第44話
「ようやく来たか! 一体どんなカードが……!?」
栄人はデッキから補充された五枚の手札を確認するのだが、新たに彼の手元にやって来た五枚のカードは全て、モンスターではなく何かの武器や道具が描かれているカード……つまりはアイテムカードばかりであった。
(て、手札事故っ!? こんな時に……!)
スターズ・レッド・エクレクスやスターズ・ネクローンの攻撃力に対抗するために、ヴォルダイブ・ザイラーの特殊能力で敵の光装竜の数を減らすために、今は一枚でも多くモンスターカードが欲しい時にアイテムカードしか補充されなかったことにショックを受ける栄人。しかし彼が自分の運の無さを嘆くより先に、上空を飛ぶ光装竜達の数体が栄人達に襲い掛かろうとする。
「っ!? しまった……!」
「十輪寺君! 右に避けて!」
「えっ? ……くっ!」
こちらに向かって急降下してくる光装竜を見てとっさに反撃をしようとした栄人だったが、横から聞こえてきたタツミの声に反応して、とっさに自分が乗っているヴォルダイブ・ザイラーを右に跳躍させる。すると次の瞬間、背後から栄人を奇襲しようと突撃してきた一体の光装竜が、さっきまで栄人とヴォルダイブ・ザイラーがいた場所を通り過ぎていった。
「今のは……?」
「十輪寺君! 油断しないように! ……虹城君、左に警戒! 赤山さんは右から来ているわ!」
「了解!」
「わ、分かりました!」
タツミの指示に従ってヒカルとミサキが行動すると、タツミの言う通りの方向から光装竜が攻撃を仕掛けてきて、敵の攻撃が来ることを教えられたヒカルとミサキは何とか光装竜の攻撃を避けたり防ぐことができた。
(どういうことだ? どうしてタツミは敵の攻撃を……もしかしてレイ・ラスターの能力か?)
タツミが敵の光装竜の動きを完全に予測していたことを不思議に思った栄人であったが、すぐに彼はその理由に気づく。
紫電竜レイ・ラスター特殊能力「パルスフィールド」。
カードゲームの「Dragon&Dragoon」では相手の手札を見る特殊能力であったが、現実の戦いではそれだけでなく、効果範囲内にいる味方と敵の動きを把握することができるようであった。
(なるほど……。上級生は伊達じゃないってことか。それに……)
スターズ・レッド・エクレクスが現れる前にタツミとの戦いで勝ったことで、勝手に彼女が弱すぎると決めつけていた栄人は自分の誤った判断を反省すると、改めて自分の手札を確認する。確かに栄人の現在の手札は全てアイテムカードだが、よく見れば相手の行動を牽制する効果のあるカードもあった。
「アイテムカード『ヴォルダイブ・ビグマスの石像』を発動!」
栄人がアイテムカードを発動させると彼の前方に泳炎竜の一体、ヴォルダイブ・ビグマスの石像が現れる。
それは今は姿を消した、泳炎竜が生息する火山列島に住んでいた住民達が作った石像。石像を作った住民達は火山列島の支配者である泳炎竜の石像には、他の種族のモンスターや災いを退ける力があると信じていたようで、ヴォルダイブ・ビグマスの石像は使用して三ターンの間、敵のリーダーモンスターが攻撃するのに必要なエナジーを増やすという効果があった。
『『……………!』』
ヴォルダイブ・ビグマスの石像の効果により、敵の光装竜達は明らかに攻撃をためらう様子を見せて栄人達から距離を取ろうとする。しかし……。
「ーーーーーーーっ!」
栄人達から距離を取った他の光装竜達と入れ代わるように、上空にいたスターズ・ネクローンが栄人達に向かって突撃をしてきたのであった。




