第47話
考えてみれば先程からのスターズ・レッド・エクレクスを始めとする光装竜達の行動はどこか手ぬるい感じがしていた。
光装竜の仲間を呼んだのならばそれらを一斉に攻撃させればいいのに戦力を小出しにしているし、栄人がヴォルダイブ・ザイラーの特殊能力で敵の数を減らした時だって、光装竜シリーズの防御に優れた特殊能力ならばいくらでも対応できたはずなのにそれをしなかった。他にも栄人だったら……というか前世の「Dragon&Dragoon」のプレイヤーであれば、いくらでもハメ殺しができるだけの手札が揃っているのにも関わらず、スターズ・レッド・エクレクスはそれもしようとはしない。
その事から栄人は、スターズ・レッド・エクレクスは栄人を試そうとしているのではないか、という自分で言った言葉が正しいような気がしてきたのであった。
「……紫宝院先輩、ミサキ。今は動かないでください。もしかしたらコイツらは、すぐに俺達を攻撃するつもりはないかもしれません……」
「十輪寺君? それってどういう………っ!?」
「⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎ーーーーーーー!」
栄人がタツミとミサキに動かないように話しかけ、それに対してタツミがどういう意味かと聞こうとした時、上空から雷のようなモンスターの叫び声が聞こえてきた。上空を見れば、ヒカルが乗るスターズ・レッドに向かってスターズ・レッド・エクレクスが口から光線を放っていた。
「危なっ……!」
「ヒカル君!?」
辛うじてスターズ・レッド・エクレクスの光線を回避することに成功したヒカルとスターズ・レッドであったが、もし当たればひとたまりもないのは明白でスターズ・レッド・エクレクスの光線の激しさを目の当たりにしたミサキは思わず声を上げる。
「………」
栄人が目の前にいるスターズ・ネクローンを見ると、スターズ・ネクローンもまたすぐにでも動ける体勢で栄人達の方を見ていた。しかしやはり自分達から攻撃を仕掛けてこようとはせず、どうやらスターズ・ネクローンと他の光装竜はヒカルとスターズ・レッド・エクレクスの勝負に邪魔が入らないようにしているのだと栄人は予測する。
(どうやら俺達の命運はヒカルにかかっているようだな。だけどヒカルのヤツ、本当に大丈夫なのか?)
栄人が心の中でそう呟き空を見ると、そこにはスターズ・レッド・エクレクスの光線を必死に避けているヒカルの姿があった。
多分だが、ヒカルがスターズ・レッド・エクレクスの光線をスターズ・レッドの特殊能力「スターライトスケイル・オールリフレクション」で反射すれば、すでにヴォルダイブ・ザイラーの特殊能力でダメージを負っているスターズ・レッド・エクレクスに勝てるだろう。
しかしそれはヒカルが正確にスターズ・レッド・エクレクスの攻撃を反射できた場合の話だ。
カードゲームの「Dragon&Dragoon」であれば相手の攻撃に対して特殊能力の発動を宣言すればいいだけだが、実際の戦闘ではヒカル自身がスターズ・レッド・エクレクスに狙いを定めて正確に攻撃を反射しなければならない。「スターライトスケイル・オールリフレクション」は連続して使える特殊能力ではないため、一度カウンターを外すとただでさえ不利なヒカルが更に不利になってしまう。
だからこそ栄人はヒカルが確実にカウンターを行えるようにサポートをしようとしていたのだが、スターズ・ネクローン達のせいでそれもできなくなってしまった。
「このままだと……! やるしかないか……!」
スターズ・レッド・エクレクスの光線を避けたヒカルは、このままではいつかやられてしまうと考え、意を決するとスターズ・レッドの飛ぶ方向を変えてスターズ・レッド・エクレクスの正面に対峙するのであった。




