、欠席とみなす。

 以前からあったルールを、明確にしただけだ。


 誰も反対しなかった。

 反対する理由がなかった。


 彼だけが黙っていた。

 だが、それも問題ではない。

 規則は感情を考慮しない。


 その日から、彼は来なくなった。

 来られなくなった、と言うべきかもしれない。


 私は思った。

 これは排除ではない。

 整備だ。


 場は整った。

 開始時間が揃い、進行が早くなった。

 無駄な確認も減った。


 「やりやすくなったね」


 誰かが言った。

 私はうなずいた。


 彼の名前は名簿に残っている。

 消したわけではない。

 ただ、使われなくなっただけだ。


 規則は守られた。

 誰も破っていない。

 だから、正しい。


 私はこの判断を、今も間違いだとは思っていない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ