第42話
「作戦は簡単だ。できるだけ四人全員で行動して、一体ずつ光装竜を倒していきながらスターズ・レッド・エクレクスの意識をヒカルに誘導する。そしてスターズ・レッド・エクレクスが攻撃を仕掛けてきたら『スターライトスケイル・オールリフレクション』を決める。それだけだ」
「ええ。……それはいいけど随分と手慣れているのね?」
栄人がヒカルとミサキ、そしてタツミの三人は異論は無いので頷くのだが、そこでタツミが栄人に話しかける。
「まるであのスターズ・レッド・エクレクスだけじゃなく、新たにやって来た光装竜達の能力も全て知っているかのような決断の速さ……。十輪寺君、貴方一体何者なの?」
「っ!? ……今は、そんなことを言っている場合じゃないでしょう?」
雰囲気から新たに現れたモンスター達がスターズ・レッド・エクレクスと同じ光装竜のシリーズであることは、タツミ達にもなんとなくだが分かる。しかし栄人の決断の速さは、この場にいる光装竜達全ての能力から対処の仕方まで全てを知っていなければ無理だとタツミは思った。
栄人はこの異世界のことやモンスターの情報を誰かから聞いたと言っていた。しかしタツミは彼の異世界とモンスターに関する知識は、異世界探索とモンスター調査を専門とする極東国の政府直属のカード使い達よりも……いや、極東国で誰よりも豊富で深い気がした。
しかし今は栄人の言う通り戦闘中で詳しい話をする暇はなく、栄人達が話している間にも更に新たな光装竜が一体現れる。
新たに現れたのは頭部が機械のモンスターなのだが、その頭部は左右と額に大鎌のような鋭い三本の角を生やしており、他の生身の身体は他の光装竜とは違って漆黒の鱗に覆われていて、どこか禍々しい印象だった。
「あれは……『光装竜スターズ・ネクローン』!? 何でここでアイツが出てくるんだよ……!」
栄人は新たに現れたモンスター、スターズ・ネクローンを見て苦々しい表情となる。
スターズ・ネクローンは光装竜シリーズの中で攻撃的な能力を持っていて、栄人のヴォルダイブ・ザイラーとは少し相性が悪いモンスターであったからだ。
光装竜スターズ・ネクローンの特殊能力は三つ。
一つ目は光装竜シリーズが共通して持つ毎ターン生み出すエナジーの量を増やす能力。
二つ目はエナジーを一ポイント消費することで、一ターンだけ自分のフィールドと墓場のモンスターカードの数だけ防御力を上昇させる能力。
三つ目はエナジーを消費することで、一ターンだけ消費したエナジーと防御力の分だけ攻撃力を上昇させる能力。
ここで厄介なのがスターズ・ネクローンの二つ目の特殊能力だ。スターズ・ネクローンは他の仲間モンスターがいれば、例えその仲間モンスターが生きていても死んでいても、仲間モンスターの数だけ自らを強化することができ、ヴォルダイブ・ザイラーの特殊能力で他のモンスターをどれだけ破壊しても効果が薄いのだ。
(しかも厄介なのはスターズ・ネクローンだけじゃない……!)
そこまで考えて栄人は、スターズ・レッド・エクレクスの周りを飛んでいる光装竜の一体、両前脚が機械の西洋のドラゴンのようなモンスターに視線を向ける。
光装竜スターズ・ガンドナー。
エナジーを二ポイント消費することで、自分と他のモンスター一体がカードの効果で破壊されることを防ぐ特殊能力を持っており、スターズ・ネクローンとスターズ・ガンドナーの組み合わせは栄人にとって最悪と言えた。




