第48話
「ヒカル君!? ……ひっ!」
『『ーーーーー!』』
空の上でスターズ・レッド・エクレクスに立ち向かおうとするヒカルを見たミサキは、とっさに自分が乗るモンスターを動かそうとするのだが、周囲の光装竜達が一斉に吠えてミサキを牽制する。
「止めておけ。下手に動いたら本当に攻撃されるぞ? 今はヒカルに賭けるしかないんだ」
(……本当は俺にこんなことを言える資格なんてないんだけどな)
ミサキに声をかける栄人であったが、今までヒカル達を弱いと決めつけて仲間として信じようとしなかった人間の台詞ではないと心の中で自嘲する。
そしてそんなことを言っている間にも、ヒカルとスターズ・レッド・エクレクスの最後の戦いが始まろうとしていた。
スターズ・レッド・エクレクスは自分に正面から向かって来るヒカルの姿を確認すると、その場で止まり大きく口を開けると、今までの光線以上に強力な光線を放った。あれが直撃すれば間違いなくヒカルが乗るスターズ・レッドは消し飛ぶし、スターズ・レッドが消えてしまったらヒカルはパワードスーツが消えてしまった状態で上空から地面へと落下し生命はないだろう。
しかしそれでもヒカルは臆することなくスターズ・レッド・エクレクスを見据え、光装竜王の光線が直撃する瞬間にスターズ・レッドの特殊能力を発動させる。
「スターズ・レッド! 特殊能力発動! 『スターライトスケイル・オールリフレクション』!」
ヒカルが特殊能力を発動させると、彼と彼が乗るスターズ・レッドの前方に光の障壁が現れ、光の障壁とスターズ・レッド・エクレクスがぶつかり合った瞬間、上空に凄まじい光が生じた。
『『……………!』』
上空に生じた凄まじい光に栄人達は思わず目を逸らすがそれも数秒で終わり、ヒカルのスターズ・レッドが作り出した光の障壁はスターズ・レッド・エクレクスが放った光線を受け止めると、それをそのままスターズ・レッド・エクレクスに跳ね返す。そして跳ね返された光線はスターズ・レッド・エクレクスの巨体を容易く貫くのであった。
「………!? まさか、これでもまだ倒れないのか?」
自らが放った光線に身体を貫かれ大穴が空いたスターズ・レッド・エクレクスであったが、スターズ・レッド・エクレクスは未だに空中に浮かんでヒカルを睨みつけており、それを見たヒカルは若干の絶望を含んだ声を漏らし、彼の手は気づかないうちに震えていた。
生命の危険を感じながら強敵と戦うのは、想像以上に精神力と体力を消費する。何度もスターズ・レッド・エクレクスの攻撃を辛うじて避け、正面からスターズ・レッドの特殊能力で跳ね返したヒカルの精神力はすでに限界が近かった。
これでスターズ・レッド・エクレクスが倒れなければまた相手の攻撃を誘い、それをスターズ・レッドの特殊能力で跳ね返さなければならないのだが、次も同じことができる自信はヒカルにはなかった。しかしこの場を生き残るには無理でもしなければならないと、ヒカルが自分に言い聞かせて次の行動に移ろうとしたその時……。
「……………」
「……え?」
スターズ・レッド・エクレクスはゆっくりと身体を傾けると、光の粒子となりながらゆっくりと地面へと堕ちていった。
「スターズ・レッド・エクレクスが消えて行く……? ん? あれは?」
目の前で起きた出来事が理解できず、地面へと堕ちながら光の粒子となっていくスターズ・レッド・エクレクスをただ見ていたヒカルだったが、そこで彼はあるものを見つける。それは光の粒子の中にある一枚のカード、スターズ・レッド・エクレクスのカードであった。
こうしてヒカルとスターズ・レッド・エクレクスの戦いは終わったのだが、終わったのは上空の戦いだけではなかった。
「え? ……どういうこと? 周りのモンスター達が……」
「光の粒子になって消えていく……?」
光の粒子となって消えていったのはスターズ・レッド・エクレクスだけでなく、スターズ・ネクローンを始めとする栄人達を取り囲んでいた光装竜達もまた光の粒子となって消えていき、それを見たミサキとタツミが驚きの声を上げる。
「……ここにいた光装竜達はスターズ・レッド・エクレクスに呼び出された、召喚されたサポートモンスターみたいなものだから、リーダーモンスターのスターズ・レッド・エクレクスが倒されたことでその影響を受けたのか? ……それとも、自分達の王を倒したヒカルを認めて自分からアイツのカードになることを選んだのか?」」
栄人は光の粒子となった光装竜達を見て、目の前の出来事をカードゲームの「Dragon&Dragoon」の知識に当てはめて考えるのだが、それよりも光装竜達がヒカルを認めたという考えの方が正解のような気がしたのだった。




